アクセサリーでパーティースーツをコーディネートするポイント
スーツはビジネスパーソンにとって自分を演出する重要なアイテムです。コーディネート次第で接する相手に与える印象をしっかり調整することが可能です。ただ、スーツが活躍するのはビジネスの場だけではありません。パーティーや会食などでもおしゃれにスーツを着こなしたいものですよね。洗練された印象を出すためのコツは、ポケットチーフやカフリンクス、タイバーなどの小物を上手に使うことです。しかし、アクセサリーを付けるのは、最後の仕上げです。メンズスーツのコーディネートは、基本となる着こなしから始まります。どれほど高級生地を使用していても、華やかなアクセサリーを付けていても、サイズ感が合っていない場合、スーツスタイルの見栄えは半減してしまいます。まずは、土台となるスーツスタイルのサイズ感をジャストに合わせましょう。その上で、過剰なアクセサリーは避けることが重要です。スーツ自体が極限までシンプルなデザインを採用していることからも分かる通り、スーツはシンプルで知的な雰囲気が欠かせません。アクセサリーも使用する個数を絞ったり、色数を抑えることがポイントになります。今回は華やかなシーンであなたの個性をアップする小物の使い方を紹介します。
スーツスタイルに小物を取り入れるときのポイント
スーツに小物を取り入れるときに大切なのは、ベースとなるスーツをしっかり着こなすことです。家の土台が大切であるのと同じように、洗練されたスーツスタイルを作ることがトータルコーディネートを成功させる前提となります。小物を取り入れるのはバランスの取れた立ち姿が完成した後が、もっとも効果的です。
スーツの基本バランス
スーツは正しいサイズで着こなすとスタイルが良く見えます。
基本となるスーツのサイズ感を把握しておきましょう。
1.肩幅は、肩先に指で摘まめる余裕がある。
2.袖先は、手くるぶしが丁度隠れる長さ。
3.シャツはスーツの袖先から1.5㎝出す。
4.ジャケットの着丈はヒップが少し見える長さ。
5.ウエストは、手のひらが一枚入る余裕。
6.パンツの裾は靴に触れる程度で、ラインが乱れない長さ。
スーツは、着用シーンで適正なサイズが若干変わります。ビジネスマナーが必要な場面では、正式な着こなしが無難です。カジュアルなパーティーシーンでは、トレンド感を重視した着こなしを取り入れられます。
スーツを新調する際には、信頼できるお店で専門のスタッフにサイズ感を相談することがおすすめです。お洒落にしたい、正式な雰囲気にしたいなど、着用シーンのイメージを伝えることで、場面に合ったスーツを作ることが可能になります。
ポケットチーフで柔らか&華やかなイメージを
基本的なスーツスタイルを守っていれば、小物の使い方がかなり簡単になります。たとえばポケットチーフの挿し方を変えるだけで、柔らかにも華やかにもなります。コツはスーツのコーディネートと同系色のものを選ぶこと。ブルー系のネクタイを締めるのであればチーフもネイビーに。ブラウン系のネクタイを選ぶのであれば、あたたかみのある色を選ぶといいでしょう。パーティーシーンでは光沢や艶のあるシルクのものがおすすめです。
ポケットチーフをふんわり挿す方法1 「パフ」
誰でも簡単にできるチーフの折り方です。
1. テーブルに広げたチーフの真ん中を片方の手でつまみ上げます。
2.もう片方の手の人差し指と親指で輪を作りチーフを絞ります。手でつまんだ辺りに「パフ」と呼ばれる膨らみができます。
3.スーツの胸ポケットの深さに合わせて、チーフの裾の部分を折ります。
4.胸ポケットに挿し、パフの形を整えたら完成です。
ポケットチーフをふんわり挿す方法2 「パフクラッシュ」
パフを応用したスタイルです。エレガントな印象が強くなります。
1.パフと同じようにチーフを真ん中でつまみ上げ、もう片方の手で絞ります。
2.パフ部分と裾の部分がどちらもポケットの外に出るように、チーフを半分に折ります。
3.整えすぎずばらつかせるように挿したら完成です。
ポケットチーフを華やかに挿す方法 「クラッシュ」
華やかな印象を強調したスタイル。パフを少し応用するだけなので簡単です。
1.チーフを真ん中でつまみ上げ、パフを作ります。
2.パフの部分を逆さまにしてポケットに挿します。
3.チーフの四隅をポケットから出し、花びらのように整えたら完成です。
カフリンクスをチラ見せしてさりげない個性を演出
カフリンクスは、シャツのカフ(袖口)を留めるためのアクセサリーです。日本では「カフスボタン」と呼ばれるのが一般的です。シャツにつけられているボタンで留めるのと比べてさりげなく個性を発揮できるので、金融系など“堅い”職業の方にも人気です。
自分の趣味や嗜好に合ったデザインが見つかりやすいのもカフリンクスの魅力。チェスやカメラなどさまざまなモチーフがあるので、おしゃれを楽しむだけでなくコミュニケーションツールにもなります。
場面に合わせた素材を選ぶ
カフリンクスは用途に合わせた素材やデザインを選びましょう。
1.白蝶貝(モーニングコート・礼服用)
白蝶貝が使用されたカフリンクスは格式高い雰囲気です。慶事用のブラックスーツ(礼服)や昼の正礼装(モーニングコート)などに使用されます。白蝶貝を使用したカフリンクスは、基本的にタイバーとセットで販売されています。
2.オニキス(タキシード用)
オニキスは高級感のある黒い石です。夜の準礼装であるタキシードに合わせるカフリンクスです。こちらもタイバーとセットで販売されています。弔事用のブラックスーツ(喪服)、弔事のモーニングコートで使用されるタイプもあるため注意しましょう。
3.シルバー(スーツ全般)
ビジネスやパーティーシーンのスーツ全般で使用されます。クリスタルなどが使用されていると華やかな印象になります。ビジネスでは、カフリンクスとタイバーは別デザインでも使用できます。しかし、パーティーシーンではセットでデザインされているタイプの方がドレッシーな印象になります。
結婚式ではシルバーや白蝶貝が華やかになります。カジュアルな二次会やパーティーシーンではシルバー系でスタイリッシュなデザインが人気です。
タイバーをキラリと光らせて知的な印象に
タイバー(ネクタイピン)はもともと、ネクタイをシャツに固定しておくために作られました。現在はVゾーンのアクセサリーとして使われています。
タイバーのスタンダードな位置は、ジャケットの第一ボタンの少し上。ジャケットの陰からキラリと光るタイバーが知的な印象を演出します。最近は定番よりさらに少し上につけるのがトレンド。タイバーの柄や装飾がはっきり見えるのが人気です。
また、タイバーにはネクタイを立体的に見せる使い方もあります。シャツとのあいだにすき間をあけてネクタイの結び目が持ち上がるようにつければ、一味違ったVゾーンが完成します。色柄だけに頼らないおしゃれをしたいときにぴったりです。
タイバーの種類
1.ワニ口式
現在もっとも一般的なタイバーです。留め具にバネが使用されているため、薄いネクタイから少し厚みがあるネクタイまで幅広く使用できます。付け外しが簡単で、しっかりと固定されるため人気があります。パーティーシーンでは、タイバー本体をチェーンやクリスタルで装飾したものなどが華やかになるためおすすめです。
2.クリップ式
コの字型のシンプルなタイバーです。タイバーの隙間にネクタイを横からスライドさせて挟みます。リバーシブルで使用できるタイプもあります。表がビジネス用のシンプルデザインで、裏がパーティー向きのお洒落なデザインなどになっています。
3.タイタック
針でネクタイを固定するタイプです。タイタックをネクタイに固定し、タイタックに付属しているチェーンをシャツのボタンに掛けて使用します。華やかでドレッシーな雰囲気です。
タイバーのサイズ
タイバーのサイズはネクタイの幅に合わせます。タイバーを付けた場合に、ネクタイの幅よりも1㎝から2㎝短い方がバランス良く見えます。
現在標準の剣先(ネクタイの一番幅が広い場所)が8㎝前後のネクタイには、標準タイプのタイバーを使用します。ネクタイの剣先が6㎝未満のナロータイ(細身のネクタイ)にはショートクリップを合わせます。
標準幅のネクタイにショートクリップを合わせたり、ナロータイに標準のタイバーを合わせたりするとバランスが悪くなるため、サイズを合わせて購入します。
タイリングで華やかに
タイリングはネクタイリングとも呼ばれます。ネクタイの結び目付近に付けるアクセサリーです。
ネクタイの結び目(ノット)の下に付けたり、ネクタイを結ばずに、結び目を作る位置にリングを付けたりできることが特徴です。カジュアル寄りのパーティーに向いています。
タイリングにおすすめのネクタイ
タイリングはネクタイの結び目に視線が集まるため、通常のネクタイを華やかにする効果があります。
さらに、クレリックタイやリバーシブルタイであれば、パーティーシーンを盛り上げるアイテムになります。
1.クレリックタイ
ネクタイを結ぶと、結び目の部分だけ柄違いになるネクタイです。胸元に視線を上げる効果があります。更に、柄が切り替わる結び目の下にタイリングを合わせることで、華やかさが増します。
2.リバーシブルタイ(両大剣)
ネクタイが裏表使用できるタイプです。一つのネクタイで2種類の柄を使用できます。このタイプは先に二つ折りにした輪の方からネクタイリングを通しておき、首に掛けてから2種類の柄が正面から見えるように調節します。結び目を作らないため、2次会などカジュアルなパーティーシーン向きです。
華やかなタイチェーン
タイチェーンはアクセサリーとしての役割が大きいため、パーティー向きです。
ネクタイを結んだ後に大剣の方からチェーンを通して、留めたい場所のシャツボタンに金具を掛けて固定します。揺れるチェーンが光を反射するため、視線を集める効果があります。
付ける位置は高めがおすすめです。シャツの第二ボタンを目安にします。
種類が豊富なラペルピン
ラペルピンはスーツのラペル(下襟)に付けるアクセサリーです。基本は左胸のラペルにあるフラワーホールを利用して付けます。針を使ったアクセサリーです。パーティーシーンの定番アクセサリーのため種類も豊富です。
1.スティック型
スティックの片側の先端が針になっています。もう片方の先端にはモチーフが付けられており、この部分が上になります。フラワーホールに差し込み、先端をラペルの表に出して留め具で固定します。チェーンが付属するものは、裏に針を出してチェーンを裏で固定する付け方もあります。
2.ピンズ型
フラワーホールのみを使用するシンプルなピンズタイプです。2つのピンズをチェーンで繋いだタイプも人気です。このタイプは、装飾が大きいピンズをフラワーホールで使用し、チェーンで繋がれた小さい方のピンズをフラワーホールの向かって左下に配置します。
アクセサリーをスーツに使用するコツ
スーツスタイルでアクセサリーをバランス良くコーディネートするコツは簡単です。
胸元のアクセサリーを3つに絞ります。
最もバランスが良いと言われているのが、アクセサリーで三角形を作るパターンです。
例えば、ネクタイ、ポケットチーフ、タイバーであれば、ネクタイの結び目とポケットチーフ、タイバーを線で結ぶと三角形のアクセントが完成します。
ネクタイ、ベスト、ポケットチーフのパターンや、ネクタイ、ラペルピン、タイバーなどの三角パターンも考えられます。
3つ以上使用する場合は、ネクタイとチーフの色合いを統一するなど、コーディネートの色数が増えすぎないように選ぶとスマートにまとまります。
アクセントが多すぎると視線が定まらず、コーディネートもまとまりにくくなります。
ほんの少しの引き算で、スーツスタイルはスタイリッシュになります。
アクセサリーのNGパターンは?
パーティーシーンはお祝い事であるケースが多いため、結婚式などでは特に腕時計を避ける傾向があります。
お祝いの場面では、時間を見る仕草は避けた方が無難です。周囲の人に、「退屈だ」「早く帰りたい」という印象を与える可能性があるためです。時間を忘れて祝い楽しむという趣旨があるパーティーでは、アクセサリーとして腕時計を使用することは避けます。
腕時計は会場に到着したらポケットなどに入れておきます。時間の確認は室外へ出たタイミングを利用しましょう。
今回は、パーティーや会食など華やかな場でスーツを着こなすための小物の使い方を紹介しました。小物は個性を表現するのに最適なアイテムです。ぜひ気に入ったものを見つけて取り入れてみてくださいね。
今回は、パーティーシーンでのスーツに合わせるアクセサリーにについて解説しました。体にぴったりと合ったサイズのスーツに、シャツとネクタイをコーディネートして、アクセサリーを添えることで、華やかなパーティーシーンにふさわしい着こなしになります。近年はスリーピーススーツやオッドベストが人気です。ベストがあることで、Vゾーンが狭くなるクラシックなコーディネートが流行しているため、タイバーを使用するケースは少し減少しています。必然的に左胸のポケットチーフや、ラペルピンなどが、引き立つ着こなしになっていることも、最近の傾向と言えます。また、ネクタイの結び目を上向きにするピンホールシャツなども、コーディネートが新鮮に感じられるためおすすめです。さりげなく襟元に光るシルバーのピンが、クラシックで知的な雰囲気を作ります。襟に付けるアクセサリーであるラペルピンには視線を上げる効果があります。また、腕を曲げたときだけ見えるカフリンクスも魅力的なアクセサリーです。普段見えない場所のお洒落は、ふとした瞬間に目に入ると非常に好印象です。パティーシーンのような飲み物を手にする機会が多い着用シーンでは、特におすすめのアイテムです。