新社会人のビジネスマナーとは?新入社員としての基本を解説します
この記事では新入社員のビジネスマナーについて解説しています。新入社員のうちは、会社での自分の行動一つひとつが気になりますよね。中には新入社員の一挙手一投足に口出ししたい、お節介な先輩社員もいるかもしれません。慣れない環境であるうえに、慣れないビジネスマナーを守らなければならない。仕事をする以前にやることがたくさんあるのが新入社員の実情です。しかし、どれほど活躍している先輩や上司でも、はじめは全員新入社員でした。基本的なことを教えてもらったら、あとは実戦の場で失敗しながら覚える。それを繰り返しながらビジネスマナーも仕事のパフォーマンスも向上させてきたのです。その中で簡単に改善できるビジネスマナーもあります。それは見た目に関すること。爪や髪をきちんと切り、毎日髭をきちんと剃る、あるいはきちんとメイクする。そして自身の身体にぴったりフィットするスーツを着る。これだけで見た目の印象は大きく変わります。そしてあいさつも大切です。自分から元気よくあいさつすれば、多くの人があいさつを返してくれるでしょう。あいさつはコミュニケーションの基本でもあるため、自分からあいさつする癖をつけておいて損することはありません。ほかのビジネスマナーはこれらができてから身につけても遅くありません。
ビジネスマナーはなぜ必要なのか
ルールと違い明文化されていないのがマナーですが、社会生活を円滑にするために欠かせないものともいえます。
マナーは自発的に守る礼儀作法として、相手を思いやる気持ちが自然と表に出ます。
マナーを守ることで人柄を印象づけ、相手からの高い信頼につながるでしょう。
またビジネスマナーを守ることで会社の内外から信頼を得ることができ、会社や自分自身の価値をより高めることができます。
その点からいえば、業務の成果を上げるためにも、ビジネスマナーはなくてはならないといっても過言ではありません。この記事では身だしなみを含めたビジネスマナーのポイントを解説しています。
スーツが第一印象を左右する
人の第一印象は3秒で決まる、見た目は第一印象を決める重要な要素である、などと言われるよう、言葉を交わす前の非言語コミュニケーションは相手に大きな影響を与えます。
メラビアンの法則(※1)を知っていますか?
メラビアンの法則では、人と人とのコミュニケーションにおいて視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が残りの7%を占めるというものです。この法則は1971年にアルバート・メラビアンという心理学者によって提唱されました。つまり、約50年前から見た目が人の第一印象を決めることが、証明されていたのです。
自分の見た目に自信を持てない方も多くいるでしょう。しかし、だからといって自分の見た目に無頓着のままいると第一印象がますます悪くなり、身だしなみに対して最低の評価を得るかもしれません。基本的なことで相手からの信用を失わないように、気を付けましょう。
ビジネスにおいて第一印象を決めるのは、戦闘服ともいえるスーツの着こなしです。
スーツはTPOにあったものを着用するとともに、清潔感のある着こなしを心がけましょう。
どのようなシーンでどのようなスーツが望ましいのか、具体例をいくつかご紹介します。
※1:NTTコムウェア「メラビアンの法則とは?5つのビジネスシーンにおける活用法も解説」
歓迎会の服装マナーについては、Speedyのこちらの記事もご参考ください。
入社式や会社の式典では堅実なイメージにしよう
入社式をはじめとした各種式典では、ビジネスシーンの中でもよりフォーマルな出で立ちがふさわしい服装といえます。
ネイビーやライトグレー、ブラックなど、派手さがなく堅実なイメージのシングルスーツなら、式典だけでなくビジネスで万能に使える1着として重宝します。
シャツの色はホワイトや淡い水色など爽やかな印象を与えるものに、選択に困る場合は白無地にすれば着回しが自由です。
ネクタイの色はネイビーやえんじ色、柄は無地や水玉など、スマートかつ目立たないものを選びましょう。
フォーマルな場面でスーツにあわせる正式な靴は黒のストレートチップが望ましく、ビジネスでも違和感がないため1足あればどんな場面でも使えるでしょう。
商談や営業などで会社外の人と関わる時
商談や営業活動は最も一般的なビジネスシーンで、自社の代表として相手に接する機会でもあります。
式典ほど細かい制約はありませんが、ダークネイビーやチャコールグレーなど、濃い目の色を選んで好印象を与えれば、信頼構築にひと役買ってくれるでしょう。
ビジネスでは特に、スーツのサイズ感に注意しましょう。
大きすぎても小さすぎてもだらしない印象になるので、店舗で入念にチェックした上で、最適なサイズを選ぶ必要があります。
オーダースーツであれば、体形を気にせず自分に合ったサイズのスーツを作ってもらうことができます。
合わせる靴は、つま先や甲に飾りがついていないプレーントゥが定番です。
色は黒や茶系など、濃い目を選びましょう。
クールビズや真冬など特殊な服装
冷暖房のコストを抑える目的から、近年ではクールビズやウォームビズなど、必ずしもスーツ+ネクタイという組み合わせにこだわらない着用シーンも増えています。
コーディネート力が試される場面でもありますが、着こなしに自信がない人はシャツを変えるだけでも印象を激変させることができます。
華美になりすぎないことを注意しながら、ホワイト以外のシャツを着用するところから始めてはいかがでしょうか。
スーツの色や柄は、他のビジネスシーンよりも自由度が広がります。
清潔感や爽やかなイメージを意識することは共通しますが、ストライプやシャークスキンなどで個性を出すのもよいでしょう。
またクールビズなどの環境では、靴の種類をカジュアルよりにしても不快感を与えることが少ないのではないでしょうか。
メダリオンと呼ばれる飾り穴のついたウイングチップや、紐なしの革靴であるモンクストラップなど、デザイン性のよいものを選べば、さりげなく自己主張ができるでしょう。
あいさつはビジネスマナーの基本
ビジネスに限らず、あいさつは人と接する上で欠かせないマナーです。
自分からあいさつすることで相手に好印象を与えるとともに、会社の肩書きを背負ったビジネスシーンでは、自社のイメージアップにもつながります。
「おはようございます」「いらっしゃいませ」「失礼します」「お疲れ様です」「ありがとうございます」などはっきりと聞こえる声で、相手の目を見てあいさつするようにしましょう。
作業中にあいさつをする場合でも、パソコンの画面を見ながらではなく、顔を相手の方に向けるだけで優しさや親切心を与えることができます。
職場にもよりますが、会社に慣れてくると、社内できちんとあいさつしない人が意外に多いことに気付きます。そのようなとき、あなたがきちんとしたあいさつを続けていれば、よい意味で目立つでしょう。また、あいさつは人とのコミュニケーションの基本です。自分からあいさつすることで、相手からよい印象を抱いてもらい、仕事を円滑に進められるようにしましょう。
ビジネスならではの言葉遣いも意識
ビジネスでタメ口はもってのほか、学生時代以上に正しい敬語を使うことを意識しましょう。
シーンによって丁寧語や尊敬語、謙譲語を上手に使い分けることで、相手に失礼のない会話をしたいところです。
同じ「見る」でも、丁寧語では「見ます」、尊敬語では「ご覧になる」、謙譲語では「拝見する」になります。
お互いの関係や立場を理解した上で、誤った表現にならないよう注意しましょう。
言葉遣いで不安なときは、丁寧語で相手を敬うことを意識して上司のペースに合わせることから始めてもよいでしょう。
時間厳守はビジネスマンの常識
出社時や待ち合わせのときなどは、絶対に遅刻してはいけません。
始業時間はあくまでも「仕事を始める時間」であり、「この時間まで出勤すればセーフ」ではありません。
勤務時間が始まる前に出勤し、ひと呼吸置いて頭の中を仕事モードに切り替え、そこから仕事を始めることで効率や結果を上げることができるでしょう。
待ち合わせをしているときや会議に出席するときは、いわゆる「5分前行動」を意識するのも重要です。
早すぎても相手に失礼になることがあるので、ビジネスにおいてはタイムマネジメント力を高める努力も忘れないようにしたいところです。
体調不良などで、やむを得ず欠勤する場合や商談や会議の約束を欠席する場合は、行けないことが判明した時点ですぐに連絡を入れるというのも、社会人としての常識です。
もちろん、体調管理も仕事の一環です。
休日まで仕事を意識する必要はありませんが、体調を万全に整えておけば充実したプライベートを過ごすこともできるというものです。
自分の時間を守ること以上に、相手の時間を守ることを大切にしましょう。たとえば、あなたが商談でクライアントの企業を訪問したとしましょう。商談開始時刻に余裕を持って到着することは当然ですが、商談開始時には終了予定時刻も伝えたほうが丁寧かもしれません。相手は忙しい仕事の合間を縫ってあなたの話を聞いてくれています。商談が何時に終わるのか分かっていれば、相手も安心してあなたの話を聞けるでしょう。
商談ではタイムマネジメントも重要です。予め目的と流れを考えてから商談に臨んでいるでしょう。しかし、会話は相手のあることなので、予定通りに進むとは限りません。仮に相手の話が弾んで商談が思うように進まなかったとしても、終了予定時刻を守るようにしましょう。
どれだけ忙しい人にも、それほど忙しくない人にも、時間は平等に24時間しか与えられていません。そのうちの貴重な30分や1時間をあなたとの商談に使ってくれているのです。まずは商談の場を設けてくれたことに感謝しましょう。万が一商談に遅れそうなことがわかれば、すぐに先方や上司に報告・連絡するよう心得ておきましょう。
コミュニケーションツールの活用法
SNSによるコミュニケーションが主流の現代において、最近の新入社員は電話慣れしていない人も多いのではないでしょうか。
ビジネスで電話をかける場合は特に、氏名だけでなく会社名や部署も伝え、相手先の部署や名前もできるだけ具体的に伝えましょう。
もちろん、正しい敬語は必須です。
また電話に加え、チャットツールやメールも上手に活用すると、より効率的に業務を進めることができます。
緊急かつ重要なやり取りでなければ、文字のやり取りで済ませるという方法も使い分けましょう。
ビジネス上のコミュニケーションツールにはそれぞれ特徴があります。たとえば、電話は相手の理解度合いを確認しながら情報を伝えられますが、記録が残らないため聞き間違いや「言った・言わない」で揉めることがあります。また、電話は相手の時間を相手の意図しないタイミングで奪うことになります。電話をかける前にテキストベースのコミュニケーションで相手の事情を伺う方がよいかもしれません。
また、若い方には少ないかもしれませんが、メールなどテキストベースのコミュニケーションですむ内容を電話で伝えていては、相手に迷惑だと思われるかもしれません。
近年ではテキストコミュニケーションのツールも、以前と異なるものを使用する風潮にあります。以前はメールを使うことが基本でしたが、近年ではチャットツールを使うことも増えました。メールは基本的に相手が見たかわかりませんが、チャットには相手が見たか分かる場合があります。メッセージをもらって見た後に反応しないと、「メッセージを送ったのに無視された」と感じる人もいるかもしれません。
また、チャットツールには「いいね」のように、返信以外の反応手段があります。「いいね」の使い方は企業や組織の習慣によって異なるかもしれませんが、困るのは「いいね」だけしてテキストで返信しない人です。特にクローズドクエスチョン(はい・いいえで答えられる質問)に対して「いいね」だけだと、肯定しているのか、あるいはただ「読んだ」という意味で「いいね」しているのか区別がつきません。
形は変わってもコニュニケーションの基本は相手を思いやることです。自分に不足する部分があるのなら、自ら課題を課して克服していきましょう。
互いを知るきっかけの名刺交換
ビジネスシーンにおいて、初対面での名刺交換は欠かせない場面のひとつです。
名刺入れは常備し、名刺のキズや汚れ、十分な枚数があるかなどを日頃から確認しておきましょう。
名刺交換の際は、「会社名」「部署名」「フルネーム」を名乗りながら両手で名刺を持ち、胸の高さを目安に相手より少しだけ低い位置で渡すことを意識することが大切です。
複数人と名刺を交換する場合は、職位が上の人から渡すというマナーがあります。
交換した名刺はすぐにしまわず、打ち合わせや会議の席上では席順に並べましょう。
また交換した名刺は、ずっと名刺入れに入れたままではいけません。
名刺整理用のファイルなどを購入し、定期的な整理を忘れずにしておきましょう。
社会人になるとプライベートの人脈が広がるでしょう。大学時代のようなただ遊ぶだけでの関係ではなく、同じ業界のつながりや、同年代の他社の社員とのつながりもできるかもしれません。このようなとき、名刺の配りすぎには注意しましょう。
たしかに名刺は会社から支給されますが、当然その名刺を用意するために費用がかかっています。また、名刺はあくまでも業務での使用を想定してあなたに支給しているものです。業務外で名刺を配りすぎて、すぐに追加で発注しないといけないことにならないよう気を付けましょう。
コンプライアンスや守秘義務は必須
法令遵守とも呼ばれるコンプライアンスは、今や世界中の常識として守らなければならない事項です。
法律はもちろん、企業倫理や社会規範などにのっとり公正な業務を遂行するためには、新入社員でも規範性の高い行動が求められます。
また業務によっては、個人情報や企業内部の情報を取り扱う機会が多いものがあるのではないでしょうか。
業務で知り得た秘密を外部に漏らしていけないという守秘義務は、退職してからも守らなければなりません。
相手の秘密を守るのは、人と人との付き合いでも重要なマナーです。
ビジネスでは特に、守秘義務違反は業績や自分の人生を大きく左右するので、マナーというよりも生きていくために必要なルールともいえるのではないでしょうか。
業務をするなかで、自社・他社問わず機密情報や個人情報を扱うことがあるでしょう。個人情報はともかくとして、機密情報はすべてにその旨が書かれている訳ではありません。会社の建物や設備を無断で撮影するのは以ての外ですが、個人のSNSアカウントにそのような情報を記載しないように気を付けましょう。特に上場企業の情報については注意が必要です。株価に影響するような機密情報を公開前に知って他者に教えた場合、インサイダー取引となり罰せられる可能性があります。業務で知り得た情報は、あくまでも業務で使用するもの。故意か否かにかかわらず流出させないように気を付けましょう。
新入社員研修も有効活用しよう
ビジネス規模の大小を問わず、企業では近年、特に人材育成や人材確保という観点を重視して、さまざまな研修制度を整えるようになりました。
多くの場合、最初の研修として新入社員向けにビジネスマナー講座を開講します。日々の業務に加え、研修でビジネスマナーを学ぶ機会が増えたという事実は、ビジネスマナーがどれほど重要かということを如実に物語っているといえるでしょう。
研修で学んだことを普段の業務に活かしたり、業務で知ったことの裏付けとして研修内容を確認したりと、時折自身のビジネスマナーを振り返ることも大切です。
参考:新人研修に動画を活用する!メリットと事例や制作のポイントも解説 / ムビサク
ITスキルを磨きたい方は、「マナビタイム」もご参考ください。
この記事では新入社員のビジネスマナーについて解説しました。メラビアンの法則による、人と人のコミュニケーションに占める視覚情報の割合は55%といわれています。「人の見た目が印象を決める」ということが、心理学的に証明されているのです。これはスーツにも言えることです。身体より大きなサイズのスーツを着ていると野暮ったく見え、身体より小さなサイズのスーツを着ていると余計な部分に皺ができます。いずれにしても「自分の見た目に無頓着な人」、あるいは「自分の体型をコントロールできない人」と思われ、よい印象は抱かれないでしょう。スーツは身体にフィットするオーダースーツの方がよい印象を与えるのは、言うまでもありません。ビジネスでは基本的に相手のことを考えて行動しましょう。自分が時間を守るのは当然として、相手の時間を無駄なことで奪わないようにしましょう。また、電話やメール、それにチャットなどそれぞれのコニュニケーションツールには特徴があります。緊急度合いや伝えたい内容に応じて適宜使い分け、不必要に相手の時間を奪わないようにしましょう。また、数字を伝える場合など記録に残す方がよいときはメールやチャットを使う、あるいは電話と併用する方が相手に親切です。相手のことを考えて仕事ができれば、それだけであなたは同期の方より能力が高いと認められるかもしれません。