意外に知られていない!?段返り三つボタンスーツとは?─今注目されているイギリススタイルのスーツについてご紹介
ビジネスマンに馴染み深いスーツ。イギリス、イタリアスタイルのスーツが代表的となっていることはご存じでしょうか。
今回は、段返り三つボタンを特徴とする、イギリスのスーツ、ブリティッシュスーツについてご紹介します。
ブリティッシュスーツの特徴とは
スーツには様々な国のスタイルが存在します。始めにイギリス、イタリアを挙げましたが、その他にフランスやアメリカのスーツなどもその国独特のスタイルを保有しています。
そしてそれらのスーツは実はすべてイギリスのスーツをベースに各国独自のアレンジが加わったものなのです。
スーツの礎ともいえるブリティッシュスーツの特徴は、重厚で格式があり男らしさを強調させ、鎧とも例えられる屈強でクラシカルなスタイルです。
肩
パッドを入れ立体感を持たせます。
また袖山が盛り上がったラインになっており、このラインはコンケープドショルダーなどと呼ばれています。
肩に沿ったラインに仕上げるものとは型紙が違い、コンケープドショルダーを作ることが出来る技術を持つ人が減ってきているそうです。
緩やかに下がる肩を上向きにすることで、凛々しい印象を演出してくれます。
Vゾーン
Vゾーンが狭いのもブリティッシュスーツの特徴です。シャツやネクタイをしっかりと見せないので、フォーマルで格式高い印象を与えます。イタリアンスタイルのスーツはこの逆で、広いVゾーンで胸元を強調するスタイルです。
腰元
ブリティッシュスーツはウエストの絞りは高めになっており、ボディラインを引き締めつつ、強調しすぎないシルエットとなっています。
また腰元のポケットの切れ込みが斜め方向に入っているのも特徴の一つです。
このスタイルのポケットをハッキングポケット又はスランテッドポケットと呼びます。
元は乗馬中に前傾姿勢になった際に手を入れやすく、そして入れたものを落ちにくくする目的で斜め方向になっていたことの名残だそうです。
定番の水平のポケットよりも、腰回りをスマートに見せ胸を厚く見せる効果があります。
素材
一年を通して曇天の日が多く湿気が高いイギリスでは生地の強度を保つために、重くて硬い生地で作られます。
経糸横糸共に双糸(2つの糸をより合わせた糸)を使用することで強いハリとコシが生まれ、シワにも強い生地となっています。
華やかな色使いや光沢があるものではないため、一見地味ではありますが耐久性・復元力が高く機能性は抜群。
また胸元や襟に生地の形を保つために入れられる「毛芯」と呼ばれる素材について、ブリティッシュスーツでは質が高い動物性のものを使用する事が多く、これにより胸回りの厚みが増しています。
イギリスにおけるスーツの歴史
ビジネスや休日のお出かけにも着用できるスーツは、冒頭でも触れたようにイギリス・イタリア・フランス・アメリカ製と多岐にわたりますが、スーツ発祥の地は、イギリスと言われています。
ロンドン中心地にあり、テーラーが集まるストリートを「サヴィル・ロウ」と言います。
最古のテーラーとされるヘンリー・プールがここに店を構えた1846年から数えると、なんと170年以上の歴史があるのです。
ちなみにこのサヴィル・ロウ、ビジネススーツを示す日本語である「背広」の語源となった、なんてエピソードもあります。
(背広の語源については諸説あります)
実はあのナポレオン三世やチャーチル首相も、ヘンリー・プールでスーツを仕立てていたそうですよ。
さてイギリススーツにはどのくらいの歴史があり、どんな物語があるのでしょうか?
それではイギリススーツの歴史について紐解いていきましょう。
フロックコート
スーツの始まりは16世紀から17世紀、農民が農作業や外出時に着用していた「フロック」だと言われています。
このフロックが18世紀ごろ、素材が上質なものへ、仕立ても洗練されグレードアップしたことで進化し、フロックコートとなりました。
そしてシャツ・ベスト・ズボンを組み合わせた普段着にプラスして、このフロックコートとネクタイを組み合わせたスタイルが英国紳士の正装として確立されました。
これが現代のビジネススーツにおけるスリーピーススタイルの原型です。
現在フロックコートそのものは廃れ、結婚式で新郎が着用する程度でしか目にすることはありません。
フロックコートからの発展
正装として定着していたフロックコートですが、膝まであるフロックコートは朝の散歩や乗馬の際に不便だったため、19世紀ごろになると前の裾を切り落としたモーニングコートや燕尾服が誕生しました。
朝の日課として乗馬をした後そのまま宮廷へ上がる礼服として定着したため、モーニングコートと呼ばれていました。
現在では昼間に着用する男性の最上級の正装として定着しています。
一方で、モーニングコートと同じように前裾が大胆に切り落とされ、乗馬の際にもたつかぬよう、裾が燕の尾のように二つに割れたスタイルの燕尾服は、現在では夜間の正装として定着しています。
さらなる変化
19世紀中頃には、燕尾服はディナーの席で着用されていたとされています。
ディナーといっても我々が想像するような和気あいあいとした楽しい場ではなくワイン以外のお酒は禁止、話せる話題も限られた堅苦しい時間でした。
そしてそのようなディナーの後、男女それぞれラウンジルームと呼ばれる部屋に移動し、男性はその部屋でソファに腰かけお酒やたばこを嗜みようやく寛いだといいます。
その際、フォーマルで裾が長い燕尾服では不便だったため、ラウンジ専用で着用する丈の短いラウンジジャケットが着られるようになりました。
たばこを吸う際に着用されていたことから、スモーキングジャケットとも呼ばれています。このジャケットが現代のスーツの上着の基となっているといわれています。
丈が短いジャケットの広まり
元々スコットランドの労働者が着ていたツイードジャケットを原型とするラウンジジャケットは、当初着用はラウンジルーム内に限られていました。
この時代、お尻や脚を見せることは「はしたない」とされていたためです。
しかし、着心地の良いラウンジジャケットはそれまでの服とは違った着心地の良さと動きやすさから好評を得て、ついにラウンジルーム外でも着用されるようになりました。
その後、それまで別の生地で仕立てられていたジャケット・ベスト・パンツのスリーピースを、全て同じ生地で揃えるスタイル、ラウンジスーツが広がっていきます。
その後「ラウンジ」が省略され、「スーツ(Suits)」─「ひと揃いの服」となりました。
こうして現在のスーツスタイルが出来上がったのです。
スーツが日本に入ってきたのは?
日本にスーツが入ってきたのは、鎖国が終わり海外との交流をするようになった幕末からだと言われています。
その後、明治維新以降にスーツが入ってきて、明治5年11月12日には「礼服には洋服を採用す」といった太政官布告令が出され、次第に皇族や華族の間で洋装が取り入れられるようになりました。(その後、この令が出されたことから11月12日は洋服記念日に制定されました)
しかし明治時代初期は和装を着用する人がほとんどで、洋装は富裕層や貴族のものであったそうです。
その後スーツは明治の末期から大正にかけて広まっていきました。
大正時代に入ると洋装は庶民の間にも浸透していきました。
ただこの時代はまだ日本の機械は発達しておらず、スーツというと高価なオーダーメイドのみでした。
日本人の体型でブリティッシュスーツは似合うのか?
生地が柔らかく、曲線的なシルエットが特徴のイタリアンスーツが、日本ではスーツスタイルのベースとされています。
それは平均身長や前肩の人が多いといった身体的特徴がイタリア人の特徴に近く、生地も軽量で動きやすいからです。
それに対し、ラウンジジャケットを礎とした伝統あるブリティッシュスーツは、肉厚な作りでハリとコシが強く、一時の流行に流されることのない普遍性と正統派のスーツでありながらトレンドを取り入れる柔軟性を両立しています。
伝統を重んじる国柄ゆえ保守的なスタイルでもあり、知的・誠実・信頼感などの紳士的なイメージを演出してくれます。
これは日本人のイメージにも共通しているため、ブリティッシュスーツは日本人のイメージにも良く合います。
ブリティッシュスーツの直線的で角ばったシルエットや肩パッドが入った作りは寸胴でスーツに着られてしまっているといった印象を生み出してしまいがちなので、購入する際はオーダースーツを選び、自分の体に合った作りに調整してもらうと良いでしょう。
イギリス式の段返り三つボタンはダサい?
三つボタンのスーツはダサいや時代遅れだといった印象をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
バブル期に流行したものはゆったりとルーズなシルエットの物が多いため、タイトめなシルエットが主流の現在だと野暮ったく感じてしまうかもしれません。
しかし現在の三つボタンというと段返り仕様となっています。
段返りとは、第一ボタンがラペル(下襟)の折り返し部分にあり、ボタンを隠すように折り返されている仕様のことを言います。
通常の三つボタンスーツだと上二つのボタンを留めて一番下を留めないのが基本のスタイルですが、段返り仕様の際は真ん中のボタンのみを留め、上下のボタンは留めません。
スーツの第一ボタンを留めないことでVゾーンが綺麗に広がり、スッキリとした印象にすることができますよ。
この段返り仕様ですが、クリーニングに出す際には注意が必要です。
その理由として襟のアイロンの位置をボタンホールの位置に合わせて当てられてしまうことがあるからです。
ボタンホールの位置でプレスしてしまっては、段返りではなくなってしまい間延びした野暮ったい印象になってしまいます。
クリーニングに出す際は段返り仕様であることを、クリーニング店に告げることを忘れないようにしましょう。
ブリティッシュスーツをオーダーメイドで作れるか?
スーツ発祥の地であるイギリスでは、スーツを買うときはオーダーメイドが基本とされています。
紳士服の聖地、サヴィル・ロウにはビスポークスーツを仕立てる高級店が軒を連ねています。
ビスポークスーツとは Be Spoken(話し合う)が変化した造語です。
聖地とも言えるイギリスでも、伝統的なブリティッシュスーツを求めるときはフルオーダーメイドで作るとされており、ブリティッシュスーツは既製品よりもオーダーメイド向きといわれています。
現在においてもイギリスではスーツを購入する際はオーダーメイドするというのが基本なのです。
サヴィル・ロウで現存する最古のテーラーであるヘンリー・プールも1846年からビスポークスーツを仕立てていたとされています。
つまり、ブリティッシュスーツとオーダーメイドの相性は長い歴史がある定番の組み合わせといえるのです。
着物が似合うなで肩で小柄な日本人に対して、肩パッドがしっかりと入った重厚で男らしさを強調するブリティッシュスーツはややアンバランスなため、スーツに着られているような見栄えの悪さが出てしまうかもしれません。
しかしそれもオーダーメイドであれば、自分の身体に合わせて仕立ててくれるため、心配ご無用です。
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