革靴の選び方:ビジネスからカジュアルまでのおすすめガイドのアイキャッチ画像
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革靴の選び方:ビジネスからカジュアルまでのおすすめガイド

スーツを完璧に仕上げるためには、適切な革靴選びが欠かせません。一見シンプルに見える革靴ですが、形やデザイン、用途によって選び方が異なります。本記事では、ビジネスやカジュアルシーンに適した革靴の種類や選び方について詳しく解説します。これから就職活動を始める学生や、ビジネスシーンでの靴選びに悩む方々にとって、役立つ情報が満載です。

おしゃれなメンズは知っている!革靴の各部の名称

一見シンプルな作りの革靴。しかし、革靴は多くのパーツを組みあせて作られているのです。

以下に革靴に使われているパーツを紹介いたします。

  • ボックストゥ:先芯とも呼ばれる。靴の爪先部分に入れる芯のことで、つま先の保護の形状を崩さないために使用する。
  • トゥキャップ:飾り革とも呼ばれる。つま先部分を覆う飾り用の革(外側から見える)。
  • バンプ:爪先靴とも呼ばれる。甲とつま先を覆い、トゥキャップと羽根を結ぶ。
  • 羽根:両サイドから甲に覆いかぶさっている。靴紐を通して締め具合を調整する。
  • レース:靴紐とも呼ばれる。締め上げて結ぶことにより、靴を足にフィットさせる
  • アイレット:鳩目とも呼ばれる。靴紐を通すための金属製の輪。羽根の保護という機能のほか、装飾性もある。
  • タン:舌革とも呼ばれる。両サイドの羽根の間にあり、泥除けの機能がある。
  • クォーターライニング:腰裏とも呼ばれる。靴を履いたときにかかとが接する靴内側の部分。柔らかく滑りのよい素材が使われる。
  • クォーター:腰革とも呼ばれる。かかとの両サイドと背面を覆う。クォーターライニングのちょうど外側になる。
  • カウンター:月芯型とも呼ばれる。かかと部分の保護と、歩行時の安定性を高める機能がある半円状の芯。
  • 中敷き:靴の内側で、足裏が接する部分に敷かれる。クッション性がありフィット感を高める目的で使われる。
  • シャンク:踏まず芯とも呼ばれる。靴のインソールに埋め込まれていて、足の土踏まずのアーチ形状を支える。
  • アウトソール:本底または表底とも呼ばれる。歩行時に靴の底部を保護するのが役割。

革靴のデザインの種類

靴のデザインにはいくつかの種類があります。靴の形及び羽根の形に分けて解説いたします。

革靴の形

ストレートチップ

ストレートチップはつま先に横一線の切り替えが入っているオーソドックスな革靴。リクルートやビジネスから冠婚葬祭まで幅広く使えるのが特徴です。横一線の切り替えがあるのは履き皺が付きにくくするため。履き皺とは、指の関節の位置に入る横皺。通勤や営業など革靴を履いてよく歩く人は履き皺が入りやすい傾向にあります。ストレートチップにある横一線の切り替えが「履き皺」を付きにくくしてくれるのです。

ストレートチップの革靴にはブラックやブラウンなどさまざまなものがありますが、ブラックのストレートチップの革靴を「クロスト」と呼びます。

プレーントゥ

つま先の装飾が何もないシンプルなデザインがプレーントゥ。つま先部分にやや丸みを帯びているデザインが多く、シンプルながら優しい雰囲気も持ち合わせています。ただし、シンプルであるがゆえ、靴のフォルムや素材の良し悪しが出やすい靴でもあります。

内羽根(羽根と革靴が一体化)と外羽根(革靴の外側に羽根が付いている)でフォーマル度が変わりますが、よりフォーマル度が高いのは内羽根。そのため、ビジネスシーンや冠婚葬祭などかしこまったシーンで幅広く使えます。

Uチップ

足の甲をUラインで切り替えており、甲の部分にボリュームを持たせているのが特徴。日本人に多いとされている幅広・甲高の足にもきちんとフィットします。雰囲気はフォーマル過ぎずカジュアルすぎずバランスが良いのが特徴。プレーントゥと同様に幅広いシーンで履けます。

ウイングチップ

紐付きの革靴の中ではもっとも装飾性の高いタイプ。切り替えに穴(飾り穴:デザインの一種)が開いており、切り替えが、鳥が羽根を広げたようなW字型のデザインをしていることからウイングチップと呼ばれます。

フォーマルなシーンでも使用できますが、エナメルのような光沢がある革靴は派手な印象になりがち。ビジネスなら大切な商談など、デリケートなシーンでは履かない方が無難かもしれません。反対にカジュアルなパーティーならファッションセンスを前面に押し出せます。

モンクストラップ

フォーマルなシーンで履く革靴の中では珍しい靴紐のないタイプ。靴紐の代わりにストラップとバックル(ベルトを留めるための金属製のベルト)が付いています。靴紐がなくカジュアルよりの印象となるため、ビジネスシーンでは履く人の役職や履く場面を選ぶ傾向があります。

ちなみに「モンク」とは教会の修道士のこと。もともと修道士が履いていた靴から派生したことからモンクストラップと呼ばれています。モンクストラップには、よりファッション性の高いダブルモンク(2本のストラップ)もあるため、スーツファッションに自信のある方は挑戦しても良いかもしれません。

ローファー

ローファーとは靴紐がなくスリッパのように履いたり脱いだりできる靴のこと。学生時代に履いていた方も多いのではないでしょうか。甲やつま先を包み込むようにアッパー(靴のうち甲の部分)を縫い合わせる「モカシン縫い」を採用しているため、シンプルでありながらアクセントの効いたデザインとなっています。

デッキシューズ

デッキシューズの原型は、船員が船の甲板上で作業するときに滑らないように考えられたもの。そのため、靴底はラバーで作られており、滑り止めの切り込みが入れられています。夏の海を彷彿とさせるコーデでよく使用されますが、柄や素材を工夫すれば秋冬コーデで履いても不自然になりません。ただし、基本的にカジュアルなシーンで履く革靴のため、フォーマルシーンで履くのは避けた方が無難です。

羽根の種類

革靴の羽根の種類には外羽根と内羽根の二種類があります。それぞれの特徴は次の通りです。

外羽根式

羽根が革靴の外側についているのが外羽根式。ほどよいカジュアル感を持ちつつフォーマルにも使えるため、コーデの幅が広いことが特徴です。また、内羽根式に比べて羽根が開くためフィット感の調整がしやすいことも。通勤や営業の外回りで歩くことが多い人に向いています。

内羽根式の方がフォーマル度は高くなりますが、外羽根式もビジネスシーンなどフォーマルな場での使用が一般的になってきました。そのため、よほど格式高いシーンでない限りは外羽根式の革靴を履いても問題ないでしょう。

内羽根式

羽根が革靴と一体化しているのが内羽根式の特徴。一般的に外羽根式よりフォーマルなデザインとされています。そのため、冠婚葬祭などかしこまったシーンで履くのに向いているのが特徴。

外羽根式との機能面の差は羽根の開き具体。内羽根式の方が、羽根が開きづらい傾向にあるため、(外羽根式と比較すると)やや履きづらくややフィット感に欠けるという懸念点もあります。しかし、すっきりとしたデザインで落ち着き感もあるため大切なシーンで履く場合は内羽根式の方が適しているでしょう。

つま先の形状

つま先を大きく分けると、丸い形状のラウンドトゥと細長い形状のロングノーズがあります。飽きが来なく長く使えるのはラウンドトゥ、色気やファッション性を表現したい場合にはロングノーズが適しているとされています。ラウンドトゥは比較的落ち着いていてイギリス製の靴に多く、ロングノーズはおしゃれ感があってイタリア製の靴に多いことを踏まえると、それぞれの国におけるスーツに対する考え方が、そのまま革靴にも現れているのかもしれません。

革靴を選ぶ時のポイント

革靴を選ぶときには、大きく分けて五つのポイントがあります。

サイズ

革靴を選ぶとき、もっとも気にしなければならないのはサイズです。購入前にする試し履きは、足がむくみやすい夕方に、革靴を履くときに使用する靴下とともに行うのが良いとされています。このとき、つま先に余裕(捨て寸)があるか確認しましょう。

余裕がないと小指が革靴の内側に接触したまま歩くことになり、痛みが発生する場合もあります。同様にくるぶしも革靴にきつく接てしないか確認しましょう。通勤や営業の外回りでは意外に歩く距離が長くなります。そのようなとき、靴擦れを起こすと仕事に集中できなくなるでしょう。ほかにも、土踏まずに圧迫感がないか確認したり、履くときに羽根が十分開くか確認することも大切です(履いたとき、鳩目どうしの感覚が1cm程度なら適正)。

試し履きするときは、実際の使用シーンを想定して発生しうる不具合を予めピックアップできると良いでしょう。不具合を回避できる革靴を選べば、サイズ選びという観点から問題なく長く使える革靴と出会えるでしょう。

革靴の色のうち代表的なのはブラックとブラウンです。ブラックはダークネイビーなど暗めのスーツに、ブラウンはネイビーやライトグレーなど明るめのスーツと相性が良いとされています。しかし、迷ったときはブラックにしておくと無難です。ブラックは幅広いシーンに対応しているため、一足持っておけばいざというときに便利でしょう。

素材

革靴の素材は大きく本革製(天然皮革)と合成皮革製に別れます。本革製は見た目の上品さや耐久性に優れており、一足は持っておきたい靴です。一方、合成皮革製は水に強くメンテナンスしやすいうえ、比較的安価であるため扱いやすい靴です。しかし、合成皮革製は経年で劣化してムレやすく、足の形になかなか馴染まないというデメリットもあるため、予算や使いたい年数に応じて本革製と使い分けましょう。

機能性

革靴の特徴の一つが滑りやすいこと。雨の日や梅雨の時期の駅構内などを歩くときは注意が必要です。しかし、革靴でもラバーソールを採用したタイプがあり、滑り止め効果があるため、滑りやすい路面でも問題なく使用できます。また、防水加工が施されている場合は間違って水たまりの中に入っても問題なし。水が侵入してこないため、快適に使用できます。

一方、湿気をこもりにくくするため、メッシュタイプになっている革靴も。メッシュなら通気性が良く雑菌の繁殖もおさえられるため、湿度が高い梅雨や暑い夏の時期でも防臭効果を期待できるでしょう。

生産国

革靴の生産国は大きくイギリス、イタリア、アメリカにわかれます。それぞれの特徴を説明します。

イギリス

イギリスの革靴は、スーツのイメージそのままに歴史と伝統を受け継いだクラシックなデザインが特徴です。デザイン性の高さだけでなく耐久性にも優れているため、飽きずに長く履ける革靴としては良い選択になります。

イタリア

イタリアの革靴も、スーツのイメージそのままにファッション製を大切にするデザインが多いという特徴があります。ファッションセンスやおしゃれさを前面に押し出したい時はイタリア製の革靴が良いでしょう。また、イタリア製の革靴はオフィスカジュアルなどややくだけたビジネスシーンでも使用できます。

アメリカ

アメリカの革靴は履き心地や耐久性など機能性を重視した製品となっています。サイズがゆったりしていて足への負担が少ないため、歩く機会の多いビジネスマンに向いているでしょう。

シーン別におすすめの靴を紹介!

シーン別で考えると、どのような革靴が向いているのでしょうか。

ビジネス

ビジネスシーンで履ける革靴は次の通りです。

  • ストレートチップ
  • プレーントゥ
  • Uチップ
  • モンクストラップ
  • ウイングチップ

ビジネス場で使える革靴はたくさんありますが、無難なのはストレートチップやプレーントゥです。オーソドックスでシンプルなデザインのため、ビジネスシーンの靴選びに迷ったらいずれかを選べば問題ありません。

反対にモンクストラップやウイングチップはデザイン性の高い革靴です。履く人や履くシーンを選ぶため、ビジネスシーンで履く場合は場の雰囲気に馴染むデザインのものを選びましょう。

リクルート

リクルートで履ける革靴は次の通りです。

  • ストレートチップ
  • プレーントゥ

就職活動や転職活動の面接では、意外に足元を見られています。ビジネスシーンでも無難なストレートチップやプレーントゥを選んでおけば間違いないでしょう。間違ってもモンクストラップやウイングチップを選んではいけません。色も無難なブラックを選ぶようにしましょう。

結婚式・パーティー

結婚式やパーティーで履ける革靴は次の通りです。

  • ストレートチップ
  • プレーンチップ
  • Uチップ
  • ウイングチップ
  • モンクストラップ
  • ローファー

結婚式(二次会)やパーティーでは比較的自由に革靴を選べます。ただし、親族として出席する場合や人前でスピーチをする方は、ストレートチップを履いた方が無難です。

パーティーの場合は場の雰囲気に合わせましょう。カジュアルな装いの場合はウイングチップやモンクストラップでも問題ないでしょう。色に関してもブラックが無難ですが、スーツに合うならブラウンでも問題ありません。

冠婚葬祭

結婚式を除く冠婚葬祭では黒のストレートチップ(クロスト)一択です。一足持っておけば幅広いシーンで履けるため、とても便利です。おしゃれに自信のない方は、メンズ服のレンタルサービス『SELECT』もおすすめです。

革靴選びはスーツのコーディネートにおいて非常に重要です。形やデザイン、シーンに応じた適切な革靴を選ぶことで、ビジネスシーンやカジュアルな場でも自信を持って臨むことができます。この記事で紹介したポイントを参考に、自分に最適な一足を見つけてください。そして、革靴の知識を活かして、周りの人にもアドバイスしてみてはいかがでしょうか。

大久保一雄