スーツのポケットはどう使うのが正解?種類や必要性、マナーについて解説!
スーツには、さまざまな位置にポケットがあり、財布やスマートフォンといった必需品を入れている方も多いでしょう。胸ポケットにはボールペン、内ポケットには財布や名刺入れ、腰ポケットにはスマートフォンやハンカチなどを入れている光景が日常的に見られます。しかし、各ポケットごとに意味は異なり、物を入れるために作られているわけではありません。では、スーツのポケットはどのような目的で作られ、使われるのでしょうか。この記事では、ポケットの種類や必要性、マナーについて解説します。
スーツのポケットの必要性とは?
社会人の必需品ともいえるスーツには、さまざまなポケットが付けられています。財布やスマートフォン、ハンカチといった必需品から、業務で必要なメモ帳やボールペンなどを入れている方も多いでしょう。しかし、スーツのポケットは本来、物を入れることを目的としているわけではありません。中には大量の小物を詰め込みスーツが型崩れしてしまっている方も見受けられます。では、スーツのポケットにはどのような意図があるのでしょうか。ここでは、歴史的背景から見たポケットの必要性について解説します。
装飾的な意図が強い
スーツの歴史は古く、16世紀頃のイギリスが発祥といわれており、当時は現在のタキシードのような作りが主流だったようです。19世紀に入ると貴族の着用がメインとなり、朝の散歩や乗馬に適した形に改良されました。その後、宮廷などのフォーマルな場でも着用できるよう礼服化され、現在主流となっている形に発展していきます。スーツの形の起源は軍服といわれており、首まであった襟を前に倒し着やすく改良したのが現在のジャケットです。
日本におけるスーツの歴史は、幕末末期から明治時代にかけて軍服としての利用が起源といわれています。大正時代に入ると、欧米文化や情報の流入に伴い男性のスーツスタイルが一般化し、ビジネスパーソンの必需品となっていきました。
軍服を起源とするスーツには多くのポケットがつけられており、ポケットにはそれぞれ意味合いがあります。例えば、胸ポケットは心臓を守るために鉄板を仕込む用途として作られています。そのため、スーツのポケットは物を入れるためにあるのではないのです。現在では装飾的な意図が強く、基本的にスーツのポケットは飾りと考えて差し支えないでしょう。
実用性は考えられていない
軍服に由来するスーツのポケットは装飾で、実用性を考慮しているわけではありません。財布や名刺入れ、スマートフォンやハンカチ、メモ帳やボールペンなどさまざまな小物を入れがちですが、実はこれらは誤った使い方です。スーツのポケットは、物を入れることを考慮しているわけではないため、物を入れすぎてしまうとシルエットが崩れてスタイルが台無しになってしまいます。型崩れの原因となりスーツの劣化も早めてしまうため、ポケットには物を入れないよう心がけましょう。
スーツのポケットのフラップ(フタ)のマナー
腰ポケットには、「フラップ」と呼ばれる「フタ」が付いているのが一般的です。スーツのポケットは装飾としての意味合いが強く、実用性は考えられていません。では、なぜフラップが付いているのでしょうか。ここではフラップの役割を解説します。
フラップの必要性
元来スーツのポケットは物を入れるためのものではありませんが、フラップについては実用面での必要性から誕生したといわれています。屋外にいる際に、ポケットに雨やちりなどのゴミが入らないようにするために備わっているのです。街中が綺麗に整備されている現代ではゴミなどが混入することはあまり無く、フラップは無い方がフォーマルであるともいわれていますが、デザインの一部として残り続けています。欧米では中に入れたものが飛び出したり盗まれたりするのを防ぐ意味合いもあるようです。現代ではポケットと同様、装飾であると認識すると良いでしょう。
フラップのマナー
フラップは雨やちりなどの混入を防ぐ目的で付けられているため、屋外では外に出すことがマナーです。反対に、屋内やフォーマルな席では中に入れるようにしましょう。正式なマナーでは、屋内では中にしまい屋外では外に出すことといわれていますが、装飾的な意図が強くなっている現代では、基本的に外に出したままで問題ないという風潮もあります。ただし、片方だけフリップを出すなど、左右均等ではない着こなしは明確なマナー違反なので気を付けましょう。ポケットからハンカチなどを取り出した際に起こりがちなので、注意が必要です。また、過度に物を入れすぎると型崩れを起こしてしまうため、腰ポケットには基本的に物を入れないよう注意してください。マナーを守ってスマートな着こなしを心がけましょう。
フラップ(フタ)を入れる時とは?
実用面での必要性から誕生したフラップは、無い方がフォーマルだといわれています。例えば、フォーマルな場面での着用が前提のタキシードなどは、一般的にフラップがありません。結婚式などの冠婚葬祭の席ではフラップを中にしまいましょう。基本的に屋内ではフラップを中にしまっておくのがマナーなので、冠婚葬祭や就職活動などの場面では注意が必要です。
フラップ(フタ)を出す時とは?
屋外ではフラップを外に出すことがマナーです。屋外では外に出し、屋内では中にしまうことが正式なマナーですが、装飾の意図が強い現代では常に出したままでも問題ないとされています。就職活動や冠婚葬祭などのフォーマルな席以外では、常に出したままにしておく方が無難かもしれません。ただし、左右均等ではない着こなしや物を過剰に入れることはマナー違反となるので、きちんとそろえましょう。
スーツのポケットの種類
スーツには多くのポケットが付けられています。代表的なポケットとして、胸ポケットや内ポケット、腰ポケットが挙げられますが、それぞれ用途や意味合いが異なるのです。ここでは、各ポケットの用途や種類を紹介します。
胸ポケット
胸ポケットは、スーツの左胸にある小さなポケットです。軍服を起源とするスーツは、鉄板を仕込んで心臓を守ったことに由来するといわれています。胸ポケットは、時代の変遷とともに用途が変わり、現代ではポケットチーフ専用のポケットとなっています。ボールペンや眼鏡などを入れている方をよく見かけますが、本来の用途ではないため注意しましょう。なお、胸ポケットのデザインにはいくつかの種類があり、最もオーソドックスな「ウェルトポケット」、フィット感が良くクラシックスタイルに最適な「バルカポケット」、カジュアルな印象の「アウトポケット」などが知られています。
内ポケット
スーツのポケットは装飾としての意味合いが多い一方で、内ポケットは実用的です。内ポケットはスーツの内側にしつらえられたポケットで、胸ポケットや腰ポケットとは異なり、実際に物を入れられます。そのため、財布や名刺入れ、スマートフォンといった必需品は内ポケットにしまいましょう。ただし、過剰に物を入れたり、かさばる物などを入れたりしてしまうとシルエットが崩れてしまうため、薄いものを入れるようにする必要があります。
腰ポケット
腰ポケットはジャケットの腰付近にあるポケットです。装飾的な意図が強く、物を入れることは考慮されていません。ポケットの形で大きく印象が変わるため、さまざまなデザインが用意されています。代表的な腰ポケットの一覧は以下の通りです。
・フラップポケット
フラップと呼ばれるフタが付いたポケットで、最もオーソドックスな形状です。飾りの意図が強い腰ポケットにおいて、雨やちりなどの侵入を防ぐ実用性も兼ね備えています。フラップに関するマナーさえ守れば、フォーマルからカジュアルまで使いやすいデザインです。
・スラントポケット
フラップポケットを斜めに配置したものです。ポケットに角度が付くため、シャープでスマートな印象を演出できます。冠婚葬祭などのフォーマルな席には向きませんが、パーティーなどの華やかな場面には最適のデザインです。
・チェンジポケット
腰ポケットの上に付けられた小さなポケットです。釣り銭などの小銭や、狩猟の際に弾薬などを収納して使われていたといわれています。装飾用のポケットなので、メインのポケットと同様、実際に物を入れて使用するためのものではありません。そのため、就職活動や重要な会議などには向きませんが、普段使いで個性を演出したい場合に最適のデザインです。
・パッチポケット(アウトポケット)
共布の貼り付けポケットです。フラップポケットなどに比べると、よりカジュアルな印象となるため、スマートカジュアルやビジネスカジュアルに最適なデザインといえるでしょう。
・パッチ&フラップポケット(エンベロープポケット)
パッチポケットにフラップを取り付けたものです。形状が筒状の封筒に似ていることから、エンベロープポケットともよばれています。パッチポケットと同様、よりカジュアルなシーンでの着用が最適です。
・ノーフラップポケット(パイピングポケット)
フラップのない腰ポケットです。ポケット口の上下を共布で縁取ることから、パイピングポケットともいわれています。フォーマルスーツに多く採用されていますが、装飾感のないスマートなデザインなので、フォーマル・ビジネス共に活用できるでしょう。
スーツのポケットの正しい使い方とは?種類別にご説明
各ポケットには意味合いがあり、使い方が決まっています。では、具体的にどのように使うのが正しいのでしょうか。ここでは、それぞれのポケットの正しい使い方について解説します。
胸ポケットはポケットチーフ専用
胸ポケットには明確な役割があり、現在ではポケットチーフ専用となっています。ジャケットの最も目立つ位置にあるため、結婚式やパーティーなど席では華やかさを演出できます。日常ではボールペンや眼鏡などを入れている方を多く見受けますが、これらの使い方はマナー違反なので注意しましょう。
内ポケットは実用性重視
内ポケットは唯一、物を入れることを考慮して作られています。胸ポケットや腰ポケットは物を入れるためのものではないので、財布や名刺入れ、スマートフォンといった必需品は内ポケットに入れましょう。ただし、厚みや重量のあるものは型崩れの原因となるため注意が必要です。厚みや重みのある荷物を持ち運ぶ場合は別途カバンを持つなど、別の方法を検討しましょう。ポケットには必要最低限のものだけを入れて、スマートにスーツを着こなすことが大切です。
腰ポケットは飾り
腰ポケットに関するマナーも改めておさらいしましょう。腰ポケットにはあまり物を入れないことが基本です。腰ポケットは飾りなので実用性が考えられておらず、物を入れるとシルエットが崩れてスタイルが台無しになってしまいます。また、フラップポケットの場合、屋外ではフラップを外に出し、屋内ではフラップを中にしまいましょう。フラップは外に出したままでも問題ないという風潮もありますが、フォーマルな場面では中にしまうのがマナーとなっています。
ポケットのマナーを守ってカッコ良くスーツを着こなそう
スーツのポケットは装飾的な意図が強く、実際に物を入れて使うために付けられているのではありません。誤った使い方をしてしまうとマナー違反となるばかりか、型崩れの原因となりスーツの劣化を早めます。スーツのポケットにはあまり物を入れないようにしましょう。フラップは、屋内では外に出し、屋内では中にしまうのがマナーです。また、ポケットにはさまざまなデザインが存在するため、TPOにあわせて適切なデザインのスーツを着用してください。ネクタイやシャツ、パンツにも同様にマナーが存在するため、注意しなければなりません。各ポケットの役割をしっかりと把握し、マナーを守ってスマートな着こなしを心がけましょう。
オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?
オーダースーツSADAは、2022年9月現在、全国50店舗を展開するオーダースーツの専門店です。北は北海道、南は九州までチェーン展開しており、過去に注文履歴のある方はZoomで注文することもできます。
1923年に神田の地で誕生した株式会社オーダースーツSADAは、2023年には創業100年を迎える老舗企業です。生地の仕入れ・縫製・販売をワンストップで行いコストを最適化することで、リーズナブルにオーダースーツを提供しています。多くの方に支持され、500万着ものオーダースーツを仕立てています。
取り扱っているのはフルオーダーメイドのオーダースーツなので、どのような体型の方でも快適に着用が可能です。もちろん、生地やポケットのデザインなども自由に選択できるため、ぜひオーダースーツSADAで理想の一着を手に入れてください。