靴紐の正しい結び方とは!?正しい靴選びとあわせてご説明します。
スーツスタイルではジャケットやパンツ、それにベストなど見える部分を気にする方はよくいます。それでは靴に気を遣う方はどの程度いらっしゃるでしょうか。
「オシャレは足元から」「神は細部に宿る」という言葉の通り、スーツをスタイリッシュに着るなら靴も決してはずせないオシャレポイントなのです。
この記事では靴紐の選び方と正しい結び方、そして革靴の選び方をご説明しています。この記事を読めば、きっとあなたもお気に入りの一足に出会えるようになるでしょう。
スーツの靴の紐の選び方
スーツを着るときには革靴を履きます。革靴のパーツの中でも紐は、靴とのバランスをきめる大切な要素。一言に紐といっても、種類・形状・太さ・長さなど考慮すべき点は多くあるのです。ここでは、紐を選ぶときのポイントを一つずつご説明します。なぜワックスが入っているのか!?紐の種類とは?
紐の種類は二つあります。 一つ目は蝋引き紐と呼ばれる紐です。名前の通り紐にワックスを染み込ませてあります。ツヤと高級感はあり、毛羽立ちにくく比較的耐久性があります。しかし、ややほどけやすいという懸念点も。革靴はツヤがあるので、全体の統一感を作りやすい紐です。 二つ目はガス紐と呼ばれる紐です。ガス紐はワックスが入っておらず、ガスであぶって紐の毛羽立ちをおさえています。コットン素材のため表面が柔らかいですが、ツヤがなく蝋引き紐より毛羽立ちやすいという特徴があります。紐の断面形状が違う!?丸紐と平紐とは?
紐の形状は二つあります。断面が丸い丸紐と。断面が長方形の平紐です。丸紐はベーシック、平紐はクラシカルというイメージはありますが、正解はありません。迷ったら靴の雰囲気と合わせるといいでしょう。あくまで靴全体のイメージを崩さない紐を選びましょう。細めと太めがある!?紐の太さによる違いとは?
紐の太さにもバリエーションがあり、比較的細めのものと太めのものがあります。一言に細め・太めといっても丸紐と平紐でそれぞれの太さが異なります。平紐の場合、細めが約3mmで太めが約5mm。丸紐の場合は細めが約2.2mm、太めが約3.5mmなのです。 一般的に鳩目が裏側についている「裏鳩目」の靴や鳩目が小さい靴、それにスリムな靴では細めの紐が合うとされています。反対に外側についている「外鳩目」の靴や鳩目が大きい靴、ワイドな靴には太めの紐が合うとされています。鳩目の数と紐の長さは比例する!?適切な長さの紐を選ぼう
紐の長さにもバリエーションがあります。適切な紐の長さは鳩目の数で決まります。 一般的な鳩目の数と紐の長さを表に示しましたので、参考にしてください。表1 鳩目の数と紐の長さ(目安)
鳩目の数(個) | 靴紐の長さ(cm) |
2 | 50?60 |
3 | 60?65 |
4 | 70?75 |
5 | 75?80 |
6 | 85?90 |
スーツの靴の紐の正しい結び方とNG例
靴紐の結び方は世の中に30種類以上あるといわれています。しかし、革靴で用いる結び方はそのうちの3種類のみです。また、紐のない靴は基本的にビジネスシーンではNGです。一番オーソドックスなシングル
ビジネスやフォーマルに向いているシングル。はじめは一番つま先に近い鳩目二つ(一対)に外側から紐を通しますが、各々の鳩目の間を交差するように紐を通すのは向かって左側の紐だけ。右側の紐は一番つま先に近い鳩目に通したあと、次に通す鳩目は一番足首に近い左側の鳩目になります。 紐をきつくするときも、ゆるくするときも片方の紐だけ調整すればいいので、調整が比較的簡単であることが特徴です。長時間の歩行でも解けにくいパラレル
結びはじめの状態はシングルと同じパラレル。しかし、右側の紐を一番下の鳩目から左右の鳩目に二回一段ずつ通したら、今度は左側の紐を一段飛ばして右側の鳩目通すなど、シングルに比べて結び方がやや複雑です。 羽根(鳩目がついた部分)のバランスが均等に取れ、足にフィットしやすいので見た目も美しくなります。また、伸縮性とホールド感があるので、長時間履いても紐が緩みにくいというメリットも。しかし、紐の長さがアンバランスになってしまったときには、両方の紐を交互に調節しなければならないため、やや煩雑です。見た目が美しいオーバーラップ
見た目が美しい印象のオーバーラップ。シングルやパラレルを正面から見た時、一本の紐が鳩目の間を走っているように見えるのに対して、オーバーラップは二本の紐が交互に鳩目の間を走っているのが特徴です。 紐の長さを調節する場合にはパラレルと同様、両方の紐を交互に調節しなくてはならない煩雑さも。シングルやパラレルに比べると、カジュアルに見える結び方です。NGな結び方や、そもそもNGな靴とは!?
紐の結び方にはオーバーラップに似た、アンダーラップという結び方があります。しかし、アンダーラップはスニーカーやスポーツシューズの結び方ですので、革靴に採用するのはNGです。 ローファーなど紐がない靴はそもそもNGなので、気をつけましょう。後述するモンクストラップはビジネスシーンで唯一認められている紐のない革靴ですが、少なくともリクルートでは履かない方が無難です。自分のスーツに合う靴の選び方
靴紐の種類や結び方がわかったところで、次は実際に靴を選んでいきましょう。靴選びについても要素別にご説明します。靴の色はスーツの色と合わせよう
靴の色はブラックやブラウンが定番です。ブラウンの靴は、人気があり定番のネイビーのスーツや、グレーのスーツとの相性がバッチリ。また、ブラックはどのような色のスーツにも合わせやすく、どのような立場の相手にも悪い印象を与えません。一足は持っておきたいおすすめの色です。靴の形にもバリエーションがある
靴の形には次の四種類があります。それぞれの特徴をご紹介しますので、靴選びの参考にしてみてください。リクルートにも使える定番のストレートチップ
つま先に横一文字のステッチが入っているのが特徴。ステッチがあるので、つま先にシワが入りづらく比較的きれいな状態を保てます。最もフォーマルな形状なので、ビジネスや冠婚葬祭はもちろん、リクルートでも履けます。一足持っておくと、いざというときに役に立つでしょう。素材の良さが生きるプレーントゥ
つま先に全く装飾がないのが特徴。シンプルなデザインのため、革のシルエットや革の素性が出やすく、ごまかしのきかないデザインです。ストレートチップほどのフォーマル感はありませんが、ビジネスシーンではスタンダードな形状です。クラシカルなカジュアルさがあるウイングチップ
つま先に、鳥が羽を広げたようなW字型のデザインが施されています。さらにメダリオン(小さな穴が無数に空いたデザイン)が施されているため、クラッシックかつカジュアルなデザインに。特徴のあるデザインのため冠婚葬祭やリクルートには向きません。また、履く人をやや選ぶ傾向もあります。唯一紐がないビジネスシューズであるモンクストラップ
ビジネスシューズの中では唯一紐がないのが特徴。もともとモンク(修道院に仕える修道僧)が履いていた靴を原型としており、紐の代わりに甲の部分を覆うストラップがあります。 ストラップが二本ついているダブルモンクはよりエレガントな雰囲気に。カジュアルなデザインのため少なくともリクルートでは履かない方が無難です。羽根の形状による違いもある
革靴には紐を通す鳩目がついた部分があり、これを羽根といいます。羽根の形状によって革靴を二つにわけることができます。 一つ目は内羽根といい、羽根の先端が甲の前で靴に潜り込んでいるデザインです。もともとは英国王室の宮廷で履かれていた靴が原型となっており、フォーマルな印象があります。 二つ目は外羽根といい、羽根の先端が靴の外部に露出しています。ロシア陸軍の軍用靴が起源とされており、内羽根よりカジュアルな印象があります。購入前に必ず試着しよう
革靴はスーツと同様にサイズ感が大切です。購入前には必ず試着しましょう。しかし、ただ試着すればいいのではなく、注意点がいくつかあります。試着時の基本的な注意点
革靴を試着するときの基本的な注意点は次の通りです。- 必ずプロの方(店舗スタッフ)に採寸してもらう
- 両足とも試着する (左右で足のサイズが異なるため)
- 試着は夕方にする (夕方の方が足がむくみやすいため)
- 普段は履いているスーツ用の靴下を履いて試着する (同じ靴下でないとサイズ感がわからないため)
- 軽く歩いてみる
試着時にチェックすることとは?
試着をするときには、次のことをチェックしてください。- ヒールにかかとを合わせて履いているか?
- つま先に余裕があるか?
- 足の甲や小指は窮屈ではないか?
- くるぶしが靴の縁(履き口)に当たっていないか?
- 土踏まずがソールにフィットしているか?
- 一番上の鳩目付近の羽根が1cm程度開くか?
スーツ用の靴の手入れ方法
あなたはすでに、自分に合った革靴を選べるようになっていることでしょう。しかし、革靴を履き続けるにはお手入れが欠かせません。どのようにお手入れをすればよいのでしょうか?革靴の大敵は湿気!?湿気を除去しよう
革靴は普段履いているだけで、湿気を吸い込みます。湿気の正体は汗や雨など、日常的に履いていれば避けられないものばかり。ですので、定期的なお手入れが必要なのです。 湿気を取る場合は丸めた新聞紙を革靴に詰めます。そして新聞紙の一部が革靴の外に出るようにしておけば、効率的に除湿できます。通気性や除湿性を高めるインソール(中敷き)もあるので、試してみてもいいかもしれません。ホコリや汚れもしっかり落とそう!普段のお手入れの仕方とは!?
除湿以外にも革靴を長持ちさせるためのお手入れが必要です。それはクリーナーを使って、靴を磨くこと。靴を磨くときに用意するものは次のものです。- ブラシ
- クリーナー(汚れ落としクリーム)
- 布3枚(うち1枚は柔らかめ)
- シュークリーム(革靴クリーム)
- シュークリーム用ブラシ
- 防水スプレー
- 表面についたホコリや汚れを入念にブラッシングして落とす
- クリーナーを少量だけ布Aにつける
- 布Aにつけたクリーナーを靴全体にうすく伸ばす (直接革靴につけるとシミの原因に)
- 布Bで乾拭きして汚れを落とす
- 靴の色に合ったシュークリームをシュークリーム用ブラシで塗る
- 柔らかめな布Cで余分なシュークリームを落として軽く拭く
- 防水スプレーをかけたら、自然乾燥させる