ジャケットの襟にこだわろう!8つの種類を徹底解説!のアイキャッチ画像
ジャケットの襟にこだわろう!8つの種類を徹底解説!のアイキャッチ画像

ジャケットの襟にこだわろう!8つの種類を徹底解説!

ジャケットの「襟」、みなさんはこだわって選んでいますか?「どれも一緒でしょ!」「何か違いがあるの?」こんな方はぜひ、このコラムを読んで違いを押さえてくださいね。実はジャケットの襟の形状には、なんと8つもの種類があります。それぞれ見た目はもちろん与える印象が大きく変わるので、シーンに応じた使い分けが重要です。フォーマルな襟のジャケットをプライベートで着ていたら違和感がありますし、逆にカジュアルな襟のジャケットをフォーマルなシーンで着ていたら周囲から浮いてしまいます。そのためジャケットを購入する際には利用シーンを想定したうえで、襟にこだわって選ぶことが非常に重要なのです。また襟は形状だけではなく、幅も印象やシルエットを大きく変える要素になります。ぜひ襟の形状ごとの特徴や、ラペル幅による与える印象を押さえて、最適なジャケット選びをマスターしてくださいね。
今回はこれまでに500万点以上のスーツを仕立てた、スーツコーデのプロ集団「オーダースーツSADA」の現役スタッフが、「スーツの襟の種類」と「襟の幅による与える印象」について解説します。このコラムを読めば、シーン別の最適なジャケットが選べるようになりますよ。

スーツのラペルとは?

スーツの襟は、首周りの上襟と下襟の部分に分かれます。

上襟は「カラー」、下襟は「ラペル」と呼ばれ、この二つの襟の境目となる縫製のラインが「ゴージライン」です。

このゴージラインの位置は、スーツの雰囲気を左右します。

一般的に、細身のスーツはゴージラインが鎖骨よりも上に、クラシックなスーツは鎖骨よりも下になります。

ジャケットの襟にはさまざまな種類があります。

襟の雰囲気が変わるだけでジャケット全体の印象が変わることも珍しくありません。

主な襟の種類は8つあります。1つずつ解説していきます。

【襟の種類①】ノッチドラペル

1つ目は、ノッチドラペルです。

ノッチは、notchと綴る英語で、「V字型の切り込み」の意味があります。

ラペルの綴りはLapelで、襟、特に上襟に続く下襟で、身頃の折り返し部分のことを指す言葉です。上襟のことはカラーという名称で呼ばれています。

ノッチドラペルの特徴としては、ゴージラインがまっすぐになっていることがあげられます。

また、襟部分の刻みがひし形に見えることも大きな特徴になっています。

オーソドックスな雰囲気を出せるため、あらゆるシーンに対応できる襟の形です。

V字型の切り込みを意味するノッチという言葉が使われる由縁は、上襟・下襟の縫い合わせが直線になっているため、切り込みがV字に見えるからだといわれています。

シングルスーツの定番スタイルとしてノッチドラペルが採用されることが多い傾向があります。

ビジネスに適したデザインであるため、リクルートスーツやフレッシャーズが利用するスーツにも多く使われている襟です。

【襟の種類②】ピークドラペル

ジャケットの襟の2つ目の種類は、ピークドラペルです。

ピークドラペルのピークとは、「とんがった」という意味があります。

折れ線グラフの飛び抜けて高い数値で表示された部分や山の頂上をピークというように、先端がとがっていることを表す言葉です。

ピークドラペルでとんがっている部分は、下襟の先になります。

また、とんがった下襟が上向きで鋭角であることもピークドラペルの特徴です。古い職人のなかには、先がとんがっているため「剣襟」「剣もの」と呼ぶ人もいます。

ピークドラペルは、シングルスーツよりもダブルスーツに使われることが多く、ダブルスーツの標準的な襟として位置づけられています。

ただし、シングルスーツにあえてピークドラペルを施すこともあります。

シングルスーツとピークドラペルの組み合わせはシングルピークと呼ばれており、襟幅は少し狭くすることがポイントです。

また、先がとんがっている下襟は、ドレッシーな雰囲気を出せる効果があるため、フォーマルスーツにも採用されています。

ただし、カジュアルに見えてしまうケースもあるため、ビジネスシーンでピークドラペルのジャケットを使用するのは避けたほうがよいともいわれています。

【襟の種類③】セミピークドラペル

3つ目の襟の種類は、セミピークドラペルです。

ピークドラペルに「準」といった意味がある「セミ」という言葉が付いていることからもわかるとおり、ピークドラペルの特徴を少し抑えた襟のデザインであることが特徴となっています。

ピークドラペルとの主な違いは、下襟の角度です。

ピークドラペルは、とんがっている先が向いている方向は斜め上、つまり、下襟は水平から離れた角度でとんがっています。

一方、セミピークドラペルの場合は、下襟の角度が少し水平に近くなっているということが違いです。

また、ピークを成す剣先部分のとんがりも少し丸みを帯びて仕上げられていることも特徴だといえます。

さらに、とんがりの角度が緩やかになることによって切り込みが発生することも、セミピークドラペルとピークドラペルを見分けるポイントです。

これらの特徴のため、セミピークドラペルはビークドラペルよりも柔らかい印象になるといわれています。

セミピークドラペルは、ビジネス・フォーマルどちらでも使えるという特徴があります。

ピークドラベルは強い個性を持っており、見方によってはダサいという印象になる可能性もあるため、TPOを選ぶデザインだといえます。

一方、セミピークドラペルはこの特徴を抑えめに仕上げたデザインであるため、ビジネスシーンでも使えるメリットがあります。

【襟の種類④】バルカラー

ジャケットの襟の種類、4つ目はバルカラーです。

下襟部分をラペルというのに対して、上襟のことをカラーといいます。

バルカラーの特徴は、上襟が強調されているデザインであることです。

上襟の印象が強くなる理由は、上襟と下襟の幅の違いにあります。

上襟の幅は下襟の幅よりも広く作られており、上襟と下襟の見た目の大きさにかなり違いが生じることになります。

上下の襟の幅の違い、大きさの違いが、ほかの襟のデザインと比較した場合の特徴です。バルカラーは、バルマカーンカラー、バルマカラーと呼ばれることもあります。

あまり多くは見かけないデザインであるため、カジュアルな雰囲気のパーティーなどに着用していくとおしゃれです。

また、ちょっときどってデートをするときなどにも適した襟でしょう。

ただし、ビジネスシーンでは使わないほうが無難です。

ビジネス相手の目が上下の襟の大きさが違うデザインに向いてしまうため、ビジネスに集中できなくなる可能性があります。

カジュアルな場面での選択肢の1つとして使ってみるとよいでしょう。

【襟の種類⑤】ステンカラー

5つ目の襟の種類はステンカラーです。

ステンカラーの「ステン」は、立つという意味がある「スタンド」からきているといわれています。

スタンド・フォール・カラーが転じてステンカラーになったという説もあります。

ステンカラーの特徴は、襟を立てて使えることです。

襟が立つということから「ステン」カラーと呼ばれるようになったという経緯があります。日本語で折りたて襟と呼ばれることもある襟のデザインです。

実は、ステンカラーという表現は日本以外ではほとんど使われていません。

日本以外ではコンパーチブルカラー、ターンノーバーカラーと呼ばれることが多いです。

コンパーチブルは変換可能、ターンノーバーはひっくり返す、入れ替えるという意味があります。

これは、ステンカラーが、襟を開けても閉じても使えることに由来しています。

一番上のボタンを外しても着られることが特徴です。

自由度の高さから、カジュアルだけでなくビジネスなどさまざまなシーンでステンカラーのジャケットを着用することができます。

また、ジャケットでも多用されている襟ですが、ステンカラーはそのほかの洋服にも広く採用されています。コートやシャツ、ブラウスなどでも採用されている基本的なカラーです。

【襟の種類⑥】ボナパルトカラー

6つ目の種類は、ボナパルトカラーです。

ボナパルトカラーは、上衿が首沿いの高い位置で立ち折られていることが特徴になっています。

また、下襟の幅が広くなっており、大きく見えることも特徴です。

ボナパルトは、ナポレオン1世であるナポレオン・ボナパルトからとられた言葉で、ボナパルトカラーは、ナポレオンカラーと呼ばれることもあります。

ナポレオンによる統治が行われていた時代の軍服がボナパルトカラーのモチーフです。

フランス革命期にこのタイプのカラーの軍服を着たフランス革命期の政治家であるロベスピエールの名前をとって、ロベスピエールカラーと呼ばれることもあります。

ボナパルトカラーがビジネスなどに使われることは少ないですが、動きやすいデザインであるため、動きながら作業することが多い仕事の制服として採用されていることがあります。

ボナパルトカラーのジャケットは、カジュアルなシーンで着用されることが多いです。

立ち折られている上襟と大きく見える下襟のコントラストが、きりっとした印象を醸し出してくれるでしょう。

人とは違ったおしゃれを目指している人は、ボナパルトカラーのジャケットに挑戦してみるのも選択肢の1つです。

【襟の種類⑦】スパニッシュカラー

ジャケットの襟の種類、7つ目はスパニッシュカラーです。

スパニッシュカラーは、襟まわりがニットになっていることが最大の特徴だといえます。

ニット部分の形状や編み方にはさまざまなバリエーションがありますが、なかでもリブ編みの大きな襟がついているものが多くみられます。

襟の剣先部分をボタンダウンで止める形になっているのが一般的です。

スパニッシュカラーは、別名ドンキーカラーとも呼ばれています。

日本以外では、ドンキーカラーと呼ぶことが多いですが、日本ではスパニッシュカラーと呼ぶのが主流です。

このタイプのジャケットの発祥は、英国の炭鉱や港湾労働者の作業着だといわれており、寒い外で作業する必要から生じた工夫が襟のデザインとして定着しました。

暖かいアウターが必要な環境だったため、襟まわりにニット素材が使われるようになったことが誕生の経緯です。

襟の素材としてニットを使うことによって外の寒さをしのぐ防寒効果は格段に向上します。

そのため、現代では、冬や夜間のスポーツ観戦用として使われています。

また、防寒という機能的な面だけでなく、ニットのふわふわした印象がほかの襟のデザインとは一味違った雰囲気を出すことに一役買っていることも特徴です。

【襟の種類⑧】ショールカラー

8つ目のジャケット襟の種類は、ショールカラーです。ショールカラーの「ショール」とはショルダーから転じた言葉で、肩掛けを意味しています。

ショールカラーは、上襟と下襟の境目がありません。

まるで肩掛けをかけているように見えるというのが特徴です。

刻み目がなく、上襟と下襟がつながっている構造のカラーだと理解するとよいでしょう。

襟の淵は曲線上に上から下まで細長くつながることになるため、一歩引いて襟の全体像を見ると、へちまのように見えなくもありません。

そのため、別名、へちま襟とも呼ばれています。

ショールカラーは、タキシードスーツでよくみられる襟です。

細長くつながった襟の形が落ち着いて上品な雰囲気を醸し出すため、フォーマルなシーンで使われます。逆に、ビジネスシーンやカジュアルシーンではほとんど見られません。

ショールカラーを試してみたい人は、フォーマルなシーンで利用するタキシードについてショールカラーのものを選んでみるとよいでしょう。

ただし、ショールカラーはジャケットだけで使用されるわけではありません、カジュアルなカーディガンなどでも取り入れられている襟のデザインです。

スーツの襟の名称

この章ではスーツの襟の名称について紹介していきます。

ゴージライン

ゴージラインはスーツの上襟と下襟の縫い目です。ゴージラインはスーツの顔といわれる事さえあり、Vゾーンだけでなく全体の印象も左右するとさえ言われているほどの重要な場所です。

スーツは時代によって流行り廃りがあり、イタリアンなスーツが流行るときもあれば、スリムなスーツが流行するときもあります。

ゴージラインもその例外ではなく、時代に合わせてその場所が変わったりしているのです。

ゴージラインの高さの違いによってスーツの作られた年代を量ることが出来るでしょう。

ゴージラインはスーツの流行に合わせて高さも大きく変わっており、現在はやや低めに落ち着いており、概ね首筋から8~9cmほど下に位置する場所にゴージラインを置くのが流行りとなっています。

ゴージラインの場所を高くすると、視線を高い場所に集めることが出来るようになり、スタイルを向上させる効果があります。

またスーツのシルエットをシャープに見せることも出来ますので、スリムなスーツとの相性も抜群です。

若々しさを演出したい人や、背丈を高く見せたい人にとっては、ゴージラインの場所は高い方がいいでしょう。

それに対してゴージラインが低い場合、周りに落ち着いた雰囲気を醸し出すことが出来ます。

というのもゴージラインが高い場合とは逆に視線がかなり低いところに集まるようになり、貫禄を出すことが出来ます。またゆったりとしたスーツとの相性も良く、そのようなスーツにはローコージというかなり低めのゴージラインが使われているのです。

ゴージラインが低いスーツは痩せ型の人などが肩幅を大きく見せることが出来るので、非常に向いていると言えます。

ゴージラインは1980年代から1990年代半ばまでの間に非常に流行っており、まさにバブル期を代表していると言っても過言ではないスーツスタイルでした。

その代表例としては、バブル期に流行ったアルマーニのソフトスーツが挙げられます。

その後2000年代に入りますと、イギリス風の三つボタンスーツが流行るようになり、狭いVゾーンのスーツが人気を博すようになりました。

それに合わせてゴージラインは途端に高くなり、全盛期には肩のラインと同じ高さのゴージまで販売されていました。

その時期にはイタリアンクラシコが流行っており、ゼニアが時代を代表していたのです。

2010年代に入るとゴージラインの高さは少し落ち着くようになり、少しゴージの高さは低くなりました。

このようなゴージラインは大体10年周期で移り変わっているので、スーツを買い替えるときはその点に気を遣うといいでしょう。

フラワーホール

フラワーホールはジャケットの左に開けられているボタン穴です。

フラワーホールはその名前からも分かるように花を差すための穴ですが、起源については色々な説があり、詳しいことは未だに分かっていません。

その一つの例として言われているのが、男性が求婚して花束を渡した際に、結婚を承諾したという意味で花束の中から一輪フラワーホールに差したことの名残ではないかという説です。

諸説の中で一番有力なのが、第一ボタンの名残であるという説です。

というのも元々ジャケットは詰襟でしたが、開襟シャツになったときに折り返され、第一ボタンの存在は不要になりました。

しかし長年のデザインなどからボタンホールを消すことにためらい、そのままフラワーホールとして残ったというものです。

このフラワーホールはスーツを傷めずに社章を付けることができるということもあって、現在では社章を付けるスペースとして扱われており、中にはそれ用のために作られたとさえ考えている人もいます。

また国会議員や弁護士はそれぞれフラワーホールに議員バッチや弁護士バッチを付けており、それ自体が一種の装いとなっています。

とは言え最近では主にカジュアルなスーツを中心に、フラワーホールがないジャケットもあります。

そうでなくてもフラワーホールの穴が塞がっているものもあり、社章を付けるときなどに苦労する場合もあるのです。

またフラワーバッチは何も社章や弁護士バッチを付けるスペースとして現在扱われているというわけでもなく、ラベルピンなどを付けて純粋におしゃれを楽しんでいる人も多くいます。

ラベルピンには花の形をしたプートニエールを始めとして、チェーンタイプやブローチタイプなど様々な種類のものがあり、披露宴などのイベントなどでよく用いられます。

他にも元々の目的通りに生け花を挿したりすることもおすすめです。

襟の幅も重要!

ジャケットを選ぶ場合、さまざまな要素を考慮して自分に適した一品を選ぶことになるでしょう。

全体のデザインやシルエットはもちろん、どんな生地で作られたスーツかということも重要です。

また、ベントの入り方も重要な要素と1つだといえます。

さらに、数あるスーツの構成要素のなかには襟のデザインという要素もあります。

紹介した通り、襟のデザインには数多くの種類があり、使用シーンによって適したもの、適さないものがあるため、スーツ選びをする場合は襟についてもよく確認することが必要です。

また、襟の幅も重要なポイントになります。襟の幅によってスーツ全体のバランスや印象は大きく変わってくる可能性があることを忘れてはいけないでしょう。

襟幅について

また襟の幅については、ネクタイなどと合わせることを考えると、非常に重要な点になってきます。

ラペル幅の測り方は、ジャケットの下襟部分の長さを測ります。

襟幅については様々なものがありますが、大きく分けるとワイドラペルとナローラペルに分けることが出来ます。

ワイドラペルは9センチメートルから10センチメートルのラペルであり、安定感や誠実さなどといったビジネスをする上では欠かせない要素を演出するのにもってこいのものとなっています。

またワイドラペルは1950年代よりも古い時代に生まれたということもあって、クラシカルな印象を周りに与えています。

ワイドラペルは太いネクタイとの相性が良く、この二つを組み合わせることによってより効果的に安定感を出すことが出来ます。

それなりの立場でパーティーなどに出席する場合は、堂々とした雰囲気を出したいと考える人もいるでしょう。

そういった場合には、幅の太い襟のジャケットを選択することがポイントです。

それに対してナローラペルは幅が8センチメートル未満のラペルであり、流行を取り入れたスタイリッシュさを演出することが出来ます。

先述したワイドラペルよりも遅くに生み出されたということもあり、ナローラペルはモダンで都会的な印象を周りに与えており、自身が有能であるとアピールしたい人に好まれています。

ナローラペルはダサい印象を払拭したいという方におすすめのデザインです。

洗練された印象を狙いたい場合は、襟の幅が狭いタイプのジャケットを選ぶと効果的です。

この二つのうちどちらを着るかなどに関しては好みの問題というのも大きいです。

とは言えまったく傾向がないわけではなく、例えば体格の優れている人はワイドラペルが、華奢な人の場合はナローラペルが似合いやすいといわれます。

しかし筋肉の付き方などによっては印象が全く変わりますので、一概にそうであるとは断言できません。

また職業などによっても相応しいラペルは異なっており、例えば管理職や公務員、博物館や美術館などに勤務している学芸員の場合は、クラシカルな印象を周りに与えるためにワイドラペルが相応しいと言われています。

それに対してアパレル業界やクリエイティブ業界の仕事をしている場合は、独創的なイメージを周りに与えやすいナローラペルが向いていると言われています。

このように職業によって求められている「デキる人さ」は異なっていますので、それを意識してラペルを選ぶといいでしょう。

どちらのジャケットを選んだ場合でもラペルとネクタイの幅を合わせるということは忘れてはいけません。

ラペルとネクタイの幅を合わせることによって、しっかりと締まったスーツスタイルを決めましょう。

実際にジャケットを試着してみて、襟幅の差がどのように印象を変えるかを確認してみることが大切になります。

襟元のステッチとはなに?

スーツの襟のステッチとは、襟に施されている縫い目のことを指します。

それならステッチは「ただの縫い方の違いでしょ?」と思われるかもしれませんが、実は非常に大切な部分。

顔周りに位置しジャケットで最も目立つ襟部分にあるため、スーツの見た目を左右します。

さらに、その他にも型崩れを防止する役割もあります。

ステッチの種類は2つに分けられ、AMFステッチだと高級感のある装いに、ミシンステッチだとカジュアル感のあるオシャレな仕上がりに。

以下よリ2つのステッチの種類について解説していきます。

襟のステッチの種類

前項で少し触れましたが、ステッチには手縫いのような見た目のAMFステッチと、一般的なミシンでしつらえるミシンステッチがあります。

ビジネススーツにはステッチが入っていることが多いですが、フォーマルスーツにステッチ無しがほとんど。

相手に与える印象を左右する大切な部分のため、TPOに沿ったものを着用するのが紳士のマナーです。

では、それぞれの特徴や印象、着用シーンをみていきましょう。

襟ステッチ①: AMFステッチ

AMFステッチとは「アメリカン・マシン・アンド・ファウンドリー(AMF)」が開発したミシンを用いて、まるで手縫いのような仕立てにするステッチです。

ミシンで仕上げるステッチにもかかわらず、手縫いのような凹凸感で高級感をだすことができ、ビジネススーツでも定番の仕様です。その高級感のある仕立てから、英国スタイルやイタリアンスタイルのスーツとの相性もバッチリ。

襟を立体的に綺麗に見せることができるため、堂々とした紳士的の雰囲気や、威厳のあるオシャレさを演出できます。

襟ステッチ② :ミシンステッチ

ミシンステッチとは、一般的に知られているミシンを用いて仕立てるステッチです。ミリ単位で細かな幅調整が可能です。

入れる位置でも印象が変わり、内側にするとカジュアルに、外側にすると上品な雰囲気に感じさせます。

カジュアルさが出やすい仕様のため、個性を出したい時やオシャレな印象を強くしたい時に向いています。オフィスカジュアルやプライベートでのジャケパンスタイルにおすすめのステッチです。

スーツの襟は影の主役

襟の種類にこだわったジャケット選びを!

ジャケットの襟には、ノッチドラベルやピークドラベルのように襟の剣先部分がとんがっていて方向が違うものや、ショールカラーのように上襟・下襟がつながっているタイプまでさまざまな種類があります。

それぞれの特徴をあらかじめ理解しておくと、利用シーンに合わせた的確なジャケット選びができるようになります。どんな種類の襟を選ぶかによってジャケットの雰囲気は大きく変わってきますので、フォーマル向けかカジュアル向きかといったことまで把握しておくとジャケット選びを行う場合に苦労が少なくて済むでしょう。

また、好みのインナーに合うようにジャケットを選ぶ場合も、襟の種類選びは重要です。インナーが引き立つかどうかは襟のデザインで大きく結果が変わってくるからです。ジャケットを購入する場合は、襟のデザインに注目して適したものを選ぶように心がけましょう。

襟は裾や袖といった場所と同じくらいスーツにとって重要な場所であり、それ次第で胸の見え方が大きく変わります。やり方によってはウエストさえも襟によって細くも太くも見せることさえ出来るのです。

ジャケットにこだわる人の中にはフロントボタンやセンターベントかサイドベンツか、ポケットの仕様がどうなっているかにばかりこだわって、襟に全く関心を示さない人もいます。しかし襟はジャケットにとってまさに命といっても過言ではない場所であり、そこを軽視してかっこよくスーツを着こなすことはできないのです。

襟元をラペルピンで飾る

ラペルピンとはスーツのジャケット、襟(フラワーホール)に付ける小振りのアクセサリーのことです。

  • スティック
  • チェーン
  • ピンズ・ブローチ

以上の3種類があり、それぞれに特徴や向いているシーンが異なります。1つずつ紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ラペルピン①:スティック

スティック型のラペルピンは、メインの飾りに長めの針が付いているデザインです。

付け方、襟のフラワーホールに表から針を通して、シワにならないように裏から表にさし返し留め具で留めるだけ。

この時に角度を付けるか、垂直に刺すかでも雰囲気が異なります。自分で合わせてみて似合う角度を見つけてみるといいでしょう。

スティック型はフラワーホールに刺すだけでなく、表側に刺し替えした時にスーツを痛めてしまうため注意が必要です。

ラペルピン②:チェーン

スティックやピンズの飾りに、チェーンがついたタイプのラペルピンです。

チェーンが飾り部分をさらに引き立て、ラペルピンの主張を強く華やかなものにします。

メンズスーツの堅さのある雰囲気を、チェーンの緩やかなカーブで一気にエレガントな印象に変える効果も期待できます。

ラペルピン③:ピンズ・ブローチ

ピンズ型は、メインの飾りの裏側に短い針が付いているタイプのラペルピンです。

シャツの袖口に付けるカフスボタンのようなイメージで、フラワーホールに針を刺して裏側で留めて固定します。

スティックタイプに比べて、長い針を表側に刺し返す必要がないため生地を傷めないことも特徴です。

華やかなものもありますが、小ぶりでシンプルなものも多くビジネスシーンで社章をピンズタイプで作成し、社員で付ける企業もあるほどです。

ラペルピン④:ブートニエール

フラワーホールの所以ともいわれている、飾り花にピンが付いているラペルピンです。

一見コサージュとよく似ていますが、ブートニエールは男性が付けるもの、コサージュは女性が胸元を飾る為につける花飾りです。

生花ではなく造花で作られており、素材もさまざまにあります。

ブートニエールがあることで上品さをまとうことができるため、パーティーなどにもオススメのラペルピンです。

ラペルピンの選び方【シーン別】

ラペルピンは、胸元に付けるだけで華やかな印象を与えてくれるアイテムです。しかしいくつかあるラペルピンにもシーンごとに向き不向きがあり、付けるシーンを間違えてしまえばオシャレに見えるどころか反対にマナー違反と思ってしまう可能性も。

ラペルピンが良く付けられている「ビジネスシーン」と「結婚式」「2次会などのパーティー」に的を絞り、シーンごとに選び方を紹介します。

ビジネスシーン

ビジネスシーンでは、社章やシンプルなデザインのピンズタイプのラペルピンが用いられることが多くみられます。

そもそも男性のビジネスシーンでは、アクセサリーをつけること自体がNGとされていることも多く、マナー違反とならないアクセサリーは、ごくわずか。腕時計や結婚指輪などがそれにあたります。

企業の社章ならもちろん問題ありませんが、それ以外のラペルピンを使用する際にはTPOや職場の雰囲気に合わせた物を選ぶのが賢明です。

2023年現在ではビジネスカジュアルが許容されている企業も増えているため、問題ないと確認できた際にはなるべく小ぶりでシンプルなデザインのラペルピンで、スーツスタイルを楽しみましょう。

結婚式

結婚式では、派手すぎず落ち着いた飾りのものを選びましょう。

ラペルピンは、スーツスタイルやジャケットスタイルを華やかに飾ってくれる便利なアイテムです。

しかし、結婚式の場合は新郎より目立ちすぎるのは絶対にいけません。

スタイルを華やかに飾る程度のものに留め、TPOに応じた着こなしにしましょう。

2次会やパーティー

結婚式の2次会や、ちょっとした身内のパーティーなど、少しカジュアルさを出しても問題ないシーンには、遊び心を用いたラペルピンを使用しても問題ないでしょう。

ブートニエールやちょっと派手かな?と思うようなラペルピンでもその場の雰囲気を損なわない範囲であれば着用OK。合わせてネクタイの色味やポケットチーフをプラスするなどして、個性的で華やかなスタイルでその場を盛り上げましょう。

オーダースーツの裏技

スーツコーディネートの基礎的なバランスは襟幅に合わせる事ですが、もちろん例外もあります。

毎年、様々な流行をふまえて色柄を決め、常にコーディネートの最適解を探すのは大変。それでも最新の着こなしをしたい、はたまた、プロ級のコーディネートを簡単に手に入れたいと思う方もいらっしゃるはず。そんな時の裏技をご紹介します。

裏技①:新しくスーツを新調する際には、そのスーツに合うコーディネートを同時購入する

こちらが最も安心で無駄がない購入方法です。スーツを新調した時、そのスーツに合うもので、最近の流行を意識したシャツとネクタイのコーディネート候補を出してもらい、その中から選びます。

このように同時購入することで、最適なコーディネートが手に入り、なおかつ忙しい朝に悩まなくても済むため、時短にもなります。その際には、そのコーディネートがオススメの理由をスタッフから聞いておくと、その後の買い足しの際に役立ちます。

裏技②:自分に合ったもの、こだわりを込めたスーツが欲しいなら、オーダースーツを選ぶ

オーダースーツは自分の体にジャストフィットで仕立てるために、既製品と比べると断然格好の良い着こなしができます。

また、今回お話してきたラペルのデザインや幅、その他ボタンやポケットなどスーツのデザインの細部にまでこだわることができるというのも大きな魅力だと言えるでしょう。流行りの襟の形などを取り入れることも可能です。

スーツは、見た目の基本が変わらないため、あまり目立った流行は無いと思われがちですが、スーツの流行とコーディネートが同調しながら変化しています。

違和感の目安は、3年から5年。コーディネートに「変ではないけど、何か違う。」という違和感を覚えるのはこのためです。

特に、何年か前に購入し放置したネクタイを使う場合などは注意が必要です。相手に同じ違和感を与えないためにも、なるべく旬なデザインを使いましょう。

また、店舗スタッフとコーディネートを選ぶ際は、普段使わないカラーに注目する良い機会になります。普段使っていないカラーや柄で、似合うものを発見する楽しさ、コーディネートの醍醐味を体験して下さい。オーダースーツSADAでは、そんな発見のお手伝いをさせて頂きます。

まとめ

今回は、襟にスポットを当ててご紹介しました。ポイントは以下の通りです。

  • ピークドラペルは地位が高い、年配の方が着用するイメージがあるため着用シーンは慎重に選ぶ。
  • ピークドラペルのビジネス用はジャストサイズで選ぶ。
  • ノッチドラペルは、ビジネスからカジュアルまで最も汎用性が高い。
  • スーツは襟幅に合わせて、ネクタイ幅とシャツの襟幅を決めるとコーディネートが整う。
  • 流行に合わせたコーディネートを維持したいなら、シャツ、ネクタイはスーツと同時購入がおすすめ。
  • ラペルピンやステッチは、シーンやTPOに合わせて選ぶとマナー違反にならない。

襟はスーツの見た目を決める、重要な役割を持っています。

人の視線は自然とその人の顔周辺に集まります。ジャケットの襟は顔の真下にあります。そのため、意識せずとも視線が集まりやすいのがこの襟部分なのです。

襟はスーツの見た目を決める重要な役割があるのだと存在を意識することで、ぐっとバランスの良いコーディネートに変わりますので、ぜひお試し下さい。「あれ?ちょっといつもと違う?」と周囲の人に驚かれるかもしれません。

職場に、きちんとバランスよくスーツを着こなしている人がいると、見るだけで爽やかに、気持ちが明るくなるものです。フォーマルシーンでも同様で、TPOに合った華やかさでスーツの着こなしをしていると祝いの席の雰囲気すら良い方向に導きます。

ほどよいお洒落は、人間関係の潤滑油です。

襟やネクタイ、シャツやボタンなどその他にもさまざまなオシャレポイントがあるスーツスタイル。ぜひ周りの方を楽しませるような、素敵なコーディネートでお出かけになってくださいね。

スーツのお悩み・ご相談はぜひオーダースーツSADAにお問い合わせください。お客様の体にジャストフィットする一点物のスーツをお届けします。

襟の種類は8種類。1つ目は上襟と下襟の縫い合わせ部分がまっすぐになっている、シングルスーツの定番「ノッチドラペル」。2つ目は下襟の先が尖っており、ドレッシーな雰囲気を出せる「ピークドラペル」。3つ目はピークドラペルの尖り方を若干抑えて、少しやわらかい印象にした「セミピークドラペル」。4つ目は上襟が強調され、非常にカジュアルな印象を与える「バルカラー」。5つ目は襟を立てて使えるデザインの「ステンカラー」。6つ目は上襟の位置が高くなっており、カジュアル感を強くする「ボナパルトカラー」。7つ目は襟回りがニットになっており、冬や夜間の仕様に最適な「スパニッシュカラー」。8つ目は上襟と下襟の境目がなく、肩掛けのように見える「ショールカラー」です。ビジネスシーンなら「ノッチドラペル」「セミピークドラペル」がおすすめ。フォーマルなシーンでは「ピークドラペル」がおすすめです。それ以外の襟は、カジュアルシーンで使用しましょう。また襟の幅が狭いと洗練された印象を、広いと堂々とした印象を与えられますよ。8つの襟の種類と襟の幅による違いを押さえて、シーンに合わせた最適なジャケット選びをマスターしてくださいね!