オールシーズンスーツと春夏・秋冬スーツの違いとは?季節感を出す着こなしのコツも教えます!
社会人にとって、清潔感があり頼りがいのある印象を与えるスーツは必要不可欠なものです。特にメンズスーツはデザイン・仕立ても豊富な種類があり、選ぶスーツによって与える印象を変えることができます。また、着心地や着こなしにこだわることで見栄えが良くなり、スーツスタイルをより楽しめるようになるでしょう。スーツはビジネス用とイメージされる方が多いですが、近年はカジュアルに着こなせるセットアップスーツも人気です。おしゃれ着としてもスーツファッションの幅は広がりつつあります。しかし、意外と見落としがちなのがスーツに使われてる素材、生地、仕立ての違いです。季節に合った仕立てや生地を選ぶことができれば、快適に過ごすことが可能です。さらに、おしゃれの幅も広がり、もっとスーツファッションを楽しめるはずです。そこで今回は、スーツの季節別の素材、仕立て、着こなし、着用シーンやスーツをオーダーする際のポイントなどを解説します。季節を意識した質感や色柄を選ぶことで、スーツスタイルは洗練された印象に変わります。ぜひ本記事を参考に、オールシーズンスーツと春夏・秋冬スーツの違いを理解して、季節に合ったスーツのポイントをおさえましょう。
スーツは「春夏」「秋冬」「オールシーズン」の3種類
本来のスーツは、春と秋用、盛夏用、真冬用に分けて着用します。春と秋は同じスーツを着用しますが、コーディネートで春らしさ、秋らしさを演出していました。
現在のスーツは基本的に「春夏スーツ」「秋冬スーツ」「オールシーズンスーツ」の3つに分類されています。
春夏スーツ
通気性が良く、使われる生地の色味も明るめの色合いが多い爽やかなスーツです。
使用される生地は目が粗く通気性があり、質感もサラッとしたものが多いです。
クールビズの普及により、夏はジャケットを着ない事も増えましたが、重要なビジネスシーンなどではスーツスタイルが必要な場面もあるので、用意しておきたい1着です。
また、セットアップスーツはカジュアルな見た目の物も多いので、ジャケットはプライベートで着用することもできて使用範囲も広いのでおすすめです。
秋冬スーツ
保温性が高く、使われる生地の色味もダークな色合いが多いシックなスーツです。
使用される生地も重く、目の細かい厚めのものが多くなります。
スーツファッションを楽しむ方にとっては、ジャケットを快適に着こなせるシーズンである秋冬を好む方も多く、重ね着により使用できるアイテムも多くなるのでコーディネートの幅も広がります。
生地もしっかりとした厚い物が多いので、高級感があるスーツを仕立ててみるのもおすすめです。
【スーツ 秋冬】秋冬オーダースーツは8月末から準備する!メンズ秋冬スーツの選び方
オールシーズンスーツ
「オールシーズンスーツ」とは、名前の通り春夏秋冬、いつでも着られるスーツを指します。
春夏スーツよりは保温性があり、秋冬スーツよりも通気性が良い素材が使われていて、色味も通年通して使いやすい良い意味で季節感のない色が使われることが多い便利なスーツです。無難なカラーリングなものが多いため、シチュエーションを選ばず着用できるのが魅力です。
春夏スーツと秋冬スーツの中間くらいの厚さの生地が多く、ストレッチ性に富んでいるなど機能的なものが好まれる傾向もあります。
毎日スーツを着られる方が年間を通して着回したり、逆に普段あまりスーツを着られない方が必要な時に着るために準備しておいたりと、様々な用途で使われます。
日本では、夏はクールビズでスーツを着ない方も多いため春秋冬の3シーズンスーツと呼ばれることも多いです。
春夏スーツを秋冬に着るのはNG?!そんな悩みは「オールシーズンスーツ」で解決
おすすめの着数
スーツは「1着3休」という言葉があるように、1日着たら3日は休ませるというローテーションが理想と言われています。
週5回毎日スーツを着られる方でしたら、最低4着は必要となります。
そこで季節感や快適に過ごすためにはもっと必要になりますので、目安としては
春夏スーツ → 1~2着
オールシーズンスーツ → 2~3着
秋冬スーツ → 1~2着
をご用意していただくと、年間を通して快適かつ季節にあったコーディネートを楽しめると思います。
上記の数字はあくまで目安となり、職業や勤務体系によって変化します。
また、冠婚葬祭用のフォーマルスーツや勝負用のスーツなどシーン別のスーツも用意することをお勧めします。
仕事や働き方も多様化しているので、ご自身のワードローブを確認し、どれくらいのスーツが必要かをこの機会に考えてみるのも良いと思います。
頻繁にスーツを着ない方にも!あると便利なオールシーズンスーツの魅力
うまく活用すれば、年間を通して着用できて、コーディネートをうまくできればオシャレにも着こなせるオールシーズンスーツ。その魅力をご紹介いたします。
オールシーズンスーツのメリット3つ
①年間を通して着用することができる
1番の魅力はやはり、年間を通して着用できることです。
真夏で一番暑い時期や、真冬で一番寒い時期などは温度調節が難しくなりますが、着こなしや重ね着をすることにより調節は可能です。
真夏ならば、ジャケットを脱いでワイシャツもしくは、ベストをきたベストスタイル。
真冬でも、インナーにニットやコートを着ることにより暖かく過ごすことも可能です。
②スーツの手持ちを調整することができる
上記でご紹介した「1着3休」を春夏・秋冬それぞれで分けようとするとそれなりの着数のスーツが必要になります。
もちろんスーツを長く綺麗に着るならば、それが理想的ではあるのですが、コスト面やワードローブの広さなどから難しい人も多いと思います。
そこで、年間通して着用できるオールシーズンスーツをうまく活用すれば、スーツの総数は少なくとも、春夏スーツはより春夏らしく秋冬スーツはより秋冬らしいデザインにすることもできるので、メリットの一つとなります。
③定番のデザインなのでコーディネートが合わせやすい
春先には、春色の淡いネクタイや爽やかな明るめのブルーのネクタイでコーディネートを楽しめます。
秋には、深みのある濃色のボルドーや大人の落ち着いた雰囲気になるダークブラウンのネクタイもおすすめです。
コーディネートの色合わせで季節を表現できるため、着回し力も高く便利です。
オールシーズンスーツには明確にこうしないといけないという決まりや定義はありません。
こういったデザインは定番である分、ワイシャツやネクタイなど他の小物と合わせやすく、少し華美なコーディネートを包み込んでくれる懐の深さも兼ね備えています。
スーツ自体の季節感の薄さはコーディネートを多種多様に楽しめる余白でもあるのです。
季節ごとにスーツは変えるべき?シーズンごとのスーツの違いを解説!
基本的にスーツは季節ごとに変えます。
スーツを季節ごとに変える理由は、「着用時の快適さ」の追求です。
ビジネスマナー上の理由は、「季節感にあった着こなしをすることが、会う相手への敬意の表れとなるため」です。季節にふさわしいスーツは、誠実な印象として相手に伝わります。
夏用スーツを冬に着ても良いのか?
スーツの季節に関する疑問は、以下の3つが代表的です。
「夏用スーツを冬に着てもいいのか」
「冬用スーツを夏に着ることは可能か」
「一年中着られるスーツがあるのか」
季節が違うスーツを着用することは可能です。
冬に夏用スーツ、夏に冬用スーツといった、季節が違うスーツを着てはいけないというルールはありません。
しかし、夏用スーツは冬の気温ではかなり寒く、特に屋外では、コートでカバーできない足が冷えやすいです。
逆に、冬用スーツは、夏の気温では袖を通すだけでも暑く、実用的ではありません。
春夏用スーツを冬に着ていたらバレるのか
ダークカラーのスーツであれば、数メートル離れるとその違いはほとんど分かりません。
ただ、春夏用スーツを冬に着た場合、周囲の人にバレるのかどうかは、生地や仕立てにもよります。
また、見る人がスーツを頻繁に着用する人なのか、普段着用しない人なのかでも、気づかれる確率は変わります。
会う相手が普段スーツを着用しない人であれば、春夏スーツを冬に着ていても、おそらく気づかないでしょう。
しかし、色には注意が必要です。
冬にライトグレーの夏用スーツを着用した場合は、「夏用スーツだな」とすぐに気づきます。これは、色の持つ季節感で分かるケースです。
春夏用スーツでも濃紺の場合は、スーツを羽織っていれば、気づかれる可能性は低くなります。
しかし、ジャケットを脱ぐ際に生地に光が透けることで薄さが目立ち、春夏用と分かる場合があります。
特に盛夏用の非常に薄い生地では、着用中に風にベントが煽られたり、動作で生地に光が透けると、夏用だと分かります。
会う相手が普段スーツを着用する人の場合は、至近距離で話をするとスーツ生地の違いに気づく可能性が高くなります。
夏生地には平織独特のシャリ感があり、冬生地には綾織独特の厚みや起毛感があります。
これらの違いが見える至近距離では分かります。
大切なビジネスの場では、季節に合わないスーツを着ていることは、マイナスな印象を与えてしまうため避けた方が良いといえます。
季節違いの違和感を感じさせずにスーツを着回すには、3シーズンが限界です。
ダークカラーの春夏スーツをインナーで調節して秋の終わりまで着用することは可能です。
秋冬スーツは、春の3月末程度までが着用の目安です。
オールシーズンスーツは一年中着用できる?
オールシーズンスーツと呼ばれるスーツは、厳密には3シーズン対応です。
夏がメインのオールシーズンと、冬がメインのオールシーズンに分かれます。
現在は、夏はクールビズの企業が多いため、冬がメインのオールシーズンを着用する傾向があります。
また、空調のある室内でのデスクワークが主となる着用では、オールシーズンのみでの着回しも可能です。
オフィスカジュアルにおいて、インナーにタートルネックニット、半袖のクルーネックTシャツなどが着用できる場合、オールシーズンのセットアップスーツでの着回しが可能になります。
スーツのシーズン(季節)の違いとは?
春と夏に着用する春夏スーツは、気温が次第に高くなる季節に最適な生地や仕立てになっています。衣服内に熱がこもらず、通気性が良く、肌触りもシャリ感があります。
秋冬スーツは、次第に気温が下がる季節に着用するため、衣服内に熱を留める仕立てになっています。生地は、織目が詰まって厚みがあり手触りはなめらかで、生地によっては起毛感があります。
オールシーズンスーツは、シャリ感や起毛感がなく、季節感を感じさせにくい生地が特徴です。
【季節別】「素材」「生地」「裏地」「色」の特徴と見分け方
スーツは使用される素材や生地、色合いにより、その特徴が変わります。それぞれのシーズンに適したものや特徴をそれぞれご紹介いたします。
素材
【春夏】
・サマーウール
スーツの代表的な素材で明確に夏用の素材ということはありませんが、織り方によって様々なシーンに対応できる素材です。
サマーウールの場合は、生地を織り上げる糸を強撚糸という糸で織り、薄手の生地にすることによりハリコシがあり、通気性の良い生地にすることができます。
・リネン
夏素材の定番であるリネンには優れた吸水性・発散性があり、衣服内の蒸れを防いでくれます。通気性がよく、肌触りはさらっとしてるので暑い夏にぴったりです。
・コットン
ジーンズなどにも使われる頑丈で吸水性も高い素材で通気性にも優れています。
ウールと同じように織り方によって、色々なシーズンに対応できるのですが、コットンスーツといえば夏用というイメージも強く、カラーバリエーションも豊富で夏らしい明るい色の生地も豊富なので、今回は夏向けの素材としてご紹介します。
ウールよりもカジュアルな雰囲気のスーツになります。
・モヘア
アンゴラヤギという、ヤギの毛を紡ぐことで生産される素材になります。
耐久性が高く、光沢感があり他の夏向け素材と同じく通気性・放熱性も高いので夏素材として最適です。
シワにも強くハリコシがあるので、夏でもキッチリとした印象にしたい方にもおすすめです。
【秋冬】
・ウール
秋冬用のウールは保温性に優れていて、生地も厚めのものが多くなります。
生地はシックで上品な光沢があるものが多く、高級感のある仕上がりになります。
また、起毛した肉厚な生地で耐久性が高い物も多くあります。
・カシミヤ
美しい光沢を持ち、軽くしっとりとした肌触りの高級感あふれる生地になります。
高級素材の代名詞であるカシミヤは寒い地域の暖学地帯に生息する「カシミアヤギ」の毛から生産されます。
冬スーツの重厚でシックな雰囲気にカシミヤを使用することにより、ワンランク上の上品な生地が出来上がります。
カシミヤは繊細で耐久性が低いので、ウールなどと混紡で使われることが多いです。
【オールシーズン】
正確にはオールシーズン向けの素材というのはありません。オールシーズン向けというのは主にウール素材を厚さや目の細かさなどで調整するからです。なので、今回はオールシーズンスーツ向けの機能的な素材である、化学繊維をご紹介させていただきます。
・ポリエステル
弾力性があり、シワに強く軽く実用性が高い素材になります。
高い復元性と耐久性があるので、アクティブに動いて外回りをされるサラリーマンの方には特にお勧めの素材になります。
動物性・植物性の素材と比較すると価格を抑えられることがメリットの一つとなります。
・ナイロン
耐摩耗性に優れていて、伸縮性が高いのでよく伸びてくれるのが特徴の素材となります。
シャカシャカとした素材感で、セットアップなどによく使われます。
ウールと混紡することにより、見た目はきっちりしつつ動きやすいスーツを作ることができます。
生地
スーツの生地は素材を糸にして織り上げることで作られます。織り方によって性質も変わりますので、季節にも向き不向きがあります。
【春夏】
・シアサッカー
経糸と緯糸の伸長率を変えることにより、波のような縞が特徴の生地です。
肌への接地面積が小さくなるので、サラッとした肌触と高い通気性で、夏の暑く湿度が高い状態でも着心地が快適です。
・ソラーロ
亜熱帯地域で紫外線から体を守るために開発され、紫外線を反射し玉虫色に輝く魅力的な生地
独特の光沢感が魅力で大人の雰囲気を演出してくれます。
【秋冬】
・フランネル
ウールを起毛加工し、保温性を高めた柔らかな生地になります。
秋冬素材の定番となります。表面が起毛しているため、優しく穏やかな印象を与えてくれます。
防寒性も高く、コーディネートもしやすいので、秋冬用のスーツが欲しい場合はオススメです。
・サキソニー
フランネルと同様起毛加工していますが、フランネルほど重くなく、軽く艶感のある生地になります。
高級感があり、フォーマルな装いにもよく使われるので、シックな大人らしいスーツを作りたい時などオススメです。
・ツイード
イギリスの伝統的な生地で、凹凸がありゴツゴツとした厚めの生地になります。
厚手で空気を多く含むのでかなり保温性が高く防寒性に富んだ生地になります。また、頑丈で摩耗にも強く耐久性があるので長く着ることができます。
キャバルリーツイルで作られたスーツの魅力とは?おすすめの生地や着こなし方を紹介
キャバルリーツイルは、綾織が急傾斜ではっきりと綾織の畝が見える生地です。キャバルリーツイルの魅力や歴史、着用に適した季節まで詳しく解説しています。オーダーメイドでスーツを作りたい方向けの情報もあります。
【オールシーズン】
・ウール・ポリエステル混紡
耐久性が高いポリエステルとウールを混紡した生地になります。
通年でスーツを着る場合耐久性は欠かせないポイントとなります。しかしポリエステルだけではカジュアルな印象になってしまいますので、ウールと混紡させることにより、耐久性とスーツの高級感を両立することができます。
裏地
スーツの裏地は大きく分けて2種類に分類されます。
主に春夏用を「背抜き」、秋冬用を「総裏」という仕立てにするのがオススメです。
また、市販のスーツが、春夏スーツか秋冬スーツかを見分けるには、裏地が付けられている範囲が目安になります。
・背抜き(春夏・オールシーズン)
背中部分の裏地がないので、通気性がよく涼しく感じることができます。
また、ジャケットの見た目も涼やかになるので、春夏の軽やかなアイテムとのコーディネートもしやすくなります。
・総裏(秋冬)
ジャケットの内側全面に裏地をつけることにより保温性を高め、温度を調節することができます。
また、裏地を全面につけることにより型崩れと表地を守ってくれるので、スーツの寿命を伸ばすことができます。
色
スーツの色は印象を決める大きな要素となります。基本的に春夏スーツは色味が明るく、秋冬用のスーツは暗めな色合いが季節感を演出してくれます。
オールシーズンスーツには年間通して使いやすいネイビーとチャコールグレーがおすすめです。
ネイビーとチャコールグレーはスーツに使われる色で最もポピュラーな色になるので、年間通して着ていても違和感はありません。
夏と冬、オールシーズンスーツの見分け方
春夏用スーツと秋冬用スーツの見分け方は、ジャケットの裏地がポイントです。
既製服の場合の見分け方は、ジャケットの内側に裏地が全面に付けられているものが冬物です。
背中の裏地が、肩甲骨が当たる位置までで、下半分に裏地が無いジャケットは春夏スーツです。
背中の裏地が、肩甲骨よりも少ない場合やメッシュの裏地が付けられているものは、盛夏用で、真夏限定のスーツです。
オールシーズンスーツの見分け方は少し難しくなります。
一般的なオールシーズンスーツは、裏地が春夏スーツと同じです。
裏地が肩甲骨が当たる位置くらいまでで、下半分は裏地がありません。
春夏スーツとオールシーズンスーツの違いは、ジャケットを光に透かして見ることで分かります。
光が透けて見え、生地を通して周囲の様子が、かすかに分かる場合は春夏です。
光が透けても、生地越しに周囲の様子は全く分からないものがオールシーズンです。
スーツのシーズンを手触りで見分ける
スーツは手触りでもある程度分かります。
春夏は汗のベタつきを抑えるためシャリ感があります。
さらさらとして生地が肌に密着しにくい生地は春夏スーツです。
秋冬スーツは、密度が高い織りになっているため、しっとりとして肌になじみ、比較的なめらかです。真冬生地は起毛しているため表面が柔らかく、すぐに分かります。
オールシーズン生地は、シャリ感も起毛感もありません。
季節を感じにくい風合いが特徴です。
店頭で購入する場合は、店頭スタッフに希望するシーズンをあらかじめ伝えてから生地を選ぶと安心です。
【2022年最新】ビジネススーツを専門家が徹底解説!ビジネススーツの色の印象やコーディネートまで一挙に紹介!
ビジネススーツにおける印象や着こなし等をスーツの専門家が徹底解説!ビジネスシーンでの柄、色、ネクタイとの組み合わせを一挙にご紹介いたしますので、是非ご一読ください。
衣替えはいつ?スーツに合わせて小物も衣替えが必要
季節ごとに使い分けるスーツですが、どのタイミングで衣替えすればいいか、難しいと言う声をよく聞きます。地域や気候によっても変動しますが、今回は一般的な目安をご紹介します。
春夏スーツの衣替え
最高気温が15~20°Cを超えるような3月から5月くらいに衣替えをしましょう。
地域にもよりますが、一般的には3月頃から春物に変え、6月1日から夏物を着用します。
スーツの場合は、3月の気温が高い日から春夏スーツに変え、6月以降で暑い日は盛夏用のスーツにする方法もあります。
日によっては朝と夕方の寒暖差が激しい日や風が肌寒い日もあります。
3月中はインナーで調節したり、秋冬スーツをすぐに収納せず、寒い日に着用できるようにしておくと安心です。
春夏のおすすめアイテム
・サマーニット
コットンやリネンなどの素材を使用した春夏用ニット。
繊維が太く通気性も良いので、春夏でも快適に切ることができます。
半袖や長袖のもので、スーツのインナーとして使っても良いですし、ニットベストをワイシャツと合わせると上品な着こなしができます。
・スプリングコート
軽めのコットンやポリエステルやナイロンなどの化学繊維で作られたコート。
衣替えの時期は天気が不安定だったり、まだ肌寒い時期に最適な温度調節ができて、防風性が高いコートになります。
春夏らしく明るめのベージュがオススメです。
上記などのアイテムをうまく活用し、衣替えの時期もオシャレやコーディネートを楽しみながら、過ごしましょう。
秋冬スーツの衣替え
最高気温が20°Cを下回り始める9月から11月くらいの間に衣替えをしましょう。
9月に入ったら、秋色のダークカラースーツやミディアムグレーのオールシーズンスーツがおすすめです。
秋の衣替えは温度調節や季節の移り変わりを楽しむためにも、前もって準備しておきましょう。
秋冬におすすめのアイテム
・マフラー・手袋
秋冬アイテムの定番コートを着るほどではないが、肌寒くなってきた時期にマフラーで首元を暖めてあげるだけで、風邪も防げます。手袋もレザーのものやニットのものを使い分けることにより秋冬の寒さを調整できます。
・オータムコート
春夏のところで説明させていただいたスプリングコートと役割は同じになります。
ウールの厚いコートを着るほどではない時期に温度調整ができ、防風性もあり重要です。
オータムコートもスプリングコートと同じようにコットンや化学繊維を使用した軽めのコートがおすすめになります。
カラーはブラウンやカーキなどの暗めの色合いにすると秋冬用のアイテムとの相性がよくコーディネートしやすいです。
オールシーズンスーツの活用
オールシーズンスーツは良い意味でも悪い意味でも季節感が薄く温度調節も難しくなってしまうので、衣替えの時に便利なアイテムや季節ごとの色合いのアイテムを活用しオシャレかつ快適に過ごしましょう。
オールシーズンスーツに関連するキーワード
スーツスタイルで快適に過ごすためには、スーツの生地や仕立て、色合いデザインによって変わる着こなしや印象を理解する必要があります。これまで、その大きな要素である季節にまつわるスーツの要素や着こなし方をご紹介させていただきました。
ここでは着用シーン、トレンド関連、気候のキーワードから特にオールシーズンスーツにスポットを当ててポイントをまとめてみました。
オールシーズンスーツでは年中同じスーツを着用するため、スーツ自体のデザインを変えることはできません。ちょっとした一工夫が季節感やTPOをうまく乗りこなすコツになります。
内勤
リモートワークや在宅勤務の流れから内勤が増えたという企業も多いのではないでしょうか。空調が効いていることと、社外の人に対面で会う場面が少ないため、スーツに対してそこまで神経質になる必要はなくオールシーズンスーツは向いていると言えます。
また、内勤では上着を脱ぐことも多いため、夏場はベストスタイルもおすすめです。スーツの歴史を紐解けばイギリスの17世紀まで遡ります。本来ワイシャツは下着の意味を持っているため、シャツだけの姿では失礼に当たるとされていました。そこで登場したのがベスト(ジレ)を含めたスリーピーススタイルとも言われています。日本のクールビズではワイシャツのみのスタイルが一般的になっていますが、空調が効いている室内ではベストを着て周りと差をつけるのもありでしょう。
職場で襟付きシャツの着用がルールでなければ冬場はタートルネックやニットをインナーにもってくると保温効果が上がるだけでなく、差し色を楽しめたりオシャレ度も上がります。
この後説明するセットアップも内勤には適したアイテムになります。
セットアップ
勤め先ではスーツ以外もOKという企業も増えてきています。そこで登場するのがセットアップです。
セットアップとはトップスとボトムスが同一生地でつくられているものでスーツほどフォーマルではありません。スーツもセットアップの仲間ではありますが、スーツとセットアップを区別して呼ぶことが多いようです。
オフィスカジュアルにはもってこいのアイテムで「防シワ性」「ストレッチ性」「ウォッシャブル」「高コスパ」とオールシーズン着用するにはありがたいアイテムとなっています。
コーディネートとしてはアイビーカラー、Vネックニット、チェック柄シャツなどプレッピーなスタイルも人気です。セットアップでは肌見せも可能です。アンクルパンツとカバーソックスで足首を見せるのもよいですし、靴はスニーカースタイルにすることもできます。
ただし、営業などの外回りでは現代においてもスーツスタイルがマストな企業もありますので、相手に敬意を払い、相手に合わせたコーディネートを意識しておきたいところです。
就活・インターンシップ
就活は3月受付開始、6月選考開始、10月内定出しが一般的なスケジュールですが、近年は企業側も年中通して採用活動やインターンシップを行っているところが多い傾向にあります。インターンシップは特に実際の職場や現場で仕事を体験するわけですから就活生のスーツ着用シーンは意外と多いことに気づきます。
就活やインターンシップではスーツにこだわることがメインではありません。選ぶポイントとしては機能面とコストです。生地はウール100%よりもウールとポリエステルの混紡にすることで「速乾性」「防シワ性」「高耐久性」「高コスパ」を実現できます。混紡比率は6:4などウールが多めになっていると安っぽくならずに着こなすことができます。また、忙しくなると手入れの時間も削られますのでシワやほつれには最新の注意を払いましょう。年中実施している就活とインターンシップにはまさにオールシーズンスーツがぴったりなのではないでしょうか。ぜひ検討してみてください。
トレンドカラー
2024年のトレンドカラーは「ピーチ・ファズ」です。これはPANTONE社が毎年発表しているカラーで正式名称は「PANTONE 13-1023 TCX」。桃色に少しオレンジを混ぜたようなあたたかく心地よい色です。シャツが白系や青系が多ければ、あえてピンク系も揃えておいてもいいかもしれませんね。
シャツだけではありません。ネクタイも季節によって変えてみてはいかがでしょうか。ネクタイに限らず基本的な色使いとして、暖色系と寒色系を使うのはご存知の方もいらっしゃるかもしれません。パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークでの2024春夏コレクションを調べてみましたが、鮮やかなカラーが多く見受けられました。ブルーまたはライトブルー、シルバー&ゴールド、レッド、ナチュラルカラーです。ネクタイはスーツのコーデに重要な差し色の役割を担いますから、暖色系・寒色系のルールを守りつつトレンドを入れてオールシーズンスーツに華を添えましょう。
例)春夏:ブルーまたはライトブルー、シルバー&ゴールド
秋冬:レッド、ナチュラルカラー
遅い秋
エルニーニョ現象によって平均気温が高く、日照時間が長いのは事実です。気象庁のデータで月別で見てみます。
9月:過去30年で一番高い平均気温で27.9℃
10〜11月:過去30年と比べて実はあまり変わらない
10〜11月って対して変わっていないの?と思われるかもしれませんが、9月が暑いというのがポイントです。つまり、残暑から急激に温度が下がることで、より肌寒いと感じやすくなった。言うなれば秋が短いというよりは秋が来るのが遅くなったと考えるのが妥当でしょう。
「25℃を下回った時期」がオールシーズンスーツの得意とする時期です。9月は昔ほど着る機会がないかもしれませんが、スーツを休ませる期間が増えたと思えばよいでしょう。
暖冬
近年は暖冬と言われる年が多くなっているイメージがありますよね。気象庁の12〜2月のデータを見てみると、ここ5年では平均気温が平年より下回ったのが一度だけです。
暖冬はオールシーズンスーツにとってはメリットです。なぜなら、寒い期間が短ければ、それほど生地を厚くする必要がないからです。仮に生地を厚めにしてしまうと当然、春夏には着られなくなりますね。春秋中心に着ることを優先して、冬はコートなどアウターで調整しましょう。そもそも室内は空調が効いているため、寒さに合わせた生地の厚みにそこまで神経質になる必要もないのです。
スーツ着用機会が少なめ
そもそもスーツは普段着ないし、何かのイベントにしか着ない場合こそオールシーズンスーツ1着あれば事足りますよね。葬式で着用する礼服の黒は漆黒の黒であり、いわばスーツで使っている黒とは全く異なります。したがって葬式以外では特にオールシーズンスーツでも問題ありません。ちょっとした工夫でイメージをガラリと変えることができますのでシャツやネクタイ、バッグなどで色使いを楽しみましょう。
オーダースーツSADAとは
オーダースーツSADAは、個人の体型に合わせた型紙を作成し、美しいシルエットを実現するフルオーダー専門店です。
フルオーダーであれば、いつでもお好きな色柄で季節に応じた生地を選ぶことが可能です。仕事に最適なスーツを生地から選びませんか?体にフィットするスーツは動きやすく、長持ちします。
コストパフォーマンスも高いためおすすめです。
ぜひ、お気軽にご予約ください。
季節の変わり目におすすめ!スーツクリーニングについては「カジナビ」のこちらの記事をご参考ください。
いかがでしたでしょうか。今回は、スーツの季節別の素材・仕立てやそれに併せた着こなし・着用シーンやスーツをオーダーする際のポイントなどを紹介してきました。スーツは基本的に春夏スーツ・秋冬スーツ・オールシーズンスーツの3つに分類されますが、快適に過ごすためには、季節に合ったスーツの生地や仕立て、色合いデザインを理解する必要があります。春夏スーツの場合には、通気性が良く、生地の色味も明るめの色合いを選べば、爽やかなスーツスタイルに仕上がります。秋冬スーツの場合には、保温性が高く、生地の色味もダークな色合いを選ぶと、落ち着いたシックなスーツスタイルに。オールシーズンスーツの場合には、春夏スーツよりは保温性があり、秋冬スーツよりも通気性が良い素材が使われているのかチェックし、色味も季節に左右されず通年通して使いやすい色を選ぶといいでしょう。それぞれの季節ごとのスーツとその着こなし方を理解するだけで、コーディネートの幅は広がりますし、コーディネートを考えること自体が楽しくなると思います。どのような季節で着用するかを想定しておくと、迷いがちな生地の選択もスムーズに進むので是非今回の記事で得た知識をご活用ください。オーダースーツSADAでは、専門のスタッフがしっかりサポートするため、フルオーダーの楽しさ、快適さ、フィット感はもちろんのこと、着回しの相談や着こなしに関しての些細なお悩みにも親身にお答え致します。
それぞれの季節ごとのスーツとその着こなし方を理解するだけで、コーディネートの幅は広がりますし、コーディネートを考えること自体が楽しくなると思います。