ブレザーとは?特徴や起源、ジャケットとの違いから選び方の注意点やマナーまで解説
働き方の多様化や温暖化によって、これまで定番であったスーツスタイルが変化しつつあります。昨今は、オフィスカジュアルやクールビズ・ウォームビズがビジネススタイルとして広がるなか、注目されているアイテムのひとつがブレザーです。そこで今回はブレザーの特徴や起源や発祥、名前の由来について解説します。また混同しやすいブレザーとジャケットの違いについても紹介します。ブレザーは着用シーンによって、守るべきマナーやNGな着こなし方もあります。手にいれる際は、失敗しないように選び方や注意点もぜひチェックしてください。
ブレザーとは?発祥や基礎知識を解説
まずは、ブレザーとは何なのか、特徴や起源・発祥、名前の由来を解説します。ブレザーの種類や日本でのブレザーの歴史についてもみていきましょう。
ブレザーの起源や発祥、名前の由来
ブレザーは英語では「blazer」と表記します。ブレザーの起源には諸説ありますが、シングルとダブルでそれぞれ違う説があり、なかでも代表的な説は以下のふたつです。
ひとつは、ボートクラブを起源とするシングルブレザーの説です。イギリスの大学のボートクラブ選手たちが、ユニフォームとして着ていた真紅のジャケットを投げました。それを見た観客が「ブレイズ(炎)」と声をあげたことから、ブレザーという名前が生まれたのが始まりとする説です。
もうひとつは、英国の海軍を起源とするダブルブレザーの説です。ヴィクトリア女王が英国軍艦を訪問する際に、艦長が見栄えをよくするため、部下たちに即席でジャケットに真鍮のボタンをつけます。それが軍艦の制服として採用され、軍艦名に由来する「ブレザー」の名前が付けられて普及したそうです。
それぞれ名前の由来は異なりますが、どちらも英国が起源です。その後、時を経てアメリカに渡り、定番アイテムになったといわれています。
シングルブレザー
シングルブレザーは、フロントボタンが縦一列に並んだシングルブレステッド(片前)が特徴です。スタイリッシュでスマートなデザインになっています。ビジネスはもちろん、祭典や式典など正装が求められるシーンで対応できるタイプです。
ダブルブレザー
ダブルブレザーは、フロントボタンが縦二列に並んだダブルブレステッド(両前)が特徴です。重厚感があり、クラシックな雰囲気が漂います。指揮官などの役割を担う方が着用するのにふさわしいタイプです。
日本でのブレザーの歴史や普及
日本でブレザーが定着したのは、1960年代にアメリカのトラッドスタイルである「アイビールック」が流行したのがきっかけです。日本での制服はそれまで詰襟とセーラー服が定番でした。しかしブレザーが登場すると、新たなキャンパス・ウェアやクラブ・ユニフォームの定番として普及しました。現在では主に中学・高校の制服に用いられています。
学生の制服として以外にも、スポーツ協議会の審判者の制服としても普及していることを知っている人もいるでしょう。プロ野球の開幕戦などでは着用が義務付けられています。
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ブレザーとジャケットの違い
スーツに馴染みのない方なら、ブレザーとジャケットの違いがよく分からない方もいるでしょう。ここでは、ジャケットの特徴やブレザーとジャケットに違いはあるのかを確認します。
ジャケットとは?特徴や種類
ジャケットは「上着」を指す言葉で、腰丈程度の上着の総称です。一般的には、コートより薄手で丈が短く、腰丈よりも短いブルゾンを含むこともあります。また、スーツ・背広の上着を単独で用いた場合も、呼び名はジャケットです。
このように、丈の長いコート以外をジャケットと呼ぶことが多くあります。ジャケットというとカチッとした印象の上着をイメージする方が多いですが、実はジャケットのなかに、カジュアルなブルゾンやブレザーなども含まれています。
ブレザーはジャケットの一種
ブレザーはカジュアルなテーラード型で、ジャケットの一種です。ジャケットのなかにはスーツの上着のようにフォーマルなタイプもありますが、ブレザーのようなカジュアルなタイプもあります。
フォーマルなタイプのジャケットは、上下同素材のセットアップとして使用するケースが大半です。しかし、ブレザーは単体でも使いやすく、普段着と合わせればキレイめにまとめられます。
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ブレザーの特徴
定番のブレザー「紺ブレ」は、濃紺の布地とメタル・ボタン(金属釦)の組み合わせです。元はウールのフラノの布地に、メタル・ボタンやエンブレムを装飾したものが基本でした。しかし、現在は基本の形にとらわれず、さまざまなバリエーションのブレザーが展開されています。
ここでは、ボタンやエンブレムなど、ブレザーの特徴的なポイントをチェックしましょう。
金やメタルなどのボタン
ブレザーの特徴的なところはボタンです。金やメタルなどのボタンが使用されています。ボタンには、学校の紋章や洋服メーカーのロゴが刻印されているのも、ブレザーならではです。
ボタンは前身頃だけでなく、袖部分にもついています。袖ボタンの個数はデザインによってさまざまで、3つ付いたタイプも珍しくありません。袖ボタンは前身頃と同じく金やメタル使用のタイプもありますが、足無しの一般的なボタンのタイプもあります。
ブレザーを購入する際は、前身頃だけでなく袖口にも注目して選びましょう。
紋章・刺繍エンブレムや胸ポケット
胸ポケットに紋章や刺繍エンブレムが施されているのも、ブレザーならではの特徴です。洋服として販売されているものはデザインとして紋章や刺繍エンブレムが付いていますが、学校の制服の場合は、所属を表す意味で付けられています。
ただし、ビジネスで着るブレザーには紋章や刺繍エンブレムは付いていません。オフィスカジュアルスタイルとしてブレザーを選ぶ場合は、紋章や刺繍エンブレムがないタイプを選ぶ方が良いでしょう。
生地や色、ステッチ、デザイン
ブレザーの定番生地は、秋冬に合わせやすいフランネルです。フランネル生地はウール素材のため、保温性に優れています。
ただし、ブレザーは春先の暖かい季節に着用することもあるでしょう。春にフランネル生地は季節感が合わず、暑過ぎるため、リネン・コットン・レーヨン・ポリエステル生地のものを選ぶのがおすすめです。
また、定番カラーは紺ブレの濃紺や黒が一般的ですが、ユニフォームに使う場合は、赤や白など派手なカラーをあえて使用する場合もあります。
襟にステッチやパイピングデザインなどが施されているのは、おしゃれ着としての要素もあるブレザーです。一般的なブレザーは襟ぐりはシンプルですが、デザイン性を求めたタイプもあります。
ブレザーのベントは、センターベントがセンターフックベントが一般的です。背中から裾部分に入っている切れ込みのことをベントといいます。センターベントは後ろ身頃のセンターに切り込みが入っている、最もオーソドックスなベントです。
一方フックベントは、同じく中央に切れ込みが入っていますが、切り込みの始まり部分がカギ状になっています。
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ブレザーの魅力や着るシーンを解説
ブレザーの魅力は、着回しのしやすさです。フォーマルなシーンだけでなく、プライベートでも使いやすいアイテムなので、1着でさまざまなコーディネートを楽しめます。ブレザーを使ったおすすめのスタイリングや、コーデのポイントをみていきましょう。
スタイリングの幅が広い
ブレザーはフォーマルスタイルだけでなく、さまざまなアイテムと合わせることで、スタイルの幅が広がります。
ブレザーを使用した基本のコーディネートは、シャツとスラックスを合わせたフォーマルスタイルです。しかし、ポロシャツとチノパンを合わせるとスポーツスタイル、Tシャツとデニムを合わせればカジュアルスタイルが完成します。
このように、プライベートからビジネスやフォーマルシーンでも使えるなど、ブレザーはマルチで活躍します。
色や生地選び方やコーデのコツ
ブレザーはカラー・機能・形を比較して、着用シーンに合ったタイプを選びましょう。オフィスカジュアルなど、ビジネスシーンで着用するならブルー系が良いでしょう。フォーマルよりにしたいなら、濃紺がおすすめです。
生地は、身体にフィットした形のストレッチ性の高いものだと、動きやすさとスタイルアップ効果の両方を求められます。
ノーネクタイでクラシカルな雰囲気のスタイルを求めるなら、定番のフランネル生地ではなく、ツヤ感のあるスーピマコットン素材のブレザーがぴったりです。
既製品で自分の身体にフィットするブレザーが見つからないなら、オーダーするのもおすすめです。
コーデのコツは、アメリカンスタイルを目指すなら、紺のブレザーにベイカーパンツ、水色など淡色のシャツを合わせるなど全体のバランスを整えることです。
ストライプ柄のシャツにシャーリングパンツなどを合わせるのも良いでしょう。
ビジネスやフォーマルシーンでは注意
ブレザーを使ったコーデは、シーンによってはくだけすぎた印象を与える場合もあります。素材やコーディネートが、TPOに合っているかをよく確認しましょう。
オフィスカジュアルやジャケパンスタイルで違和感のないミーティングでは良くても、スーツスタイルが当たり前のクライアントとの商談や、結婚式などのフォーマルなシーンでは、カジュアルすぎる場合があります。
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おしゃれで大人なアイテムの代表のひとつジャケット。黒やネイビーではなくブラウンにスポットを当てます。渋いブラウンもポイントを抑えれば若々しく着こなせます。コーデで悩んでいたり、購入を検討している方は必見です。
まとめ:ブレザーのオーダーもぜひ検討を
ブレザーはジャケットの一種です。スーツジャケットのようなセットアップのビジネスコーデだけでなく、チノパンやデニムと合わせたカジュアルスタイルなど、幅広く活躍します。好みのスタイルに合わせて、生地・カラー・形を選びましょう。
ブレザーは身体に合ったサイズでなければスマートに着こなせません。自分のサイズやスタイルに合ったブレザーを手に入れたいなら、ぜひオーダースーツを検討してくださいね。