スーツに合うポケットチーフの選び方を紹介!折り方・入れ方も解説のアイキャッチ画像
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スーツに合うポケットチーフの選び方を紹介!折り方・入れ方も解説

スーツのポケットには何も入れないのが基本的なマナーですが、胸ポケットの「ポケットチーフ」だけは例外。ワンポイントで華やかさを演出できるため、シーンに応じて積極的に取り入れたいアイテムです。ではどのようなポケットチーフを選べば良いのでしょうか。扱いに慣れていない20~30代の方が自信を持って取り入れられるよう、色、柄、素材の選び方から折り方、入れ方まで基本的なポケットチーフの扱い方を紹介します。

ポケットチーフとは?基礎知識を解説

ポケットチーフは手軽に普段のスーツスタイルをワンランクアップさせられる便利なアイテムです。

なんとなく敬遠している方もいるでしょうが、幅広いシーンで簡単にドレスアップできるため、使いこなせるようになると重宝します。まずはポケットチーフの基礎知識から解説します。

ポケットチーフとは?胸元を華やかに演出するアイテム

ポケットチーフは、スーツの胸ポケットに挿すハンカチのようなアイテムです。

ポケットチーフを挿すことで、胸元にボリュームが出て立体感が生まれ、ワンポイントのアクセントになるなど、おしゃれで華やかな印象になります。

元々は実用的な目的がありましたが、現在ではポケットチーフを挿す目的はおしゃれのみ。女性と違い、装飾品で飾ることが難しい男性に許された数少ないおしゃれの選択肢です。

ポケットチーフの歴史

ポケットチーフの起源は諸説ありますが、そのはじまりは1920年代にスーツの胸ポケットが一般的になったこと。それ以前のスーツには胸ポケットがありませんでしたが、ハンカチを取り出しやすい実用的なポケットとして胸ポケットがつけられるようになりました。

当時は現在よりもはるかにハンカチが実用的なアイテムで、手や顔を拭いたり汗を拭いたりするだけでなく、鼻をかむのもハンカチが使われていました。

多用するハンカチを取り出しやすく、周りを汚さず出し入れしやすいポケットを改良していった結果、胸ポケットが実装されます。その後、ハンカチの用途が実用から装飾用へと変化し、装飾専用のポケットチーフが登場します。

ポケットチーフの起源説

  • 15世紀にフランスの船乗りが中国から持ち帰った麻布を肩飾り(エポレット)や左袖上に挿したことに由来する説
  • 20世紀初頭の社交界で女性が装飾目的で使うハンカチを男性が真似た説

ポケットチーフの正式な素材は絹や麻とされていますが、現在ではそこまで問われていません。ちなみにポケットチーフは和製英語です。アメリカやイギリスではポケットスクエア(Pocket Square)と呼ぶのが一般的など、国によって呼び方が異なります。

アクセント:ポケットチーフが与える効果と入れる理由

Suited businessman posing in front of camera with crossed hands.

女性に比べて身につけられる装飾品が少ない男性にとって、ポケットチーフは数少ないおしゃれアイテムです。ポケットチーフを挿すことで、単調になりやすいスーツスタイルをファッショナブルに変化させられるのほか、以下のような効果があります。

  • 華やかでおしゃれに見える
  • 胸元がボリュームアップして立体感が生まれる
  • 全体にまとまりを与える
  • アクセントを与える
  • 紳士的な雰囲気を演出できる
  • スタイルがよく見える

ネクタイやシャツの色と合わせて統一感を出すもよし、あえて色を外してアクセントをつけるのもよし。

結婚式や入学式などのセレモニーからビジネスシーンまで、シーンに合わせて華やかさや格式高さを演出できるのがポケットチーフを入れる理由です。

装飾用とはいえ、ハンカチである以上は手を拭いたり汗を拭いたりでき実用性も兼ね備えている点もポケットチーフを入れる理由になるでしょう。胸ポケットからちらっと見えるだけなのに用途が広いのも魅力です。

ただし、ポケットチーフを入れないほうが良い場合もあるため注意が必要です。

たとえば世界基準では葬式でポケットチーフを挿しても問題ありませんが、日本では非常識にとらえられる可能性が高いため避けたほうが賢明です。カジュアルさや華やかさが目立つとネガティブにとらえられる場面では、ポケットチーフを入れないほうが良いでしょう。

ハンカチで代用可能?

ポケットチーフの歴史で紹介したとおり、本来はポケットチーフとハンカチは同じもの。現代でもハンカチをポケットチーフとして使っても問題はありませんが、素材や基本的なサイズが異なる点に注意が必要です。

シルクや麻を使うポケットチーフに対して、ハンカチはコットンなど吸水性が良い素材で作られます。ハンカチのほうが大きく生地に厚みがあるため、ごわついた仕上がりになってしまうことも。縁の仕立て(パイピング)の違いもあるため、あくまで装飾目的なら専用のポケットチーフを使ったほうが良いでしょう。

ポケットチーフの起源をたどると「使ったハンカチも胸ポケットなら乾きやすい」という理由もあったようですが、現代では使用済みハンカチを挿すのは止めたほうが賢明です。

ポケットチーフの選び方|サイズやお手入れ方法も解説

Groom jacket pocket handkerchief.

ポケットチーフは1辺30~45cmの正方形が定番サイズ。

ネクタイと同じように色、柄、素材が豊富で、どれを選べば良いのか迷ってしまうことも少なくありません。まずは基本的な選び方を知っておきましょう。

色の選び方

ポケットチーフの色選びは、ネクタイやシャツと同じ色を選ぶのが基本です。色を統一すると一体感が生まれ、全体バランスがよく仕上がります。

結婚式などでは白やシルバーのネクタイが定番なので、ポケットチーフも白やシルバーを合わせれば間違いありません。格式高い場にふさわしい、華やかな印象を与えられるでしょう。フォーマルな装いには白のポケットチーフを合わせるのが暗黙の了解になるほど王道の組み合わせです。

ブルー系は爽やかさ、ピンクは優美さやエレガントさ、パープルは洗練された紳士さなど色によって与える印象が違うのもポイントです。落ち着いた雰囲気があるグレー系は主張が強くないので、はじめてポケットチーフを挿すときに使うのも良いでしょう。

シャツやジャケットの色に合わせる場合は、柄の色を拾うのがおすすめ。まったく同じ色ではなく、濃淡に違いをつけるのもおしゃれです。

柄の選び方

ポケットチーフの柄は種類が豊富です。

カジュアルでもフォーマルでも使い所を選ばない無地が定番ながら、主張する柄を使いこなせるとファッションの幅が格段に広がります。大きい柄はカジュアル感が強く、小さい柄はフォーマル感が強いなどの基本を踏まえつつ、さまざまな組み合わせに挑戦してみましょう。

基本の選び方は、色と同じようにネクタイに合わせます。

フォーマルな場所では無地が基本なため、まずは白無地からはじめるのがおすすめです。ネクタイやスーツの色に関係なく合わせられます。

・無地

どんな組み合わせにも合う王道スタイル。特にフォーマルな場には白無地のポケットチーフが暗黙の了解になっているので、1枚は持っておきたいところです。

・ストライプ

ストライプ柄は、スタイリッシュな印象を与えます。ネクタイもストライプ柄で組み合わせると、統一感のあるおしゃれなスタイルに仕上がるでしょう。見慣れた柄なので使いやすく、はじめて柄物のポケットチーフを取り入れる方にもおすすめです。見える部分が少なくても存在感を出せます。

・チェック

カジュアルな印象を狙いやすいチェック柄。目の大きさやチェックの種類で印象ががらっと変わります。小さいチェックは上品な印象、大きいチェックはカジュアルな印象になりやすいです。無地のスーツに組み合わせるとクラシカルな印象になります。

・ドット

ネクタイの定番ドット柄のポケットチーフは、上品な印象でビジネスからパーティーシーンまで幅広く使える便利な柄です。遊び心のあるドットデザインを選ぶと、上品さだけでなくかわいらしさも出てアクセントになります。

・ペイズリー

柄もののなかでもエレガントな印象が強いペイズリー柄。スーツのデザインとしてはあまりない柄なので、ポケットチーフで雰囲気を変えたい方におすすめです。派手さがありつつも自然なワンランク上のスタイルを狙えます。

素材の選び方

ポケットチーフの素材は主にシルク、麻、綿です。同じ色や柄でも素材によって印象が大きく変わるため、素材の特徴を覚えておきましょう。

またポケットチーフは、時間帯に合わせた素材を選ぶ必要があります。結婚式などのフォーマルな場面ではシルクやリネンがおすすめですが、明るい時間帯ならリネン、夕方から夜にかけてはシルクを選ぶのがマナー。ただし季節によって明るい時間帯が違うため、明確な時間の区切りはありません。18時を目安に使い分けると良いでしょう。

・シルク(絹)

シルク素材のポケットチーフは、エレガントな印象を与えます。サラサラした手触りと光沢感が特徴の素材です。華やかでゴージャスな雰囲気を演出できるので、パーティーや結婚式などで活躍します。シルク素材の白いポケットチーフは、タキシードやディレクターズスーツにも合わせやすくおすすめです。

水や摩擦に弱いシルクは、基本的に自宅での洗濯には向きません。部分洗いでもシミになる可能性が高いので、クリーニングに出すのがおすすめです。高級なポケットチーフならなおのこと。使い終わったら広げて風通しの良い場所に陰干しし、乾燥させてからしまいましょう。アイロンを当てる場合は必ずあて布をし、低温短時間でさっと仕上げます。

・リネン(麻)

リネン素材のポケットチーフは形状が崩れにくいのが特徴です。適度な光沢が爽やかな印象を与え、マットな色味で誠実な印象も演出できるため、ビジネスシーンから結婚式まで幅広く使えます。結婚式では、新郎や主賓はリネンの白いポケットチーフを挿すのが定番です。また、ほかの素材と比べて柄がしっかりと見えるため、柄を主張したい場合にもおすすめです。

リネンは繊維がねじれに弱いため、手洗いが理想的。蛍光剤が入っていない中性洗剤をぬるま湯に入れて優しく洗うと劣化を抑えられます。強く絞らずに軽く水気を飛ばしたら、濡れた状態でしっかりとシワを伸ばして陰干ししてください。リネンはシワができにくいのできれいに干すだけでも十分ですが、アイロンをかける場合は生乾きの状態でかけ、アイロンの熱で乾ききるイメージで、さっと短時間で仕上げましょう。

・コットン(綿)

コットン素材のポケットチーフは、柔らかな風合いが特徴的です。通気性がよく吸湿性にも優れているため、春夏のパーティーシーンに適しています。カジュアルな印象が強いため、あまり派手な印象を与えたくない場面で重宝するでしょう。コットン素材のハンカチを使うと、さらにカジュアルさが強まります。

コットンは洗濯機でも洗えますが、優しく手洗いするのがおすすめです。石けんや弱アルカリ性の洗剤で優しく洗いましょう。洗濯機を使う場合はネットに入れ、手洗いコースを選びます。コットンは熱に強いのでアイロンも可です。

・ウール(羊毛)

ウール素材のポケットチーフは、秋冬におすすめです。ウールの柔らかな質感と暖色系の色が合わさると、落ち着いた大人の雰囲気を演出できます。

縮みや型崩れしやすいウールは、クリーニングに出すのがおすすめです。自宅で洗う場合は必ず洗濯表示を確認しましょう。変色を避けるために陰干しまたは室内干しで乾かします。アイロンをかける場合は必ずスチームを使い、吊るした状態でスチームを当てます。

1枚最初に選ぶなら白のリネン

色、柄、素材の選択肢が豊富なポケットチーフですが、はじめてで1枚選ぶならリネンの白いポケットチーフがおすすめです。落ち着いた風合いで使えるシーンが広く、結婚式からビジネスシーンまでカバーできます。

白無地のポケットチーフは、どんな色柄のスーツにも合わせやすく年齢にも左右されません。まずは1枚用意してみて、慣れてきたら色や柄を足していくのが良いでしょう。

ポケットチーフの色の合わせ方

A man wearing a stylish pocket square

ポケットチーフは、色や柄の組み合わせでさまざまな印象を与えられます。

同じ色、柄でも組み合わせ次第で印象がガラッと変わるので、いろいろな組み合わせを試してみましょう。時計のベルトや靴のカラーに合わせる上級テクニックが決まると存在感抜群です。代表的な色の組み合わせをいくつか紹介します。

シャツの色 × チーフの同色系

シャツの色とポケットチーフの色を同色系で揃えるオーソドックスな組み合わせ。

主張が強い色や柄でも違和感が出にくく、ちょうど良いアクセントになって全体の雰囲気がおしゃれに仕上がります。

ネクタイの色 × チーフの同色系

スーツスタイルの着こなしで特に印象強いのがVゾーン。すぐ横にあるポケットチーフも色味が揃っていると、全体が一気にまとまって見えます。

ネクタイの色そのままのポケットチーフを選ぶのではなく、色の濃淡を変えたり、季節に合わせたカラートーンを意識したりするとセンスよく仕上がるでしょう。

ネクタイorシャツの色柄 × チーフの色柄

ビジネスシーンであれば、定番のネクタイの柄である無地、ストライプ、ドットに合わせたポケットチーフを選ぶのがおすすめです。

ネクタイ同様にポケットチーフにも豊富な色柄がありますが、バラバラの柄をおしゃれに仕上げるのは難易度高め。柄のネクタイに柄のポケットチーフを取り入れたいときは、同系統の柄を合わせると統一感が出ます。

【上級者向け】違う色の組み合わせを使用

慣れてきたらポケットチーフをメインにコーディネートを考える上級者向けの組み合わせにも挑戦してみましょう。

普段は補足的な役割のポケットチーフを軸にコーディネートすると、個性的で遊び心のあるスタイルに仕上がります。

カジュアルな色柄をベースに選ぶもよし、ポケットチーフの主張が前面に出るアクセント色を選ぶのもよし。無限にある組み合わせから自分だけのスタイルを見つけましょう。

ポケットチーフの折り方・入れ方6種類を解説

Man with handkerchief in breast pocket of his suit on light background, closeup

さまざまな表現が可能なポケットチーフですが、同じ素材、色、柄でも折り方一つでまったく違う雰囲気になります。

ビジネスから冠婚葬祭まで、さまざまなシーンにぴったり合う折り方でポケットチーフを取り入れましょう。代表的な6種類のポケットチーフのたたみ方、挿し方を紹介します。

スクエア(TVホールド)

スクエア(TVホールド)

スクエア(square)は最も基本的で汎用性が高いポケットチーフの折り方です。TVホールド(TV hold)はアメリカのTVキャスターが好んでいたことが名前の由来だそう。

しっかりと角が立った見た目から端正な印象があり、誠実で紳士的なイメージを演出できます。胸ポケットから見える控えめな見た目が、さりげなくおしゃれ。

その名の由来となったビジネスシーンはもちろん、結婚式などのフォーマルなシーンからパーティーシーンまで場所を選ばない汎用性の高さが魅力です。

ポケットチーフの折り方に迷ったら、スクエアを選べば間違いありません。「スクエアホールド」「スクエアエンデッドホールド」とも呼ばれます。

<折り方>

  1. 広げたポケットチーフを縦半分に折る
  2. 横半分に折る
  3. ポケットのサイズに合わせて三つ折り
  4. 胸ポケットから1~2cm程度飛び出る長さに合わせ、ポケットチーフの下側を折り上げる
  5. ポケットに挿し込み形を整える

トライアングル(トライアングラー)

トライアングル(トライアングラー)

ポケットから飛び出した部分が三角形に見える折り方がトライアングル(Triangle)です。

スクエア同様、ビジネス、フォーマル、パーティーやカジュアルまで状況を選ばず幅広く使えます。派手さを抑えつつ、エレガントな雰囲気を出したいときにピッタリです。

上手に折るポイントは、ポケットから飛び出す三角を左右対称に折ること。バランスが悪いと不格好に見えるので注意しましょう。

<折り方>

  1. 広げたポケットチーフを縦半分に折る
  2. 横半分に折る
  3. ポケットの幅に合わせて対角線上の2点を折る
  4. ポケットの深さに合わせて下側を織り上げる
  5. ポケットに挿し込み形を整える

ツーピークス

Man with handkerchief in breast pocket of his suit on light background, closeup ツーピークス

2本の角がポケットから飛び出す折り方がツーピークス(Two peaks)です。

次に紹介するスリーピークスよりカジュアルな印象ですが、バランスを取りやすい折り方です。無造作な感じがおしゃれに見えるので、多少ずれていても問題ありません。フォーマルなシーンにも似合います。

<折り方>

  1. 広げたポケットチーフを対角線で二つ折りにして三角形を作る
  2. さらに半分に折って4分の1の三角形を作る
  3. さらに半分に折って8分の1の三角形を作る
  4. 角部分を少しずらして形を整える
  5. ポケットから角が2~4cm出るようポケットの深さに合わせて下側を折り上げる
  6. ポケットの幅に合わせて横幅を決める
  7. ポケットに挿し込み形を整える 

スリーピークス

スリーピークス

スリーピークス(Three peaks)は3本の角がポケットから飛び出す折り方です。ツーピークスよりフォーマルな折り方で、親族の立場で参加する結婚式や主賓におすすめの格式高いスタイルです。

無造作な感じがおしゃれなツーピークスとは逆に、3本の角がきれいに揃えます。難易度が高い折り方ですが、テーブルナプキンのような見た目で威厳や貫禄のある印象を与えられる折り方です。

<折り方>

  1. 広げたポケットチーフを対角線で二つ折りにして三角形を作る
  2. さらに半分に折って4分の1の三角形を作る
  3. 角部分を少しずらして形を整える
  4. 残った頂点で3つ目の角を作る
  5. 揃えて折る
  6. ポケットの深さに合わせて下側を折り上げる
  7. ポケットに挿し込み形を整える

クラッシュド(クラッシュ)

クラッシュド(クラッシュ)

クラッシュド(Crushed)は無造作な見た目がカジュアルやパーティーシーンにマッチする折り方です。胸ポケットからふんわり飛び出したシルエットが、柔らかで華やかな雰囲気を演出します。

無造作な形なので折るのは難しくありませんが、バランスよく整えるのにコツが必要です。無造作過ぎて逆に汚く見えないよう注意しましょう。ジャケットをハンガーにかけた状態でバランスを見ながら調整するのがおすすめです。無地または縁取りのみのシンプルなポケットチーフが似合います。

<折り方>

  1. 広げたポケットチーフの中央をつまんで持ち上げる
  2. 上下逆さまにする
  3. ポケットの深さに合わせて下側(つまんだ中央部分)を折り返す
  4. ポケットに挿し込む
  5. 四角を花びらのように開いて形を整える

パッフド(パフ)

パッフド(パフ)

パッフド(Puffed)は胸ポケットからふわっと飛び出す見た目が柔らかな印象を与える折り方。

スリーピークスよりカジュアル寄り、クラッシュドよりはフォーマル寄りでカジュアルなシーンやパーティシーンに向いています。レストランウエディングや結婚式の二次会などでアクセントを付けたいときに良いでしょう。

エレガントな雰囲気が漂う光沢感の強いシルク素材のポケットチーフがおすすめです。冬場のパーティーシーンではウール素材を使うのも雰囲気ぴったりです。胸ポケットに入れる際にできたシワを隠すか、あえて見せるかで印象が変わります。

<折り方>

  1. 広げたポケットチーフの中央をつまんで持ち上げる
  2. もう片方の手で持ち上げたポケットチーフの下半分を絞って形を整える
  3. 下ポケットの深さに合わせて下部分を折り返す
  4. ポケットに差し込む
  5. ふんわりと膨らんだ状態で見えるよう形を整える

【シーン別】ポケットチーフの折り方とコーディネート

【シーン別】ポケットチーフの折り方とコーディネート

結婚式、パーティ、入学式や成人式などのセレモニーで使うイメージがあるポケットチーフですが、フォーマルなシーンやビジネスシーンでも使える万能アイテムです。

ポケットにこだわりを取り入れることによって全体の印象を変えられます。

結婚式の二次会やパーティー

結婚式の二次会やパーティーでは、カジュアル寄りのパッフドやクラッシュドがおすすめです。パッフドは親しみやすい雰囲気を演出でき、クラッシュドはさらにカジュアルな雰囲気になります。

ビジネスシーン

ビジネスシーンでポケットチーフを取り入れる場合は、TVホールドやスリーピークスがおすすめです。TVホールドは落ち着いた雰囲気、スリーピークスはよりフォーマルな雰囲気にマッチします。

ビジネスシーンの場合は、ネクタイに合わせて同系色のポケットチーフを選ぶとおしゃれです。

カジュアルシーン

カジュアルな場面にマッチするポケットチーフの折り方は、スリーピークスやパッフドです。スリーピークスはフォーマル向きの折り方ですが、カジュアルなコーディネートに取り入れてもおしゃれに決まります。

堅くなりすぎないよう、チェック柄を取り入れてカジュアルな雰囲気を強調すると良いでしょう。

入学式や卒業式

お子さんの入学式や卒業式でも、ポケットチーフを挿すと華やかな雰囲気が出ます。

幅広いシーンで使えるスクエアはもちろん、フォーマルなシーンに向くツーピークス、スリーピークス、トライアングルなどの折り方がおすすめです。主役であるお子さんの邪魔にならないよう、白無地など控えめな色や柄を選ぶと良いでしょう。

どの折り方がおすすめ?おしゃれなのは?

代表的な6種類の折り方のなかでも、特にオールラウンドでシーンを選ばないスクエアは必ず覚えておきたいところ。折り方も簡単なので、はじめてポケットチーフを使う方でもすぐに覚えられるでしょう。

ビジネスシーンでもカジュアルシーンでも、商談の場から結婚式までスクエア一つで十分に対応できます。慣れてきたらスリーピークスやパッフドを覚え、シーンに応じて使い分けられるようになるのが理想的ですが、必ずしも覚える必要はありません。

ポケットに挿すだけで使える台紙付きのポケットチーフを活用すれば、難しい折り方を覚えることなく完璧な状態が手に入ります。

胸ポケットの歴史

ここで改めて、胸ポケットの歴史を紹介します。はじめてジャケットに胸ポケットが実装されたのは、19世紀半ばのチェスターフィールドコートだとされます。それ以前に胸ポケットは存在しておらず、その歴史は100年ほどとそれほど古くありません。

またその時点でポケットチーフの文化は存在しておらず、チェスータフィールドコートの胸ポケットに入れるのは、もっぱら革製のグローブでした。

1920年代に入るとパーティーや食事会で装飾を目的にハンカチを使用する女性が増加。それを見た男性が「自分たちもハンカチを使用したおしゃれを楽しみたい」と真似しはじめたのがポケットチーフの起源とされます。その後も執務服や作業着などさまざまな要素を取り入れ、スーツは現在の形へと進化してきました。

遠く離れた日本でも江戸時代に町人が帯に手ぬぐいを挟んでおしゃれを楽しんでいたとされ、同様の文化があったようです。

スーツの胸ポケットの役割

Black and white pinstripe suit detail up close

スーツにはポケットチーフを挿す胸ポケット以外にも数多くのポケットがあります。

胸ポケットにボールペンを挿したりスマートフォンを入れたりしている方も多いでしょう。財布やハンカチ程度の小物ならポケットに入れて持ち運びたくなるところですが、実は現在あるスーツのポケットは単なる飾り。小物を入れる実用的なものではなく、慣習的に残った装飾でしかありません。

ついついボールペンなどを挿してしまう胸ポケットは、ポケットチーフを挿すためだけに用意されたもの。ほかのポケットには明確な使途がないため、基本的には何も入れないのが正式な使い方です。

胸ポケットにポケットチーフ以外のものを入れたり、使うことを想定していないポケットを使ったりすると、生地が伸びてスーツの形がくずれる原因になります。生地が伸びるときれいなシルエットが出なくなるだけでなく、一度伸びたスーツの生地は修復が難しく簡単には直せません。

スーツの劣化を早める要因となるため、基本的にはジャケットであれパンツであれ、ポケットにあまりものを入れないようにしましょう。どうしても小物を入れたい場合は内ポケットを使います。

胸ポケットの種類

Breast pocket of a man wearing a suit

スーツの胸ポケットにはいくつかの種類があり、見た目が変わります。オーダースーツを仕立てるときに役立つので、それぞれの特徴を覚えておきましょう。

ウェルトポケット

ウェルトポケットはポケットの口に縁飾りを施している「切りポケット」の一種。

ポケットの縁部分が箱型なので、箱ポケットとも呼ばれます。礼服などに使われることも多く、最もオーソドックスなポケットの形です。

パッチポケット

パッチポケットはポケットが貼り付け式になっているもの。

本来ワークウェアで見られるデザインで、カジュアルなスーツによく採用されます。

バルカポケット

バルカポケットはポケットの底が船底のような曲線を描いているデザイン。

イタリアのジャケットによく見られるタイプで、向かって右上がりのデザインが特徴的です。胸の部分が体型に沿って丸みを持つので、立体的なシルエットになります。

ポケットチーフを積極的に楽しもう

ポケットチーフを取り入れることで見た目を華やかにドレスアップしたり、誠実な印象を訴求したりできる便利なアイテムです。シーンに合わせてポケットチーフを選び、思い描くイメージを訴求したりおしゃれを楽しんだりしましょう。

日本ではポケットチーフを使う方はまだまだ少なく、使われるシーンも結婚式などの特別な場面が大半。日常的なビジネスシーンにポケットチーフを取り入れるチャンスです。ポケットチーフを取り入れるといつものスーツも印象が変わって着るのが楽しくなりますよ。

(構成/志田実恵)