コーデュロイのスーツをどのように着る?コーデュロイの基本からコーディネートまでご紹介のアイキャッチ画像
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コーデュロイのスーツをどのように着る?コーデュロイの基本からコーディネートまでご紹介

スーツに使われる生地にはウールやカシミヤ、それにツイードやフランネルなどさまざまなものがあります。その中でも個性的なのがコーデュロイなのです。コーデュロイの生地は高い部分(畝)と低い部分に別れており、畝が縦にラインを描いています。子ども用のパンツ(ズボン)にも使われる生地ですが、ビジネスシーンでコーデュロイのスーツを見たことがある人は、それほど多くないのでしょうか?コーデュロイはウールやカシミヤなど一般的なスーツ生地より厚みがあり、ツイードやフランネルと同様にカジュアルな部類に入ります。そのため、一般的なビジネスの場でコーデュロイスーツを着る人が少ないのです。しかし、コーデュロイには独特のやさしい風合いや光沢があります。コーデュロイの魅力に気付いたあなたは、もしかするとコーデュロイスーツが欲しくなるかもしれません。そのようなときは、この記事を参考にしてみてください。コーデュロイの魅力や特徴から、コーデュロイスーツを着られるシーン、そして合わせる小物やお手入れ方法を紹介しています。最後にはコーディネートも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。記事を読む前はコーデュロイという名前さえ知らなかったあなたは、記事を読んだあとにはコーデュロイスーツについて少し詳しくなり、ブランド選びなどスーツのチョイスに困らなくなっているでしょう。

なぜコーデュロイは魅力的なのか

スーツの生地の中でも独特の風合いを持つコーデュロイ。その魅力は何なのでしょうか?

何と言っても独特の生地感が一番の魅力でしょう。とてもカジュアルで、一見するとスーツの生地とは思えない厚みがあり、それでもスーツにしてしまう。その意外な組み合わせがコーデュロイのスーツの魅力ではないでしょうか。知的なムードを漂わせながら、独特の光沢がある。着る人をやや選ぶ傾向にあるのも、コーデュロイの魅力かもしれません。

コーデュロイの特徴

コーデュロイという言葉はフランス語のCorde(畝)、du(の)、Roi(ルイ王朝)という3つの単語で作られた言葉です。18世紀の初頭、ルイ14世がコーデュロイの質感を気に入って、宮廷の庭師に着用させたとのこと。それがいつしかイギリスに伝わり、野外で行われるパーティーなどで上流階級の人がこぞって着たことから広まったと言われてます。

コーデュロイはその名の通り、高い部分(畝)と低い部分のある特徴的な生地。高い部分は毛が盛り上がってできたものなのです。コーデュロイの生地でできた服を着用すると、生地と地肌の間に空気の層ができるため暖かく感じます。この空気の層がコーデュロイの保温性の高さの秘密なのです。

コーデュロイにもいくつか種類があり、畝が細いタイプを細コール、畝が太いタイプを太コールと読んでいます。畝が細いタイプは通常のウール素材のスーツ生地のようにドレスライク、反対に畝の太いタイプはカジュアルライクと、同じコーデュロイの中でも風合いが異なります。

コーデュロイはセットアップで着られるのはもちろん、ジャケットのみスラックスのみと単品でも着られるのが特徴。スリーピーススーツやオッドベストもあるため、着用のパターンは通常のスーツ生地と同じだけあります。

色味はダークネイビーやブラウンの他、グリーン(カーキ)、ボルドー(赤)など通常のスーツではなかなか見ない色もあります。しかし、コーデュロイという生地のキャラクターにかかれば、一見派手な色でも不思議と「さま」になってしまうのです。

サイズ感が命なのは他のスーツと同様。特にサイズが大きい場合は、ただでさえ厚い生地がさらに厚く見えて野暮ったく見えてしまうでしょう。反対に小さい場合はウエスト周りや前身頃のボタン周りに不自然なシワができてしまいます。コーデュロイのスーツを着る場合は、体にあったサイズのものを選び(作り)ましょう。

コーデュロイスーツが活躍するシーン

コーデュロイスーツは生地そのものにカジュアル感があるため、ガチガチのビジネスシーンやフォーマルシーンには向きません。ビジネスで着られるのは、ビジネスの中ではカジュアル寄りのオフィスカジュアルの場合のみ、と考えておいた方がよいでしょう。

また、コーデュロイの中でもフォーマル寄りのタイプやカジュアル寄りのタイプがあります。たとえば、細コールのダーク系(ネイビーやグレー)であれば、フォーマル寄りですのでそれほど違和感はないかもしれません。しかし、太コールのブラウンやボルドーだとコーデュロイの中でもカジュアル寄りのため、周囲の人の服装によっては浮いてしまうかもしれません。

コーデュロイがカジュアル寄りであるがゆえにメリットもあります。それはボタンダウンのシャツが似合うことです。ボタンダウンのシャツをフォーマルだと思っている人もいるかもしれませんが、実はカジュアル寄りのアイテム。そのため、通常のスーツとボタンダウンのシャツを合わせると、ミスマッチとなってしまいます。しかし、コーデュロイならそもそもカジュアル寄りのため、ボタンダウンのシャツを自然に着られるのです。他にも、色のついたシャツが似合うなど、カジュアル寄りの生地だからこそのメリットもあります。

生地の印象が強いコーデュロイスーツに合わせる小物

コーデュロイスーツは生地が特徴的なため、合わせる小物も似合うものを選ぶ必要があります。

ネクタイ

コーデュロイスーツにはウール素材、あるいはシルク素材のニットタイがおすすめです。通常のネクタイより厚みやふくらみ感があるため、ボリュームのあるコーデュロイスーツに負けない存在感があります。ニットタイにもさまざまな種類がありますが、素材感を楽しみたいなら無地でシンプルに、華やかな雰囲気を楽しみたいならペイズリー柄など目立つ柄を合わせてもよいでしょう。また、レジメンタルタイもおすすめです。

靴のチョイスも大切です。細コールのコーデュロイスーツなら通常の革靴(ストレートチップやプレーントゥ)が似合うかもしれませんが、太コールならカジュアルな印象があるためスエード調の革靴を合わせてもマッチするでしょう。他には同じ革靴でもドレスライクなウイングチップや、ツートーンのサドルシューズもおすすめです。

コーデュロイのお手入れ方法

コーデュロイはどのようにお手入れすればよいのでしょうか。シーン別に五つにまとめました。

ホコリ取り

コーデュロイは畝と地の部分に差があるため、ホコリが溜まりやすい素材の一つです。ホコリを取るときに粘着系のテープを使えば楽だと思うかもしれませんが、粘着系のテープを使うと毛が崩れたり、畝が変形してしまったりする可能性があります。では、どのようにホコリを取ればよいのか?ここでブラシが必要になるのです。

ブラシで寝てしまった毛を起こすように下から上へブラッシングしてあげれば、ホコリが取れるだけでなく毛並みのお手入れも同時にできます。

洗濯

コーデュロイスーツを自宅で洗濯したくなるときもあるでしょう。そのような時は、必ず洗濯表示を確認するようにしましょう。洗濯できる素材だとしても、裏返してネットに入れて洗うのが無難です。そもそも自宅で洗濯できない素材だったり、自宅で洗濯するのが不安だったりする人はクリーニング屋に任せてしまいましょう。

脱水

洗濯が終わって脱水するときには生地を再度裏返しにして元の状態に戻しましょう。その方が水切れがよくなります。そして、干すときはまた裏返しにしましょう。型崩れしないように気をつけながら、風通しの良い日陰で干すのがおすすめです。

アイロンがけ

コーデュロイは基本的にアイロンがけが不要な生地です。どうしてもアイロンをかけたい場合は、畝をつぶさないようにアイロンを生地から少し浮かせてかけると良いでしょう。あくまでもやさしくアイロンがけする程度にしましょう。

保管

コーデュロイに限りませんが、スーツを保管するときは専用のハンガーにかけるのが鉄則。ジャケットは肩の部分が型崩れしないように気をつけ、スラックスはきちんとスラックス専用のハンガーにかけるとよいでしょう。ブラッシングして毛の立ち具合を保つのが、長く着用し続けられる秘訣。大切なスーツなので、長く着られるようにしっかりとお手入れしましょう。

おしゃれに決まるおすすめコーデ3選

普段あまりコーデュロイスーツを着る機会がなければ、コーディネートを考えるのは難しいでしょう。そんなあなたのために、コーデュロイスーツを取り入れたおすすめコーディネートを3つ紹介いたします。

グリーンのダブルジャケット×ダークネイビーのスラックス

トップスに選んだのはグリーン(カーキ)のジャケット。六つボタンのダブルブレストのため、安定感は抜群です。畝が太い太コールのため、自信や威厳があるにもかかわらずその中に隠れた優しさも垣間見えます。

ボトムスに選んだのはダークネイビーのスラックス。あえてセットアップにしないことで上下のコントラストを表現し、ジャケットの印象を際立たせています。

シャツはホワイト系でもよいですが、今回選んだのは淡いピンク(パステルカラー)のシャツ。思い切ってそこにペイズリー柄のネクタイを合わせることで、上半身の独特の雰囲気を表現しています。着る人をやや選ぶかもしれませんが、見事にマッチすれば独特の存在感を周囲に示せるでしょう。靴は全身のイメージに合わせてスエードで。コーデュロイ×スエードの組み合わせにはおおらかさを感じます。

ダークネイビーのセットアップコーデ

次に紹介するのはセットアップコーデです。トップスは畝が細い細コールのダークネイビーのジャケット、そしてボトムスも同じく細コールのダークネイビーです。コーデュロイといっても畝が細いため全体的にドレスライク。スタイリッシュで引き締まって見えるため、スーツそのものの印象は通常のスーツスタイルとそれほど変わらないかもしれません。

ジャケットの下にブラックのタートルネックを着て、防寒性とおしゃれさを両立。タートルネックにあまりボリュームがあるとジャケットの襟とけんかするため、控えめなタイプを選ぶとよいでしょう。

全身ダーク系の色のため、胸にはワンポイントなるポケットチーフを。淡いパープル(パステルカラー)を選べば、全身とのコントラストでひときわキレイに見えるでしょう。

靴も全身のイメージに合わせてブラックの革靴で。あまり派手すぎなければウイングチップで少し冒険してみるのもよいかもしれません。

季節感のあるブラウン×オレンジコーデ

コーデュロイスーツの中でも着こなしが難しいブラウンのセットアップスーツを、オレンジのニットと合わせてみました。実はブラウンのコーデュロイスーツは季節感を出すのにぴったり。インナーに明るいオレンジを着れば、生地感・色味ともに同じような世界観になって統一感が出るでしょう。また、インナーの方が明るい色のため(オレンジ>ブラウン)、上半身のニットをセットアップスーツが上手に引き締めてくれる効果もあります。

ニットの下に着ているシャツは正直ほとんど隠れて見えません。しかし、首元からわずかに見える襟がおしゃれ感を出すでしょう。淡い色みのあるボーダーのシャツを着てみても良いかもしれません。

この記事ではコーデュロイスーツの魅力や特徴、コーデュロイスーツを着られるシーンや合わせる小物を紹介しました。ほかにはお手入れの方法やコーデュロイスーツを取り入れたコーディネートも紹介しました。コーデュロイは18世紀初頭のフランス発祥の生地で、その後イギリスで広まったのがはじまりです。コーデュロイは綿をパイル織りした素材であり、高く盛り上がっている畝が縦にラインを描いているのが特徴です。畝が細いものは細コールと呼ばれ通常のスーツと同様にドレスライクであるのに対して、畝が太い太コールはカジュアルライクとなっています。生地そのものが厚いことに加えて、着用すると空気の層ができて実際に温かいという特徴があります。コーデュロイスーツはカジュアルなため、通常のビジネスシーンではやや着づらい傾向も。オフィスカジュアルなど、カジュアル寄りのドレスコードでもOKな会社であれば問題なく着られるでしょう。他にはパーティーや結婚式の二次会で着るのも良いかもしれません。コーデュロイスーツを着る場合は小物のチョイスにも気を配りましょう。ネクタイはニットタイ、靴はスエードなど生地感の近いものが良いでしょう。コーデュロイはデリケートな生地です。ホコリを取るときにはブラシを使用し、洗濯する前には洗濯表示を確認しましょう。そもそも自宅で洗濯できない場合や、洗濯に不安を感じる場合はクリーニング屋に任せるのが良いでしょう。きちんとお手入れをしてお気に入りのコーデュロイスーツを長く着ましょう。

大久保一雄