ベストを使ったメンズコーデをご紹介!ベストの基本から学んでみようのアイキャッチ画像
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ベストを使ったメンズコーデをご紹介!ベストの基本から学んでみよう

スーツと聞くと何を思い浮かべますか?パンツを履いてシャツを着て、その上にジャケットを羽織る。そしてネクタイを閉めれば完成、というのが多くの人が持つスーツのイメージではないでしょうか?しかし、本来のスーツの姿はベストを含むスリーピーススーツなのです。スーツの発祥の地イギリスでは、シャツは名実ともに下着でした。当時シャツの裾は長く股が隠れるほどだったと言われています。シャツの裾にはボタンがあり、ボタンを止めることで現在の下着(アンダーウェア)の役割を果たしていたのです。当時、「人前でジャケットを脱ぐのは、人前で下着姿になること」とされていました。そのため、ジャケットを脱いでも下着姿にならないようにベストを着ていたのです。当時のベストには長い袖が付いていたとも言われています。形が時代の中で変化して、現在の形になったのでしょう。日本ではツーピーススーツが主流のため、ベストを着る機会はそれほど多くないかもしれません。しかし、スーツの源流を知るとベストにも興味が湧いてくると思います。この記事ではベストの種類や着用するシーン、そしてベストを取り入れたメンズコーデを紹介しています。ベストに挑戦してみたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

ベストを着用するシーン

ツーピーススーツより華やかで威厳のある印象を与えるベスト。どのようなシーンでの着用に向いているのでしょうか?

ビジネス

ベストを着られるシーンの1つ目はビジネス。ビジネスシーンではベストを着用しても問題ありません。落ち着いた印象を与えられるため、ビジネスに対する自信や信頼を表現するのに最適です。ジャケットを着ているときの印象はもちろん、ジャケットを脱いでもフォーマル度を高く保てるところが、ベストの良い点です。

しかし、ベストを着用しない方が良いこともあります。まず気にした方がよいのは、年齢と役職です。一定年齢以上で役職が付いている人ならベストを着用しても不自然ではないかもしれません。しかし、比較的若い人や一般社員がベストを着用すると、やや偉そうな印象を与えてしまうかもしれません。その社員の上司がツーピーススーツを着用している場合はなおのこと。スーツはビジネスで出会う相手に不快な気持ちを抱かせることなく信頼を得るために着るものです。周囲の雰囲気に合わせてベストを着用するのも大人のたしなみです。

似たような理由で就職活動や転職活動でもベストを着用するのは好ましくありません。面接では若々しさや謙虚さを表現することが大切ですが、ベストを着用しているとやや偉そうな印象を与えてしまいます。同じ理由で営業職の人が着用する場合も注意が必要です。はじめて会う相手の場合は、なおさらベストの着用を控えたほうが無難です。

ベストには信頼や威厳といった印象を与える効果がありますが、他にもメリットがあります。それは体温調節に使えることです。たとえば、冷房の効いた夏場のオフィスでジャケットを着ていると熱く、脱ぐと寒い場面があるとしましょう。また、春先や秋口などは少し肌寒く感じることもあるでしょう。このようなとき、ベストを着用していれば丁度良い体感温度を維持できます。

パーティー・結婚式

パーティーや結婚式もベストの着用にふさわしい場です。ドレスコードの範囲内で、ベストを着用しても問題ありません。

ベストはビジネスシーンでも着用できますが、パーティーや結婚式で着用するベストはビジネスシーンのそれとは少し異なります。ビジネスシーンではジャケットやスラックスと同じ布地を使用したベスト(スリーピーススーツ)を着るのが一般的です。しかし、パーティーや結婚式はジャケットやスラックスと異なる布地のベスト(オッドベスト)を着用して、オシャレを楽しむのです。ただし、パーティーや結婚式には必ず主役(たとえば結婚式なら新郎・新婦)がいます。決して主役より目立つことのないように気を付けて下さい。

ベストにはどのようなデザインがあるか

ベストと一口に言っても、いくつかの種類があります。ここではボタンの数と襟の有無の観点から、4種類のベストを紹介いたします。

シングルベスト

ジャケットと同様に、ボタンが縦1列に並んでいるベストをシングルベストといいます。ボタンの数は6つがオーソドックスですが、5つや4つもあります。Vゾーンが深めであるため、比較的背の高い人や体格の良い人に似合うのが特徴。ネクタイの印象が強くなるため、首元に立体感を持たせられるのも良い点です。

シングルベストは、ベストをはじめて買う人やベスト選びに困っている人に最適。ベストを着用したいけど、種類に困ったらシングルベストを選ぶようにしましょう。また、初心者にありがちなのが、ベストのボタンをすべて留めてしまうこと。ベストもジャケットと同様にアンボタンマナーがあるため、1番下のボタンを留めないようにしましょう。

ダブルベスト

ボタンの配列が2列になったものをダブルベストといいます。ボタンの数が増えるため、正面から見た時の安心感やがっしり感が増します。Vゾーンが浅めになり首元が締まった印象になるため、細身の人の方が向いているのが特徴。シングルベストより、やや着る人を選ぶ印象があります。ただ、ダブルベストを着こなせればシングルベストよりフォーマルな印象を与えられることも。ダブルベスト着用時はジャケットのボタンを全開にしても不自然ではないため、ダブルベストの雰囲気を前面に押し出せます。

シングルラペルドベスト

シングルベストに襟がついたタイプをシングルラペルドベストといいます。襟があることにより、首元に立体感が出るのが特徴。そのため、ふくよかな人が着ると首に立体感が出すぎることもあります。しかし、着こなせれば古き良き時代の英国紳士という雰囲気を表現できるため、シングルラペルドベストは上級者向けのアイテムと言えるでしょう。

ダブルラペルドベスト

ダブルベストに襟がついたタイプをダブルラペルドベストといいます。通常の(襟なしの)ダブルベストでも威厳と自信を表現できますが、そこに襟が付くためさらに重厚感が増します。フォーマル度が高くなる一方、ファッションという意味合いが強くなるダブルラペルドベスト。パーティーや結婚式で着るのは問題ないかもしれませんが、ビジネスで着ると浮いてしまうかもしれません。着用する人のファッションセンスや体型をもっとも選ぶベストであるため、着こなすのはなかなか難しいかもしれません。

ベストを着用するときのポイント

ツーピーススーツにも着こなしポイントがありますが、ベストを着るとアイテムが増えるため、さらに着こなしポイントが増えます。ベストを着用するときは、次のポイントに気を付けましょう。

シャツの襟をベストの中に入れる

シャツの襟がベストに収まるようにしましょう。シャツの襟がベストから飛び出すと、せっかくの引き締まった印象が台無しです。ただし、襟の大きさによってはベストに収まらないことも。スタンダードカラーではベストの中に入れづらいため、ワイドカラーやセミワイドカラーなど襟が大きめのシャツを選びましょう。

シャツの裾がベストから出ないようにする

シャツの襟だけでなく、裾も出ないようにする必要があります。ベストを着用した時に最も美しいシルエットは胸から腰へかけてのくびれ、そして腰から足元へかけての広がりです。つまり、上半身と下半身の境目が曖昧な砂時計用のようなシルエットがキレイなのです。しかし、シャツがベストから出ていると、上半身と下半身の境目が分かりやすくなってしまいます。こうなると、ベストの特徴の一つである脚長に見える効果も薄れてしまいます。特にネイビーやダークグレーなど、落ち着いた色のベストを着用しているときにシャツの裾が見えると、目立ってしまいます。

ベルトではなくブレイシーズを付ける

スラックスを履くときはベルトをするのが一般的でしょう。しかし、ベスト着用時に砂時計のようなシルエットを作るには、ベルトさえ邪魔になってしまう場合があります。

そのようなときに使用するのがブレイシーズ(サスペンダー)です。ブレイシーズを使えばベルトの膨らみがないため、ベストの腰の部分をキレイに見せられます。また、ベルトで腰を締めなくて良いため、楽に履けるという特徴もあります。ブレイシーズと聞くとかしこまった場にいる小さな男の子を想像するかもしれませんが、肩のベルトはベストに隠れるため問題ありません。

ネクタイの剣先がベストから見えないようにする

ベストの裾がスラックスにキレイに繫がるようなラインづくりがベストを着こなすコツです。それは側面だけでなく、正面にも言えること。せっかくベストを着こなしても、ネクタイの剣先がベストの裾から見えていては台無しです。ネクタイの剣先を見えないようにするために、剣先をスラックスの中に入れる人もいるかもしれません。しかし、これでは電車のつり革を掴むような動作をしたときに、剣先が出てしまいます。そのため、ベストの裾から剣先が出ないようにするためには、ベストの中でネクタイを折り返し、短めのタイバーでシャツに挟み込むのが良いでしょう。

体にフィットしたベストを着る

「スーツはサイズ感がいのち」と言われますが、その中でも特にサイズ感を気にしなければならないのがベスト。大きいとダボッとした印象になりだらしなく、小さいと変なシワが出来てしまいます。ベストを長く着る秘訣は採寸時の体型を維持すること。オシャレを楽しむには努力が必要なのです。アームホールの大きさも同様に、脇腹が見えるほど大きいと不自然に見え、小さいと腕を動かしづらくなります。

ベストの色だけが違っていても大丈夫?

ベストの基本はジャケットやスラックスと同じ布地を使うスリーピース。しかし、中には単品で販売されているベストもあるのです。

「オッドベスト」とは?

ジャケットやスラックスとは異なる布地で作られ、単品で販売されているベストを「オッドベスト」と呼びます。スリーピースの場合はジャケットやスラックスと同じ色・柄となりますが、オッドベストは独立したアイテムとなるため、ジャケットやスラックスと関係なく色・柄を選べます。コーディネートが自由であるということは、チョイスのセンスが問われるということ。はじめは同系色にして濃淡の差を付けるなど、簡単なコーディネートからはじめると良いでしょう。

オッドベストを着られるシーン

ビジネスシーンでベストを着る場合はスリーピーススーツが基本です。そのため、オッドベストを着られるのはパーティーや結婚式に限られます。反対にこのような場ではスリピーススーツの方が浮くかもしれません。主役より目立たない程度におしゃれを楽しむ場と考えて、普段からコーディネートのセンスを磨いておきましょう。コーディネートに自信がない場合は、雑誌を参考にしたり、店員に相談するのも一つの手です。

【シーン別】おしゃれに決まるおすすめコーデ

ここで黒いベストを使ったコーデを紹介いたします。あなたの普段のコーデと比較して、学ぶポイントがないか考えながら見てみましょう。

ビジネス

フォーマル感の中にもおしゃれを感じさせるブラック×ウィンドウペーンのスーツ。ベストもセットになったスリーピーススーツであれば、フォーマル×おしゃれを全身で表現できます。色に重厚感があるものの、柄に遊び心があるスーツ。それならオレンジのネクタイで遊び心をさらに表現してみましょう。ネクタイと同色のポケットチーフを胸ポケットに入れれば、そのままパーティーに出かけられそうなおしゃれ感もあります。全身の重厚感に比べ、胸元の軽やかさが強調されたコーデになるでしょう。

結婚式

結婚式に参列するときは、オッドベストを選んでみましょう。フォーマルなブラックスーツに合わせるのはブラックのベスト。ただし、ジャケットやスラックスよりグレーに近いブラックを選ぶことで、上半身に立体感を付けられます。ジャケットの裾が長すぎると野暮ったくなるため、シャツの裾やベルトが見えないギリギリの長さをチョイスできるかが、センスの見せどころ。シルバーの蝶ネクタイとポケットチーフを付ければ、新郎新婦をお祝いする準備は整うでしょう。

ベストを着られるシーンはビジネスとパーティー・結婚式のみです。就職活動・転職活動や目上の人と会うとき、葬儀では通常ベストを着用しませんので注意して下さい。ベストには大きく分けて4つの種類があります。シングルベストはボタンが縦1列に並んだベスト。ボタンの数は6つが主流ですが、5つや4つもあります。Vゾーンは深めであるためネクタイを締めたとき、首には立体感が出ます。そのため、背の高い人や体型がふくよかな人に似合う傾向があります。とは言え、シングルベストはもっともオーソドックスな形のため、ベスト選びで迷ったときはシングルベストを着ていれば問題ないでしょう。ダブルベストはボタンが2列に並んだベスト。シングルベストより重厚感が出るため、細身の人に似合うという特徴があります。シングルラペルドベストはシングルベストに襟がついたもの。首周りのアイテムが増えるため、どちらかというと細身の人に似合うでしょう。ダブルラペルドベストはダブルベストに襟がついたもの。威厳や信頼といった印象が強くなり、重厚感もあるのが特徴。ダブルベストより着る人を選ぶため、よほどコーディネートのセンスがないと着こなすのは難しいかもしれません。ベストを着用するときはその場の雰囲気を考え、その場にいる人に信頼を得られるようにしましょう。

大久保一雄