機能性と見た目を向上させるスーツのタックについて、選び方のポイントを徹底解説。理想のタックとは?
スーツ選びをするときにスラックスのタックについて疑問を持った方もいるのではないでしょうか。スラックスのタックの役割についてよく知らない、またはタックそのものを知らずに購入し、そのまま着用する人もいます。
適したタックのスラックスを着用すると快適な着心地が実現でき、見た目も引き立てられます。一方で、合わないタックのスラックスを着用すると、着心地が不快でどこかバランスが悪い印象になります。自分に合ったタックのスラックスを選び、快適な着こなしを実現しましょう。
スラックスとは?
スラックスという言葉を聞いたり、あるいは使ったりしたことはある方は多いと思いますが、スーツのズボンやチノパンと違いがわからない方も多いのではないでしょうか。
スラックスの語源は英語の「Slack」で、直訳すると「ゆるい」という意味です。元々は語源通りのゆるいパンツを指していましたが、現在ではタイトでフォーマルなパンツを想定する方が多いでしょう。
しかしスラックスの定義は明確ではなく、ロング丈のパンツ全体を指しています。ただし現代の世間一般でのスラックスの使われ方は、ジャケットにあわせるフォーマルなタイプのパンツという扱いです。そういう意味ではスーツに合わせるパンツは例外なくスラックスということになるでしょう。
一方チノパンは「チノクロス」という綿素材を採用しており、スラックスに比べファッション要素が強く、フォーマルな印象が薄くなります。
過去と現在では「スラックス」の意味合いが変わっていますが、スーツに合わせるようなフォーマルなパンツとイメージしておけばよいでしょう。
タックとは
タックの語源は英語の「tuck」で、「布を織り込む・ヒダを取る・つまむ」などの意味から来ています。語源どおりスラックスにおけるタックは、パンツのウエスト前面より下に向けて折りこんであるヒダです。このヒダがあるパンツを「タックパンツ」といい、ヒダが無いものは「ノータックパンツ」といいます。タックが生まれた背景は、ヒップ回りに余裕を持たせ窮屈さを解消することが目的です。
従来は店頭にタックパンツとノータックパンツは半々程度の割合で陳列されていた状態でしたが、昨今ではタックパンツの人気が加速しています。
タック入りのパンツはトレンドになりつつありますが、ノータックやタック入りのいずれも特徴を備えており、どちらが優れているというわけではありません。それぞれの特徴や役割を把握し、自分に合ったタックパンツを選びましょう。
タックの役割
タックパンツは機能性とデザイン性で大きな特徴があります。
タック入りパンツは生地を折り込んだつくりのため、この折り込み部分が適度に広がることで、立ったり座ったりさまざまな動作が快適になります。ゆとりができやすいため、かがんだ状態でもヒップ周りが窮屈になりにくいのも特徴です。
この点はノータックパンツと明確な差があります。ノータックでは広がりが無い分、突っ張るような窮屈さを感じてしまう場合があり、周りの人にもタイトすぎる印象を与えてしまうことがあります。機能性を重視する場合はタックパンツの方が良いといえるでしょう。またゆとりができやすいという点は生地と肌との密着状態にも関係するため、汗をかくような暑い日にはタック入りのパンツの方が快適に着用できます。
デザイン性におけるタックパンツは、ウエストから伸びた折り目が上品な印象を与え、フォーマルな印象をより引き立てられるでしょう。タックはシルエットの崩れを整える役割があるため、タイトなパンツであれば少しゆったりと、ゆとりのあるパンツでは引き締まるように見せる役割もあります。また、タックパンツには種類があり、それぞれ与える印象は多少違いがあります。
ノータックとは?
ノータックとはタックパンツで説明したヒダの部分、つまり「タック」が無いパンツです。1952年頃のアメリカで、コンチネンタルスタイルというノータックパンツが流行したことが始まりとされています。1960年頃には日本でもノータックが流行しました。
ノータックは比較的若い人に人気があるパンツです。機能性よりもデザイン性重視といえるパンツで、タックパンツのような折り込みによる生地の広がりが無いため、シルエットをシャープに見せることができます。この点から細身の人が着こなすことで、よりスマートでスタイリッシュなシルエットが際立つパンツと言えます。普段使いのジャケットと合わせることに向いているため、人に見せることを重視している場合はノータックを選ぶのが良い選択です。一方、タックパンツは機能性を損なっているつくりのため、頻繁に動くような仕事や汗をかくような時期で着用するにはあまり適してはいません。
タックの種類
タックパンツの種類は4種類です。現在の主流はノータックからツータックです。現在ではあまり流通していませんが1980年頃に流行したスリータックというパンツも存在します。また、これらのタック以外にインタック・アウトタックという言葉もあります。ここではそれぞれの特徴について解説します。
ノータックパンツ
タックが0本、つまりタックなしのパンツです。4種の中では一番カジュアルに近いデザインで美しいシルエットが特徴です。細身の人が着用することで、シャープさがより際立ちます。しかしタックが無いため動きにくく、窮屈さを感じやすい構造です。それゆえ肌との密着も多く、暑い時期には蒸れやすく適したパンツではありません。比較的動かなくても働ける内勤業務の方や、普段使いなどで見た目を重視する際の着用に向いたパンツです。
ワンタックパンツ
左右の足に1本ずつタックが入っているパンツです。タックが1本入ったパンツは、程よくフォーマルかつエレガントな印象を与えます。また、動きやすさも備えたバランスの良いパンツで、現在店頭などで販売されているタックパンツの大半は、このワンタックパンツとなっています。ウエストの下部分に少し余裕ができるため、多少の体形の変化にも対応可能です。さらに肌との密着が減る分、ノータックに比べ暑さにも強い「万能型」といえるパンツです。
ツータックパンツ
左右の足に2本ずつタックが入ったパンツです。ワンタックよりもさらにゆとりがあり動きやすいのが特徴です。非常に快適な半面、少し堅苦しく高年なイメージがあります。
若い方や若い印象を与えたい方には不向きですが、あえて高年に見せたいときや威厳のある印象を与えたいという際は、ツータックパンツはそれらを引き立ててくれるでしょう。また、ワンタックよりもさらにゆとりができるパンツなので、体形の変化にも対応でき、大柄な人でも安心して着用できます。快適な機能性のため、スーツで活発に動き回る方は、あえてツータックを選ぶのも良いでしょう。
スリータックパンツ
1980年ごろに流行したパンツですが、現在はほとんど流通していません。動きやすさは抜群ですが、見た目の主張が非常に強い特徴があります。あえて目立ちたい人や大柄の人に向いていますが、店舗に置いてあるケースはほぼ無いためオーダーメイドになるでしょう。ツータックの動きやすさに満足できない人は、スリータックを考えてみても良いかもしれません。
インタックとアウトタック
インタックはパンツのウエストラインから伸びるヒダの向きが内側に向いているタックパンツを指します。インタックは海外ではイギリス式の作り方です。ヒダの広がりが少し狭く、よりスマートなラインを演出しクラシカルな印象を出します。
日本ではヒダが外向きのアウトタックが一般的で、店頭に並ぶ商品の大半はアウトタックです。こちらは海外ではアメリカ式の作り方です。アウトタックはヒダが広がりやすいため、少しゆったりとした着心地になります。
タックはTPOや目的に合わせて選ぶ
自分に合ったタックパンツを着用することで、見た目もスマートで快適な着こなしが実現できます。しかし自分に合ったタックパンツとは、いったいどこを意識して選べば良いでしょうか。またTPOに合わせたタックパンツ選びも大切です。ここではタックパンツの選び方のポイントを解説します。ぜひ自分に合ったタックパンツを見つけて快適な着こなしを実現してください。
体型に合ったものを選ぶ
自分の体型に合ったタックパンツを着用することで、スマートな見た目と快適な着心地を両立できます。ノータックは細身の人や細く見せたい人に向いたパンツです。ワンタック、ツータックと増えていくごとに体型の変化がしやすい人、または大柄な体型の人が選ぶのに適しています。反対に、体型に合っていないタックパンツを購入すると、見た目も着心地も損なってしまうため注意が必要です。
自分の体型やサイズ感が分からない方は店舗スタッフに聞いたうえでタックパンツ選びをすることも考えましょう。
見た目で選ぶ
タックの数で見た目の印象は変わります。もっともカジュアル寄りでスタイリッシュに見えるのはノータックでしょう。タック入りはよりフォーマルでエレガントな印象が出ますが、ツータック以上は大柄な方や紳士に見せたい人向けで、成熟した大人の男性に良く合うタックパンツです。もっともバランスが取れており、人を選ばず着こなせるのはワンタックです。また、見た目を重視した装いをしたい状況もよくあることです。見た目重視にはノータックが選択肢としては有効で、タック入りとノータックの両方を揃えておき、TPOで使い分けができるようにしておくのが良い判断と言えるでしょう。
TPOで選ぶ
冠婚葬祭やパーティー会場では、エレガントでフォーマルな印象を与えることができるワンタックもしくはツータックが良いでしょう。ただツータックは高年な雰囲気があるため、若い方にはワンタックがおすすめです。ツータックは成熟した紳士の装いとして適しています。ノータックはカジュアル寄りの印象を与えるため、そのような場ではなるべく避けるのが望ましいです。
普段使いにノータック、ビジネスシーンでは機能性重視のワンタックといったTPOでの使い分けをするのも良いでしょう。また、ハードな動きを伴う営業マンのような人は、機能性重視でツータックにするという選択もあります。このようなハードワークでは暑さ対策のうえでタックの多いパンツは有効です。
オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?
多くのビジネスマンにとって、スーツは毎日着用する馴染みあるアイテムでしょう。パンツ一着と言え、タック次第で着心地が良くなり快適に過ごせることをご理解いただけたのではないでしょうか。それぞれの特徴と自分の好みをかけ合わせたタックパンツ選びをしましょう。
しかしどんなにサイズや好みが合っていて、選び方を理解していたとしても購入先で失敗してしまうこともあります。低品質な製法や生地、接客などにより不満の残る買い物をしたくはないものです。そういう意味では購入先を選ぶことも重要です。
そこで今回は「オーダースーツSADA」で購入の検討をすることをおすすめします。オーダースーツSADAは創業90年以上の老舗で、全国に約50店舗を構える大手のスーツメーカーです。
このような実績のあるメーカーで購入することは満足のいく買い物に繋げやすくなります。店舗一覧はオーダースーツSADAのホームページから確認できるので、最寄りの店舗を探して購入をぜひ購入を検討してみてください。