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消費税が導入された経緯

戦後の日本では消費税と似たような税金はありましたが、今のような消費税ではなく基本的に所得税中心の税制度となっていました。
所得税中心の税制度の問題点は働いている現役世代の重税感が大きく、公平に税を負担している感覚を得られないという点だったそうです。

また、消費税ではなく物品税という贅沢品にのみ課税をするという制度を適用していましたが、国民の生活水準が向上するにともなって、どれが贅沢品でそうでないのかといった線引きが難しくなっていきました。

さらに物品だけではなく様々なサービスが登場し始めたため、人々が消費する対象が物品だけではなくなっていき、物品だけに課税されることに対して疑問視されるようになっていったのです。

全ての人が公平に税を納められるようにということを考え、消費税の導入が行われたのです。

消費税増税の変遷

現在では当たり前のように適用されている消費税ですが、いつから導入されたかご存じでしょうか。
実は消費税は1989年に導入されました。
最初に導入された消費税の税率は3％で、現在の10％と比べるとあまり大きくないように感じます。

最初は3％から始まり、1997年に5％、2014年に8％、2019年に現在の10％という風に増税が行われてきました。
このような増税が行われてきた理由は主に社会保障を充実させるためです。

ご存じの通り、現在の日本では速いスピードで少子高齢化が進んでいます。
高齢化が進むと必要な社会保障費が増大していくので、その増大した社会保障費を補うために消費税の増税が行われました。

また、少子化を防ぐためにも子育てをしやすい環境づくりに力を入れる必要があります。
そういった環境を整えるためにはどこかから財源を確保する必要があります。

他にも法人税や所得税など様々な税がありますが、なぜ消費税が社会保障費を補うために使われるのかというと消費税による税収は経済動向に左右されにくいという特徴があるからです。
社会保障費は年金、介護、医療、子育てなど重要なところに使用されているので、税収が不安定なものに頼ってしまうのはあまり好ましくありません。

また、消費税は世代に関係なく税を収めることからその負担を全員で共有できるという側面もあります。
こういった特徴があるため消費税が社会保障費に割り当てられています。

近い将来消費税が１５％に増税される？

現在日本では今後の高齢化に合わせて消費税を15％に増税することが検討されています。
さらに防衛費などの増加に伴い、他の税金についても増税又は新設する意見も挙がっているようです。
では他の増税又は新設が検討されている税金について見ていきましょう。

増税または新設が検討されている税金

炭素税

炭素税は地球温暖化など環境保全を実現するために課される税金です。

炭素税は現在日本ではまだ本格的には導入されておらず、これからの導入が検討されています。
日本では炭素税の一種として地球温暖化対策税という税が導入されていて、これは石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料を使用した製品の製造や使用に応じて税金を課すという仕組みになっています。
内容としては化石燃料1トンあたり289円の税が課されるようになっています。

環境に配慮してこのような税金が導入されていますが、外国を見てみるとスウェーデンの約1万4400円やフランスの約5500円などの諸外国と比べると日本では圧倒的に低い税率が課せられていることが分かります。
なので現在、日本では諸外国のように本格的に炭素税を開始しようと具体的な政策を考える段階に入っているようです。

道路利用税

道路利用税とはまだ具体的に案が決まっているわけではないですが、車やバイクが道路を走行する距離に応じて税金を課すという案も出ているようです。
このような税を導入しようとしている背景には世界的な脱炭素化の流れも関係しています。
前述のように諸外国で既に炭素税という税金があったりするように世界的に脱炭素化が進んでいます。

例えば電気で動く車「電気自動車」を知っている方は多くいると思いますが、現在では車だけではなくバイクの電動化も進んでいます。
このように電気を動力とする車やバイクが増えることにより、ガソリン税の税収が減ってきてしまっています。
減ってしまったガソリン税を穴埋めする必要があるので道路利用税の導入が検討されているのです。

また、電気自動車は搭載するバッテリーが沢山あるために必然的にガソリン車よりも重くなってしまいます。
近年の車はエンジンが大きくなっていたり安全性のために以前よりも重量が大きくなっていますが、やはりバッテリーの重さが車の重量が重くなる主な原因となっています。

道路は車が走るだけでも少しずつダメージを受けていますが、電気自動車はガソリン車よりも重いので道路へのダメージが大きくなってしまいます。
そうなると道路のメンテナンスに今までよりも費用がかかってしまうことは容易に想像できますよね。

これらの理由から現在は道路利用税の導入が検討されているのです。

相続税

相続税は聞いたことがある方も多いと思いますが、これは亡くなった方から受け取る財産にかかる税金です。
現在、相続税の節税対策に生前贈与があり、生前贈与の持ち戻し期間は３年となっていますがこの期間を3年から10年にという意見が出ているようです。
持ち戻し期間とは亡くなる何年前までに贈与された財産を相続税に含めるかという期間になります。
つまり現在では亡くなる3年前までに贈与された財産は相続税とし、贈与税としては計算しないということです。
この期間を3年から10年に伸ばそうという意見が出ています。

この持ち戻し期間についても諸外国を見てみると、イギリスは7年、ドイツは10年、アメリカは一生涯となっています。
日本はまだまだ短いので、これを海外の水準に合わせようとする動きがあるようです。

また、このように持ち戻しして加算することを生前贈与加算と言いますが、これが適用されるのは法定相続人に限った話です。
なので、法定相続人ではない孫やひ孫などは生前贈与加算が適用されませんが、これも適用されるようにしようといった流れもあるようです。

持ち戻し期間が長くなるとこれまで以上に生前贈与の期間を意識する必要があるので、持ち戻し期間が海外水準に変更されてしまうと今までよりも資産管理が大変になることが予想されるでしょう。

所得税

所得税はご存知の通り、企業で働いて得る給料や個人事業で得た収入に対してかかる税金です。
現在の所得税は収入の大きさに比例して税率が高くなる累進課税制度を採用していて、税率は7段階に分かれており最低5％から最大45％までの税率がかかるようになっています。
また、2011年に発生した東日本大震災の復興のための財源を確保するために復興特別所得税という税金が所得税にかかっています。
復興特別所得税の税率はおよそ所得の2.1％相当額の費用が徴収されています。

復興特別所得税は2013年～2037年の期間に徴収されることになっていますが、現在防衛費の財源を確保するために復興所得税の2.1％のうち1％を防衛費に充てるという方針となっているようです。
そうなると2037年時点での復興特別所得税の財源が想定より足りなくなってしまうので、復興特別所得税の課税を延長することとしています。

よって所得税は防衛費の財源を確保するために当初の想定より長い間2.1％の上乗せが続くので、当初の想定よりも長い間負担が大きくなるということです。

たばこ税

たばこ税とはその名の通り、たばこを購入する際にかかる税金のことです。
たばこ税は国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税の3つから成っており、消費税とも合わせると税負担率は実に6割にも達します。
6割というと半分以上ですので、たばこの価格のほとんどが税金と言っても過言ではないでしょう。
実はたばこ税と言っても紙巻きたばこと加熱式たばこで税率が異なり、今述べた6割という税率は紙巻きたばこの税率になります。

加熱式たばこは紙巻きたばこよりも税率が低く、現在こちらの加熱式たばこの増税が検討されています。
加熱式たばこの増税といえば今年の10月に行われたばかりですが、防衛費の増加に伴いさらなる増税によって穴埋めをする必要があるようです。

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