夏用と冬用スーツはどのようにして見分けるのか?それぞれの特徴も併せて解説?
スーツに「秋冬用」と「夏冬用」「オールシーズン用」と種類があるのはご存じですか?意外と知らない方が多いこの違い。「具体的な違いを説明して」と言われて、ハッキリ答えられる方ってなかなかいないのではないでしょうか。これらのスーツは、それぞれ素材や織り方、裏地の仕様が異なります。季節に応じて便利に着られるよう、何かしらの加工がされていることも。夏用スーツは5~9月、冬用スーツは10月~3月頃の着用を想定しています。なぜスーツがこのように分かれているかというと、理由は2つあります。1つ目は、季節の温度差に対応するため。言わずもがなですが、日本では夏は暑く冬は寒いですよね。年中同じ服装をしていたら、暑さや寒さが仕事のパフォーマンスに影響することは明らかです。社外の人から見ても夏の暑い時期に分厚いスーツを着て、汗だくになった人に訪問されても困ってしまいますよね。またスーツに繊細な生地が使われており、シーズンごとに休ませた方が良いのも理由です。このコラムでは、夏用・冬用スーツそれぞれの詳しい特徴やコーディネート例、夏冬用スーツ以外のスーツについて解説します。このコラムを読めば、シーズンごとにピッタリのスーツが選べるようになりますよ。
紳士用のスーツは大まかに「夏用」「冬用」「オールシーズン」の3種類が販売されています。外回りの営業職などでなければ、季節を問わず着られるオールシーズンスーツのみ持っているという方もいるでしょう。
夏用と冬用のスーツには、それぞれの季節をより快適に過ごすためのさまざまな工夫が施されています。今回は、夏用と冬用スーツの見分け方や特徴、コーディネート例を中心に解説するので、ご自分にピッタリのスーツを選ぶためにお役立てください。
夏用・冬用スーツの見分け方
夏用スーツと冬用スーツの見分け方にはいくつかのポイントがあります。そのため、季節に合わないスーツを着用していると、周りから浮いてしまう恐れもあるでしょう。まずは、スーツの種類と主な違いを見ていきます。
スーツは3種類に分けられる
ビジネスシーンを目的とした紳士用のスーツは、「夏用」「冬用」「オールシーズン」に大別されます。夏用は5月~9月頃が目安で暑さ対策、冬用は10月~3月頃を目安に防寒対策が施されているのが特徴です。
詳細は後述しますが、年中着ることを想定したオールシーズンスーツにも短所があり、季節に合ったスーツを着用するのは社会人としてのマナーといえるでしょう。
生地の違い
夏用と冬用のスーツに使われている生地は、比較すると以下のようになります。夏用は薄く通気性に優れており、冬用は厚めの生地で保温性に優れた生地が使われているのが特徴です。
主な生地 | |
夏用 | コットン、モヘア、トロピカル、リネン、サマーウール など |
冬用 | ツイード、フランネル、カシミヤ、アンゴラ、ウール など |
裏地の違い
夏用と冬用スーツの違いが分かりやすいのが裏地です。夏用スーツの背中は「背抜き」と呼ばれ、背中の中間から下半分にしか裏地が施されていません。ジャケット自体が軽くなるため、通気性にも優れており、夏の暑い時期でも快適にスーツを着用できるでしょう。
冬用スーツの背中は「総裏」と呼ばれ、背中の前面に裏地が施されています。裏地は保温や保湿目的でもあるため、冬の寒い時期でも暖かく着用することが可能です。裏地は本来生地の耐久性の役割があるため、総裏が基本となっています。
なぜ夏用と冬用にスーツが分かれているのか
スーツはなぜ、夏用と冬用に分かれているのでしょうか。暑さや防寒対策はもちろんですが、他にも種類が分けられている理由はあります。スーツが季節に応じて作られている理由を把握できれば、ビジネスシーンで着用する機会を間違えることはありません。そして、適切な手入れの行い方も分かるので、長く着用できるようになるでしょう。
理由①季節の温度差に対応するため
日本は四季に恵まれており、多くの地域で季節による寒暖差が大きい傾向にあります。暑さや寒さが気になるようなスーツでは、仕事のパフォーマンスに影響するかもしれません。
なにより、ビジネスシーンではTPOに応じた「相手に不快感を与えない」服装が求められます。夏の暑い時期に分厚いスーツを着て、汗ばんだ姿で取引先を訪問したら相手に不快感を与えてしまいかねません。社会人の最低限のマナーとして、季節に合ったスーツを着用するように気を付ける必要があります。
理由②繊細な生地も使われている
スーツを仕立てるのに用いられる生地は、耐久性に優れたものから繊細なものまでさまざまです。繊細な生地のスーツを長期間着用し続けては、傷んでしまうのも早くなってしまいます。
生地の繊細さは原毛の細さで表され、品質タグに記載された「SUPER表示」が高いものほど「光沢の良さ」「柔らかさ」「シワになりにくい」などが特徴です。価格も高く設定される傾向にあります。何着も着まわすのが難しい場合、目安として150以上のデリケートな生地はおすすめできません。
夏用スーツの特徴
ここからは夏用スーツの特徴をまとめていきます。おすすめのコーディネート例も紹介するので、夏場の着こなしのアイデアとして参考にしてはいかがでしょうか。
夏用スーツの主な特徴
夏の暑い時期に、暑さや汗ばむ不快感を軽減する目的で作られたのが夏用スーツです。クールビズ以外のビジネスシーンでは、半袖シャツやノーネクタイはマナー違反のため気を付けてください。夏用スーツの特徴をまとめると、以下の通りです。
夏用スーツの特徴
・厚さの薄い、「平織り」で仕立てた通気性に優れた生地が使われている
・吸水速乾性が高い、ウォッシャブル対応、涼感加工などの「機能性素材」のスーツもある
・基本的に「背抜き」仕様の夏用スーツは秋冬にはマナー違反となる(一部例外あり)
夏用スーツのコーディネート例
夏用スーツを用いたおすすめのコーディネート例も何点かご紹介します。近年は多くの会社や店舗でクールビズが行われており、夏場に爽やかさを演出するためにも「質感」や「色合い」などに注目するのがおすすめです。
夏用スーツのコーディネート例
・ネイビースーツx白シャツxストライプネクタイ
・ブルースーツxブルー系シャツxベスト
・グレースーツxグレー系シャツxペイズリー柄ネクタイ(靴はブラウンがおすすめ)
冬用スーツの特徴
続いて冬用スーツの特徴をまとめていきます。こちらについてもコーディネート例を紹介するので、寒い時期における着こなしのアイデアとして参考にしてはいかがでしょうか。
冬用スーツの主な特徴
冬用スーツの特徴をまとめると、以下の通りです。昼夜の温度差が大きくなる10月~3月頃に着用します。傾向として、同色であっても夏用スーツより濃いめのトーンで仕立てたスーツが多いといえるでしょう。
冬用スーツの特徴
・厚みのある生地を綾織り(あやおり、ツイル)で仕立て、保温性に優れている
・重量感があるため、シルエットを維持しやすい
・繊細な生地が使われているスーツも多い
冬用スーツのコーディネート例
冬用スーツを用いたおすすめのコーディネート例もご紹介します。プライベートであれば、冬に映えるコーデュロイをうまく取り入れて、ワンランク上のおしゃれを楽しむのもおすすめです。
冬用スーツのコーディネート例
・グレースーツx白シャツx黒ネクタイ
・ベストが加わったスリーピースで防寒対策も万全
・コーデュロイ素材のジャケットxボタンダウンシャツxニットタイ
あえてスーツの生地や柄で季節感を出すのもオシャレ
業種やTPO次第ともいえますが、ワンランク上のスーツのアイデアとして「生地」「柄」にこだわって季節感を演出するのもおすすめです。スーツのコーディネートにマンネリを感じている方も、少しの工夫で気分転換にもなります。季節に応じて、以下のような生地や柄を意識的に取り入れてはいかがでしょうか。
夏 | 生地・・・強撚(きょうねん)ウール、モヘア混、シアサッカー、機能性素材メッシュ状の芯地や肩パッドは通気性に優れている |
冬 | 生地や柄・・・ツイード、カシミアアイテム・・・カーディガン、ハイゲージニット、ニットベスト |
夏用・冬用以外のスーツ
夏用と冬用スーツ以外の代表的なスーツとして「オールシーズンスーツ」について紹介します。また、市場に流通しているスーツには他にどのようなものがあるか、それぞれの特徴と共に紹介するので参考にしてみてください。
オールシーズンスーツ
「オールシーズン」と聞くと年中対応可能なスーツを想定するかもしれませんが、本来は、夏用と冬用スーツの境目の時期を対象として作られています。10月や3月頃は日ごとに気温の変動も多く、着用するスーツ選びで迷うこともあるでしょう。オールシーズンスーツの特徴をまとめると、以下の通りです。
オールシーズンスーツの特徴
・生地の厚さは薄すぎず、厚すぎない。色や柄はベーシックなものが多い
・スーツの着用頻度が少ない方や内勤の方、礼服、リクルートスーツに適している
・ノーアイロンやストレッチ加工のものだと利便性が高い
・年中着用する場合、2~3年ごとに買い替えると良い
礼服
冠婚葬祭に参列する場合、ビジネス用とは別に礼服と呼ばれるカテゴリのスーツを着用することが必要です。礼服の種類と特徴は以下のように分けられます。
格式 | 服装 | 着用シーンや特徴 |
正礼装正装 | モーニングコート(昼間の正礼装) | ・新郎、新郎新婦の父、格式ある式典・黒の上着とベスト、グレーのパンツ(スラックス) |
タキシード・燕尾服(夕方以降の正礼装) | ・新郎、新郎新婦の父、主賓・白と黒でまとめるのが基本・「ホワイトタイ」指示の場合は燕尾服 | |
準礼装 | ディレクターズスーツ(昼の準礼装) | ・結婚式、記念式典、パーティ・黒のジャケットとベスト、グレーのパンツ(スラックス) |
ブラックスーツ(昼夜共通) | ・主賓から一般ゲストまで冠婚葬祭全て対応・光沢ある生地は弔事不可・黒ジャケット、シングル裾スラックス | |
略式礼装 | ダークスーツ(格式高い会場以外) | ・カジュアルな結婚式、2次会、ディナーショー・濃いネイビーやグレーで無地のスーツ |
リクルートスーツ
リクルートスーツは、就職活動や面接の際に着用した経験があるという方は多いでしょう。このタイプのスーツは就職活動や面接というシチュエーションに限り着用することから、ビジネス用途としてはふさわしくありません。なお、就職活動や面接に際してもオールシーズンスーツが主流となってきている傾向があります。
リクルートスーツの特徴としては以下の通りです。
リクルートスーツの特徴
・手ごろな価格で販売されるものが多く、化学繊維が使われシワになりやすい
・着用感が良いとはいえず、身体を動かすのにも不向き
・画一的で地味な色合い、無地が中心
・「誠実さ」や「清潔感」を相手に印象付けるように作られている
【補足】機能性スーツ
夏用スーツでも軽く触れたように、昨今は「機能性スーツ」と呼ばれるカテゴリのスーツが注目されており、テレビなどで特集が報じられることもあるため、一度は見聞きしたことがある方もいるのではないでしょうか。紳士服メーカー以外にも、作業着を取り扱ってきたようなメーカーが続々と新商品を発売しています。
機能性という名の通り、スーツ本来の役割に加え特殊な機能性が施されているのが特徴です。機能性スーツの例として、以下のようなスーツが挙げられます。
機能性スーツの一例
・裏返せば作業着として着用できる「リバーシブルワークスーツ」
・水道会社が開発した「スーツに見える作業着」
・ビジネスシーンでも着用できるセットアップ
リモートワークや在宅勤務を行う方は増えましたが、野外作業や軽作業をスーツで行わなければならないという方もいます。機能性スーツに共通するのは「自宅で洗濯できる」「ストレッチ性に優れている」「手ごろな価格帯」などで、変わりゆくビジネスシーンをさらに快適にしてくれるでしょう。
オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?
今回は夏用と冬用スーツの違いをはじめとし、オールシーズンスーツやその他のスーツの特徴をまとめてきました。一度社会人になれば、長い方では約40年ほどの間スーツを着用して仕事をするという方もいるでしょう。
社会人にとってビジネススーツは、仕事を支える良きパートナーです。高品質のスーツも多く市販されていますが、ご自分のボディサイズにピッタリの一着を着用すれば、仕事のモチベーションアップも期待できます。
幾度となくメディアでも取り上げられているオーダースーツSADAでは、オーダースーツでしか得られないような優れた着心地、楽しさを与えてくれるスーツを手に入れることが可能です。インターネットではお得なキャンペーン情報も掲載しており、来店予約を承っております。経験や知識の豊富なスタッフが、お客様のお悩みを解決する一着をご提案いたしますので、スーツに関するご相談は何なりとお申し付けください。
夏用スーツは「平織り」で仕立てた、通気性に優れた生地が使われています。また裏地は「背抜き」の仕様となっており、背中の部分に裏地がなく冬用スーツと比較してかなり涼しいです。吸水速乾性が高い素材の使用やウォッシャブル加工などで汗対策がされていたり、涼しく着られるよう涼感加工が施されていたりします。夏用スーツはネイビースーツ×白シャツ×ストライプネクタイや、ブルースーツxブルー系シャツxベストなどの爽やかさを重視したコーデがおすすめです。対して冬用スーツは「綾織り」で仕立てた、厚みがあり保温性のある生地が使われています。重量感があるので形が崩れにくいのも特徴です。夏用スーツと比較して繊細な生地が使われていることが多く、シーズンが終わったらしっかりと休ませる必要があります。冬用スーツはグレースーツx白シャツx黒ネクタイや、ベストを加えて防寒対策を強化したコーデがおすすめです。ちなみに夏用・冬用スーツ以外には、「礼服」「リクルートスーツ」「機能性スーツ」といったスーツのカテゴリーがあります。最近では作業着としても使える「リバーシブルワークスーツ」のような、今までにないスーツも増えていますよ。ぜひ用途に合わせた機能性スーツも選んでみてくださいね。