夏にこそ意識したい！スーツの裏地の重要性とは？暑さ対策からファッション性まで

そもそもスーツの裏地って？

スーツの裏地とはスーツの内側に付けられた生地のことを指します。
基本的にはツルっとした光沢のある素材が使用されていることが多いです。
裏地の役割は様々で、スーツを着た際の着心地やシルエット、耐久性などに関わっています。
それぞれ役割を詳細に説明していきます。

耐久・保護

まずスーツの裏地には保護の役割があります。
スーツは外側の生地が汚れたり、破れたりすることで着用感や見た目が損なわれてしまいますが、裏地があることで内側からの汚れやダメージから外側の生地を保護することができます。
また、汗を吸収したり、スーツと肌の間に空気の層を作ることで、汗ジミや不快な着用感を軽減することもできます。
夏だけではなく、実は冬場も多量の汗をかくので年間を通して大事な役割を担っています。

また裏地には耐久性の役割もあります。
スーツを長く着用していると、スーツの内側の生地が摩擦などで擦り切れてしまうことがありますが、裏地があることでダメージを軽減し内側の生地を保護することができるのです。

ファッション性

裏地には色や柄を変えることでスーツのファッション性を高める役割もあります。
既製品のスーツでは基本的には黒・ネイビーなどの無地の裏地が使用されていることが一般的ですが、オーダーメイドでスーツを制作することで自分好みの裏地を選択し、さりげなくオシャレ感を出すことができます。
特に2着目以降のスーツを検討している方は裏地にもこだわってみることをおすすめします。
ビジネスシーンでふとした時に見える裏地から、話が弾むきっかけになることもあるでしょう。

さらに、裏地はスーツのシルエットを整える役割もあります。
特に外側に薄手の生地を使用する場合には、裏地がないと内側に着用しているシャツの生地が響き、凸凹やシルエットの乱れが目立ってしまいます。
裏地があることで、スーツのシルエットを美しく整えることができますよ。

スーツの裏地はパッとみた見た目にはあまり目立たない部分ですが、スーツの着心地やシルエット、耐久性などに大きな影響を与える重要な要素です。
スーツを選ぶ際には裏地の有無や素材にも注目し、自分に合ったスーツを選択しましょう。

スーツの裏地の種類と特徴

裏地の種類

大きく分けて、総裏・背抜き・裏地なしの3種類が存在します。
それぞれ解説していきます。
春夏秋冬と適したスタイルや素材を組み合わせ、自分のライフスタイルにあったタイプを見つけましょう。

総裏

その名の通り、スーツの裏側に総じて裏地の生地がついている状態です。
前述したようにスーツの裏側全体に生地がついていることで耐久性に優れ、袖通りや着心地もなめらかになりますよ。
そして、保温効果も生まれます。
裏地は基本的にはサラッと薄手ですが、一枚あるだけで体感温度が上がると言われています。

総裏のスタイルは真夏以外は年中適していると考えていいでしょう。
真夏でも寒がりな方やクーラーが効いている場所にいる時間が長い方、スーツの耐久性を優先したい方は真夏でも総裏が適しているといえます。

背抜き

背抜きとは、背中の半分あたりから下に裏地がついてない状態です。
袖と背中の上部分には裏地がついています。
最低限の袖通りや着心地や耐久性は保ちつつ、快適さも兼ね備えた形ですね。

背中の半分に裏地がついていないだけでも体感温度は大きく変わります。
裏地がついていないことで中に着用しているシャツが透けることが懸念されますが、暑い夏場はその透け感も軽やかな印象を与えるでしょう。
背抜きのスタイルは特に暑がりの方や夏場から真夏にかけて適しています。
耐久性や環境などを考慮して選択することがおすすめです。

裏地なし

裏地なしとは、スーツの全体に裏地がついていないことを指します。
裏地がない分、軽量化され着心地は軽やかで、風通しも良く快適です。
ただし、袖部分にも裏地がないため袖通りはもたつく感じが強く、動きにくさは感じるかもしれません。

常にジャケットを着用するビジネスシーンよりは、決まりがなくジャケットの脱ぎ着がしやすいカジュアルシーンに向いているといえるでしょう。

生地による特徴

裏地と一口にいっても、使用される素材によって特徴が異なります。

ポリエステル

既製品に多く、手に入りやすい主流の素材といえるでしょう。
主流で使われていることもあり、特段問題がなく着用していただけます。
また、ポリエステルの特徴として強度が強く耐久性があるという強味があります。
夏場は袖通りのもたつきなど、冬場は静電気がおこりやすく、気になることがあるかもしれませんが、普段使いで使用するスーツに最適と言えるでしょう。

お手頃価格のタイプが多いというメリットもあります。

キュプラ

キュプラは機能的な化学繊維のハイブリットと言われており、キュプラに使用されている綿は天然繊維ですが、人工的に作られた化学繊維という分類です。

キュプラはツルツルとした滑らかな肌触りが特徴で、袖どおりや着心地が良いとされています。
また汗を吸い取る吸湿性も持ち合わせ、夏場をより快適に過ごせるような素材ですよ。
また、静電気が起きにくいという特徴もあり冬場も安心です。

自然で高級感のある光沢でスーツをより上品な印象に仕上げてくれる素材です。
機能性や耐久性、ファッション性も含めると裏地としてはベストな素材といえるでしょう。
既製品でキュプラを使用しているスーツは少なく、オーダーメイドで制作することをおすすめします。
店頭では裏地によって試着もできることが多いので、ポリエステルの裏地とキュプラの裏地で着比べてみるのもいかがでしょうか。

コットン

コットンは天然素材で、肌触りが柔らかく、通気性に優れています。
しかしカジュアル感が強くビジネスシーンで着用されるようなスーツとの相性はよくありません。
カジュアルシーンで着用するような、麻やコットンを使用したスーツに使用されることが多いです。
風合いやファッション性を大事にしたい方におすすめです。

夏用スーツでも背抜きがいいとは限らない？

夏場のスーツは、暑さ対策として薄手の素材や軽い素材が選ばれることが多いです。
また、薄手のスーツには前述した通り、「背抜き」という背中に裏地を付けない仕様があり通気性が高く快適に着用できると言われています。
しかし、背抜きを選択することが必ずしも夏場に最適な仕様とは限りません。

背抜きの最大のメリットは、軽くて涼しいことです。
背中部分の生地を減らしスーツの重量を軽くすることで、暑い夏でも少しでも快適に着用できるというのが背抜きの最大の利点です。
裏地がついていない部分は風通しもよく直接的な涼しさも感じられます。
また動きやすさも向上するため、長時間の着用でも疲れにくいという利点もあります。

しかし、背抜きにはデメリットもあります。
一つ目は、背中の下半分部分に裏地がないため外側の生地が薄手の場合、中のシャツが透けてしまうことがあります。
二つ目は、総裏に比べるとジャケットのシルエットが崩れやすい点です。
三つ目は、総裏に比べると耐久性が低いといえます。総裏と違い直接外側の生地にダメージが生じ生地の消耗を早めるでしょう。
基本的には裏地は張替えが可能なことが多いですが、外側の生地は総とっかえや一部の補修となってしまいます。補修箇所も現代の技術で目立ちにくいとはいえ、避けたい要素ではあります。

機能性を重要視するか耐久性や見映えを重要視するかは個人の判断によるところが多いといえるでしょう。
どちらを重視するか、ライフスタイルや環境に合わせて決めることがいいかもしれません。
暑がりの方や外でスーツを着る機会が多い方は背抜きを、室内着用が多く見映えを重要視したいスタイルの方は総裏をおすすめします。

またスーツをオーダーメイドする際には、背抜きにするかどうかを選ぶことができます。
既製品では夏用のスーツは背抜き、と決まって販売していることが多いですが、オーダーメイドであれば夏用の生地で総裏仕様に仕上げることも可能です。
季節感も大切にしつつ、自分の好みや用途に合わせて相談することでぴったりのスーツが制作できます。

夏用スーツの裏地の選び方

涼しく快適に夏を過ごす為に夏用スーツのおすすめの選び方を紹介していきます。
ポイントになるのは着心地の良さや裏地のありなしなどの選択肢ですよね。
自分のライフスタイルや着用環境で選ぶのがおすすめです。

暑がりの方

最近日本の気候が変わり、夏は特に暑さを感じる日数が増え温度も年々記録更新と暑さが厳しさを増しています。
その環境の中で外でスーツを着用する時間が長い方、暑がりの方は「背抜き」のタイプをおすすめします。
背中の下部分に生地があるかないかでも、体感温度は大きく変化します。
熱中症など直接的な健康被害を避けるためにも快適さを重視してはいかがでしょうか。

また、使用する素材は「キュプラ」がおすすめです。
肌当たりがサラッとしており吸湿性にも優れているので、汗をたくさんかいたときも安心です。

暑さを感じにくい方

暑さを感じにくい方、室内のクーラーでむしろ寒さを感じることが多い方は「総裏」がおすすめです。
全て裏地がついていることで保温性はもちろんあがりますし、スーツの耐久性やスタイルの崩れも防止してくれます。

素材は「ポリエステル」「キュプラ」共におすすめです。
耐久性の良さやお手頃さを重視するか、着心地や見映えを重視するかといったところですね。

ファッション性を大事にしたい方

ファッション性を大事にしたい方は「総裏」がおすすめです。
総裏スタイルを選択することで、ジャケットにシャツが透けてしまうことが防げます。
また全体に裏地がついていることでジャケットのスタイルが維持されて着用時も綺麗なシルエットを保てます。

柄や色にこだわってオシャレさを楽しみたければ全体に裏地がついている総裏タイプの方が見映えもいいといえるでしょう。
また、素材は「キュプラ」がおすすめです。
自然な光沢感のある素材は、ワンランク上のスーツに仕上げてくれますよ。

夏の暑さの中で無理しない範囲でオシャレを楽しみましょう。

長くスーツを着用したい方

長くスーツを着用したい方は「総裏」がおすすめです。
背抜きに比べると総裏の方が、摩擦などで生じるダメージを軽減してくれて耐久性が上がります。
裏地の交換は可能なことが多いですが、外側の生地は補修など対処法が限られてしまい見映えも良いとはいえません。
背抜きタイプはジャケットのスタイルが崩れやすいのに対し総裏タイプはそこの部分の耐久性も優れています。

素材は「ポリエステル」がおすすめです。
耐久性に優れた素材でお手入れもしやすいですよ。

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