スリーピーススーツの注意点とは?失礼にならないマナーと配慮を解説
スリーピーススーツは、エレガントで洗練された印象を与えてくれるアイテムです。しかし、「生意気だと思われないだろうか」「失礼にならないだろうか」などと不安を感じると、憧れはあっても着用をためらってしまうかもしれません。この記事では、スリーピーススーツに興味があるものの踏み出せずにいる人や、初めて着用する人に向けて、スリーピーススーツを着こなすための注意点とマナーや配慮すべきポイントを解説します。歴史やいつ着るべきかスリーピーススーツの歴史や魅力、メリットなども紹介するので、ぜひ素敵なスリーピースを手に入れておしゃれな着こなしに挑戦してください。
スリーピーススーツとは?特徴と魅力を解説
クラシカルな雰囲気をまとうおしゃれなスリーピーススーツですが、日本ではあまり一般的ではないかもしれません。
英国発祥のスリーピーススーツの歴史や特徴、魅力など基礎知識をわかりやすく解説します。
スリーピーススーツとは?基礎知識を紹介
英国発祥のスリーピーススーツ(three piece suit)は、日本では「三つ揃え(みつぞろえ)」とも称されるクラシカルなアイテム。
スリーピーススーツは、ジャケットとベスト、パンツの三つのアイテムで構成され、それぞれのアイテムは全て同じ生地を使用するのが基本です。ジャケットの下にはスリーピーススーツ特有のベストが着用され、ジャケットを脱いだ場合でもフォーマルなシーンにふさわしい身だしなみをキープできます。
日本のビジネスシーンでは、ツーピーススーツ(ジャケットとパンツの組み合わせ)が主流です。そのため、スリーピーススーツ選びや着方に自信を持てない人も多いかもしれません。
しかし近年は、クラシカルなデザインを好む人や、ファッションにこだわりを持つ人の間でスリーピーススーツの人気があり、注目されています。
スリーピースの歴史と英国の伝統
17世紀のイギリスで誕生したスリーピーススーツは、伝統的なスタイルとして350年もの歴史を積み上げてきました。
1666年にチャールズ2世が衣服改革を宣言したことが、ジャケット・ベスト・パンツで構成されるスリーピーススーツの原型が生み出されるきっかけとなりました。第二次世界大戦中とその後の物資不足の時期にはベストが一時的に姿を消しましたが、1960年代に若者の間で細身のモッズスーツが流行したことを機に、ベストは再び脚光を浴びています。
その後、昨今のドレスアップブームの影響で、スリーピーススーツは、特に20代、30代の若い男性から支持を集めています。
なお、ベスト(vest)はアメリカ英語に由来しています。スリーピーススーツの発祥の地であるイギリスでは、ベストのことを「ウエストコート(waist coat)」と呼ぶのが通例です。
スリーピーススーツの注意点・マナーを解説
スリーピーススーツを着用すると、失礼になったり、生意気に見えたりするのではないかと心配する人も多いようです。確かに、葬式などの特別な場面では避けるべきですが、それ以外のほとんどの場面で、スリーピーススーツの着用はマナー違反にはなりません。
ここでは、スリーピーススーツの着用が適切ではない数少ないシチュエーションについて解説します。
葬式・就活や面接での着用は避けた方が無難
スリーピーススーツは、フォーマルシーンにふさわしいスタイルです。例えば結婚式で新郎がスリーピーススーツを着用すると、きちんとしたスタイルが評価されるでしょう。参列者がスリーピーススーツを着るのも、白や明るいグレーなどでなければ問題ありません。礼服=フォーマルウェアとしてスリーピーススーツを持っておくのもおすすめです。
もともとスリーピーススーツは公的な場面で正装としてふさわしい服装です。ただし、格上に見られすぎる側面があるため、スリーピーススーツを避けたほうが良いシーンもあります。例えば、お葬式、お通夜、法事などに参列する場合、喪主よりも格上に見えがちなため、スリーピーススーツの着用は控えることをおすすめします。
職種にも寄りますが、新卒採用など仕事の面接の場合も、スリーピーススーツを着ていることが原因で「礼儀がなっていない」「生意気だ」などと見なされる可能性もゼロではありません。こちらも面接者よりも格上の着こなしだと捉えられる恐れがあるためです。
また、晴れて入社した後も、社風が分からないうちや初対面の人と会うときなどは、ツーピーススーツを着用しておいた方が無難です。
ボタンとシャツのマナー
スリーピーススーツを着用するときには、ツーピーススーツとのマナーの違いに気を付けましょう。ジャケットは前を開けた状態にして、ベストは最下部のボタンのみ外すのがスリーピーススーツを着るときのマナーです。
また、ボタンダウンシャツの着用を避けるのもマナーとされています。ボタンダウンシャツとは、襟先を小さなボタンで留めているシャツのことです。
アメリカなど他国では、スリーピーススーツとボタンダウンシャツとの組み合わせも珍しくありません。しかし、ボタンダウンシャツはカジュアルなアイテムのため、ベストとの相性はいまひとつです。日本のビジネスシーンでは、スリーピーススーツにボタンダウンシャツを合わせない方が賢明でしょう。
ベルトはNG!? サスペンダーを着用?
スリーピーススーツを着用する際は、マナーとしてシャツやベルトがベストとパンツの間の隙間から見えすぎないように丈を調整しなければいけません。ちょうど良い丈の長いベストを着ると、シャツやベルトを見せずに済みます。しかし、バックルが小さいベルトでなければ、シルエットが崩れてしまうかもしれません。
スリーピーススーツでパンツの位置が下がらないようにするためには、ベルトではなくサスペンダーを選ぶのがおすすめです。サスペンダーを着用すると、腰周りがもたつかないため、すっきりした印象になります。
サスペンダーは基本的に人に見せないアイテムですが、ビジネスシーンで使用する場合は、3~4cm程度の幅でシンプルなものを選ぶと良いでしょう。
サイズ感に注意
スリーピーススーツを着こなすには、肩幅や袖丈などジャケットやパンツのサイズがぴったりあっていることはもちろん、ベストのサイズ感と動きやすさのバランスもポイントとなります。
ベストの丈が適切でないと、全体のシルエットが崩れてしまうため注意が必要です。理想的なベストの丈は、ベルトが少しだけ隠れる程度です。長すぎるとだらしない印象になります。一方、丈が短すぎると窮屈な印象を与え、太って見えることもあります。
体型にぴったりのベストの丈を選ぶことが大切ですが、同時に動きやすさにもこだわりましょう。着用した状態で、体を反らせたりねじったりしながら選ぶと、着心地の良いベストを選べます。
スリーピーススーツの魅力とメリット
スリーピーススーツは、さまざまなフォーマルシーンで着用できるうえに、防寒対策としての機能性や、体型をカバーしスタイリッシュに見せる効果、さらに、おしゃれさなども備えています。あらためて、スリーピーススーツの魅力やメリットを解説します。
ウォームビズ(防寒)
季節の変わり目は、コートを着るまでもないにしても、肌寒い場合があります。ベストを着込めるスリーピーススーツなら、スマートなウォームビズになるでしょう。
また、屋内外の温度差が激しいときもスリーピーススーツは重宝します。室内で暑いときにジャケットを脱いでも、ベストを着用したままならビジネスシーンにふさわしい雰囲気をキープできます。
体型キープやカバー
スリーピーススーツのベストは、体型の気になる部分をカバーしてくれる優れたアイテムです。体にぴったりとフィットするベストを着用すると、シャツだけの状態よりも、引き締まった体型に見せられます。腰回りがすっきりするため、スタイリッシュな印象を与えられるでしょう。また、顔の近くにベストのVゾーンがあると、シャープな顔立ちに見えます。
ほっそりとした体型に悩みを持っている人にも、ベストはおすすめです。ベストを着用すると胸元にボリューム感が生まれるため、胸板が厚く見えてたくましい印象になります。
おしゃれさを演出
スリーピーススーツは、ファッション感度が高い人が注目するスタイルです。おしゃれに見えるポイントは、スリーピーススーツ特有のベストにあります。
ジャケットを脱ぐ場合でも、ベストを着ていればほど良いフォーマル感をキープできます。「見せない」アイテムであるサスペンダーやベルトなどをベストで隠すと、品格のある佇まいに仕上がります。
ベストには、ネクタイを立体的に見せ、より魅力的に見せる効果も期待できます。特におすすめしたいのが、ちょっと個性的なネクタイ。スリーピーススーツの場合はネクタイが見える部分が絞られるため、トータルで見るとバランスを取れます。
好みに合わせて、ベストに懐中時計用のアルバートチェーン(フォブチェーン)を飾ったり、ジャケットとベストの色柄を変えてみたりして、着こなしを楽しむのもおすすめです。ベスト単品だけ違う色柄にする「オッドベスト」も昨今人気になってきています。
スリーピースの選び方
スリーピーススーツを購入する際の注意点やポイントを解説します。スリーピースのおしゃれさを存分に楽しむためのコツも紹介するので、参考にして納得できる満足感の高いスリーピーススーツを選んでみましょう。
生地を選ぶ
スリーピーススーツを選ぶ際、他のスーツと同様、生地選びは重要なポイントです。使われている生地によって、スーツの着心地や耐久性、手入れのしやすさなどが変わるためです。
特に耐久性に優れ、シワになりにくいウール素材の生地は、スリーピースに適しています。ウールは保温性と通気性のバランスが良く、オールシーズン活躍できる素材です。
また、ウールにカシミヤやシルクを混紡した生地も検討しましょう。カシミヤは、柔らかさと肌触りの良さが特徴的です。シルクは美しい光沢と滑らかな質感が魅力です。好みや必要に応じて混紡生地に着目すると、着心地と実用性を両立したスリーピーススーツを手に入れられるでしょう。
ベストの種類を選ぶ
スリーピーススーツのベストは、フロントデザインのバリエーションが豊富です。
ボタンの並びは、1列に並んだものがシングルベストで、2列に並んだものがダブルベストです。襟がついたものはラペルドベストといいます。他にも、胸ポケットや後ろベルト、ステッチの有無など、細部のディテールにもさまざまな種類があります。
ベストの形にも注目しましょう。ほっそりとした体型の人には浅いVゾーンのベストが向いています。一方、ふくよかな体形の人には、Vゾーンが深く、襟のないタイプがおすすめです。
自分の好みに合わせて似合うベストを選べることも、スリーピーススーツの醍醐味です。
ボタンの色や材質も選ぶ
オーダーメイドなら、ボタンを選ぶ楽しみも加わります。スリーピーススーツはツーピーススーツよりもボタンの存在感があるため、生地の色や柄に合わせて、オリジナルのカラーリングを楽しめます。
一例として、ネイビーカラーのスーツに黒いボタンを合わせると、シックな印象になります。同じネイビーカラーのスーツでも、明るいブラウンのボタンを合わせるとカジュアルな印象を与えられます。
ボタンの材質を選ぶときは、材質それぞれの魅力や特性を理解して選びましょう。例えば天然素材の水牛の角でできたボタンは高級感があり、色や模様に個性があります。人工素材のポリエステルのボタンは、耐久性の高さとコストパフォーマンスの面で魅力があります。
「オーダースーツSADA」でスリーピースを
スリーピーススーツをオーダーで仕立てると、自分の体型に合わせた絶妙なフィット感の一品を手に入れられます。
オーダースーツSADAでは、二十数ヶ所の寸法のバランスを取ってパターンを作成し、完成したパターンをCAM(自動裁断機)を用いて正確に生地を裁断します。
さらに、スーツのシルエットや生地の素材、カラーなどのディテールにもこだわって、自分だけのオリジナルのスリーピーススーツを作ることが可能です。
ビジネス向けのベーシックな素材から高級インポート素材まで幅広いラインナップがあり、ボタンや裏地、ポケットなども自由に選択できます。
勝負スーツをスリーピースで!
スリーピースの適切な選び方や基本的なマナー、着こなしの注意点などを解説しました。おさえるべきポイントを理解しておけば、初心者でも挑戦できる魅力あるアイテムです。
選び方に自信がない場合は、スリーピーススーツをオーダーメイドで仕立てると、自分にぴったりの理想的なスーツを作れます。細部にこだわって、ここ一番で活躍する勝負スーツを作ってみませんか?
自分の体型や好みに合わせて仕立てたスーツは、着心地が良く、自信を持って着こなせます。特に人と直接会う機会が多い職種の人にとっては、スリーピーススーツが大きなアピールポイントになるでしょう。着心地やディテールにこだわったとっておきのスリーピーススーツを作りたい人は、ぜひオーダースーツもSADAをご検討ください。