パンツを選ぶときに重要なタックとは? 種類と選ぶポイントを紹介のアイキャッチ画像
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パンツを選ぶときに重要なタックとは? 種類と選ぶポイントを紹介

スーツのパンツ、スラックスについている「タック」とは何かご存じですか?タックとはパンツの前側、腰の部分にある生地を畳んだ「ヒダ」のことです。タックがあると腰周りにゆとりができるので、動きやすさや履き心地の快適さをアップできます。一概にタックと言っても、内側に向かって畳まれ、スマートなシルエットを引き出す「インタック」と、外側に向かって畳まれ、よりゆったりとした見た目と履き心地を演出する「アウトタック」の2種類があるのです。既製品はアウトタックが多めですが、オーダーした場合は自分で選ぶことになるので、どちらが好みか、快適かを実際に履いて押さえておくと良いですね。またタックも1本だけではなく、本数によって種類が変わってきます。スーツに与える機能性や見た目は、タックの本数によっても大きく変わってきますよ。タックの本数によって似合う人、似合わない人も出てくるので、どのような見た目になるのか、どんな人に合っているのかも合わせて押さえておくと良いでしょう。今回はこれまでに600万点以上のスーツを仕立ててきた「オーダースーツSADA」の現役スタッフが、スーツのパンツ、スラックスの「タック」について詳しく解説します。

スーツをスマートに着こなすうえで、重要になるのがパンツの選び方です。スーツ用のパンツやスラックスには「タック」というものがあり、種類によってコーディネートの印象を左右する大切な要素になります。一体、タックとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、タックの概要や、いくつかの種類のなかから自分に合ったデザインを選ぶポイントについて紹介します。

タックとは一体?

タックとは、パンツの前側にある生地を畳んだヒダのことです。通常、このヒダはウエスト部分から、下方向に向かって入っています。パンツにタックが入っていると、ウエストや腰回りにゆとりが生じやすくなります。そのため、タックはゆとりのある着心地を望む人にぴったりのデザインなのです。

なお、タックが内側に向かって畳まれているものは「インタック」、外側に向かって折り畳まれているものは「アウトタック」と呼ばれています。インタックはヒダの広がりが少なく、スマートなラインを演出してくれるのが特徴です。一方、アウトタックはインタックに比べてヒダが広がりやすく、見た目や履き心地がゆったりとしているのが特徴として挙げられます。なお、既製品のパンツはアウトタックが多い傾向です。好みのシルエットや着心地などを加味したうえで、インタックとアウトタックのどちらを選ぶべきか決めると良いでしょう。

また、タックはパンツの前側部分に位置するため、人目に付きやすいという特徴があります。タックはコーディネートに影響を与える大きな要素になるため、いわば装飾の1つといえるのです。タックをコーディネートにうまく取り入れると、スーツスタイルのおしゃれの幅がぐんと広がります。

タックの種類は3つある

タックと一口にいってもさまざまな種類があり、それぞれ着心地やシルエットも大きく異なります。きちんとタックの種類を把握しておくことが、ワンランク上の着こなしを目指すうえで大切です。タックは主に、以下の3つの種類が存在します。

1,ノータック

ノータックとは、その名の通りタックが入っていないパンツを指します。タックがないぶん裾幅が細くなり、シンプルですっきりとした印象を与えられます。ノータックのパンツは、ヒップからふとももにかけてのシルエットが細く、比較的ウエスト位置が低い傾向にあるのが特徴です。細身の人やスマートな着こなしを目指す人、スーツ姿のままあまり動き回らない人などに向いています。

タックありのものと比べるとややカジュアルな印象になることから、ビジネスカジュアルスタイルやプライベートシーンにおすすめのスタイルです。

2,ワンタック

ワンタックはパンツの左右に1本ずつ、タックが入っているもののことです。クラシカルなスーツに多く用いられるデザインで、上品な雰囲気を演出できます。また、タックが入っているため着心地や動きやすさに優れているのが特徴です。

ヒップや太ももなどが大きくがっちりした人や、仕事中に歩いたり座ったりなどの動作が多い人に向いています。

3,ツータック

ツータックは、パンツの左右に2本ずつタックが入ったデザインです。ノータックやワンタックに比べてシルエットにゆとりがあり、着用時に窮屈さを感じにくいという特徴があります。そのため、動きやすさを重視する人や、体型ががっちりしている人などにおすすめのデザインです。

このように、タックの種類によって見た目の印象が変わるほか、体型によって使い分けると格好良く快適に着こなすことができると言えるでしょう。

タックパンツのメリット・デメリット

メリット

人によっては、「パンツなんてどれを履いても同じ」だと考える人もいるかもしれません。しかし、タックパンツにこだわることで、さまざまなメリットを得られます。

タックのメリットとはどのようなものなのでしょうか?

1,動きやすさ

まず、タックパンツのメリットとして挙げられるのが「スーツでも動きやすくなる」という点です。パンツは立っているときと座っているときとでは、着用感に差が生じるケースが少なくありません。立っているときはちょうど良いと思っても、座ってみるとふともも周りやヒップ周りが圧迫され、窮屈さを感じる場合があるのです。こうしたポイントを考慮すると、ズボンは歩いたり座ったりしたときに窮屈にならないよう、ある程度のゆとりが必要になります。

しかし、適度なゆとりは必要ではあるものの、逆にゆとりがありすぎると、生地が余ってシルエットが美しく見えない原因につながります。こうした着心地やシルエットの問題を解消するのに役立つのが、タックなのです。タックは歩いたり座ったりしたときに適度に広がるため、着心地にゆとりが生まれます。また、タックなら生地が余っている印象を与えにくく、すっきりとした立ち姿を叶えられるのです。

2,おしゃれの1つとして楽しめる

タックは上品な印象があり、洗練された雰囲気を演出できます。それに、タックにはいくつかの種類があるため、その日の気分やシーンに合わせて、さまざまな着こなしを楽しめるのです。

3,スマートな印象を与えられる

どんなにすてきなデザインのパンツでも、サイズが小さく見た目が窮屈そうだと、スマートな印象から遠ざかってしまいます。タックが入っていると適度なゆとりが生まれ、美しく洗練された着こなしに近づけるのです。

4,スーツの負担を軽減させられる

タックがあることで、座った際のシワ、いわゆる座りジワが付きにくくなります。

これはタックがあることによって、パンツにゆとりが生まれるからです。スーツを長く大切に使う上で、タックは役に立ってくれます。

デメリット

タックパンツの良さが逆にデメリットになってしまう場合もあります。

1,ゆとりによりシルエットが崩れる

余裕をもって着ることができるタックパンツは、スリムな見た目を求める人にとっては不要だと感じられることもあるでしょう。タックの有無を決める際には、まずは自分がどのようなシルエットでパンツを着こなしたいかをあらかじめ考えておく必要があるといえます。

2,野暮ったい印象になる?

タックによって生まれるゆとりがだぼっとした野暮ったい印象になってしまう可能性があります。ゆとりがだらしない見た目に変わってしまわぬように気を付けることが大切です。

したがって、タック入りのパンツを選ぶ際にも自分の体型に合ったものを選ぶのが重要になるといえるでしょう。

タックパンツを選ぶポイント

タックパンツを選ぶ際は、いくつかのポイントを意識するのが重要です。きちんとポイントを把握したうえでパンツ選びをすると、自分の魅力を最大限に引き出す1着を探しやすくなります。タックパンツ選びのポイントにはどのようなものが挙げられるのでしょうか?

1,自分の体型に合わせて選ぶ

人によって体型はさまざまであり、似合うタックパンツも異なります。一般的に、体型が細身な人はノータック、標準的な人ならワンタックを選ぶと良いといわれています。体型が太めの人は、シルエットにゆとりのあるツータックを選ぶのがおすすめです。

2,ウエストの位置に合わせて選ぶ

ウエスト回りはコーディネートの印象を左右する、重要な部分といえます。具体的には、ハイウエストで着用するのならエレガントな印象にするためにタックを入れたり、ローライズにするのならノータックにしたりすると良いでしょう。

3,悩んだときはノータックかワンタックを選ぶ

ノータックやワンタックはシルエットがすっきりしていて、どんなコーディネートにも合わせやすい万能なデザインが魅力です。一方、ツータックはシルエットにゆとりがあるぶん、広がって見えやすかったり、コーディネートのバランスを考えるのが難しくなったりする場合があります。そのため、体型が太めなどの特別な理由がなければ、どのタックパンツにするか悩んだ場合、ノータックもしくはワンタックを選ぶのが無難だとされているのです。

4,パンツのサイズ選びで注目すべきはここ

①ウエスト

ベルトを着用した状態で、ウエスト部分に手のひら1つ分が入る余裕があるくらいがジャストサイズです。

余裕がありすぎると、ベルトを締めた際にパンツにしわが入りシルエットが崩れてしまいます。逆にタイトすぎると、座った際や食事をした後などに窮屈であったり、スーツの生地が伸びてしまう可能性があります。

②ヒップ

生地がもたついているのは大きすぎる証拠です。一方、ヒップラインがしっかり見えてしまうくらいピッタリサイズは小さすぎだといえます。

余りジワ、引かれジワのないジャストサイズを選びましょう。

③裾丈

パンツの裾丈には3種類あり、定番が「ハーフクッション」と呼ばれる靴を履いた状態でパンツの裾が靴の甲につくくらいの長さのものです。シーンを問わずに着用することができ、すっきりとした見た目が、スマートな印象をもたらします。

その他に、「ワンクッション」と呼ばれるハーフクッションよりもやや長く靴の甲に裾がのって1つ折りができる躯体の長さのものは、ビジネスシーンのほかフォーマルシーンにもピッタリで、重厚な雰囲気が醸し出されます。

最後に「ノークッション」は、パンツの裾が靴の甲よりも上にあり靴下が見えるくらいの長さのものです。カジュアルな印象が強くなるため、TPOに合わせて着用する必要があるといえます。足元をすっきり見せてくれるのが魅力です。

タックパンツはダサい?

タックパンツはなんとなくダサいという印象を持っている人はいませんか?

古臭い、おじさんっぽいというイメージをお持ちの方は一昔前のタックパンツを思い浮かべているのかもしれません。

近年では、裾口が細くなっているデザインのものが主流となっており、スマートに綺麗なラインで着こなすことができるようになっています。

また、メンズだけでなくレディースファッションにおいてもタックパンツを用いたコーディネートが広がっており、決してダサいというイメージのものではなくなっています。

タックパンツを選ぶ際はデザイン性や機能性を考慮するのはもちろん、何よりも重視したいのが「サイズ感」です。体型に合っていないパンツを着用すると、生地が余ってシルエットがだぼついてしまったり、締まりがなくだらしない印象を与えてしまったりする可能性があります。反対に、きついサイズのパンツを着用するのも、動きにくくなってしまう原因につながるため要注意です。体型にフィットするパンツを選ぶことで、スタイリッシュな着こなしと動きやすさの両立を叶えられます。

タックパンツを用いたコーディネート

続いては、タックの種類別におすすめのコーディネートをご紹介していきましょう。

1,ノータックパンツを用いたコーデ

ノータックパンツは、ビジネスシーンのほかオフィスカジュアルスタイルまで幅広く活躍するデザインです。

ネイビーテーラードジャケット×黒タートルネック×ベージュノータックパンツ

足を細く見せてくれる効果があるため、スタイリッシュでスマートな着こなしができます。オフィスカジュアルスタイルでは、ジャケットとパンツの色味や明暗を変えるコーディネートがおすすめです。セットアップのスーツでは味わえないおしゃれな着こなしができます。

グレーダブルスーツ×白シャツ×ネイビーストライプネクタイ

細身のノータックパンツスーツとダブルのジャケットの組み合わせは、上半身と下半身でメリハリのある着こなしとなるために、ダブルスーツを着用する際に心配されるダボっとした野暮ったさを払拭することができます。

初めてダブルスーツに挑戦するという方や、体の線が細い方などの場合は、ボトムスにノータックパンツを合わせる着こなしがおすすめです。

2,ワンタックパンツを用いたコーデ

ワンタックパンツは、裾に向かって細くなるテーパードシルエットのものを選ぶのが、今どきです。

ネイビーストライプスーツ×白シャツ×ボルドーストライプネクタイ

ワンタックパンツをクラシックなイメージでコーディネートしたものです。

ボルドーのネクタイとの組み合わせがポイントです。

おすすめのストライプ柄は、TPOによって変わってきます。

ビジネスシーンであれば、ピンストライプもしくはシャドーストライプ。

パーティーシーンであれば、チョークストライプやペンシルストライプがおすすめです。

ストライプ柄を選ぶことで、脚のラインをよりきれいにみせることができます。

ベージュテーラードジャケット×白シャツ×黒ワンタックパンツ

オフィスカジュアルにおすすめのこちらのコーデでは、アンクル丈のパンツを選ぶのがおすすめ。

足元がすっきりとして見え、春夏のシーズンにピッタリです。

スニーカーがOKの職場やカジュアルシーンであれば、白スニーカーを合わせるのもありです。程よい抜け感を演出することができます。

3,ツータックパンツを用いたコーデ

クラシカルな雰囲気が魅力のツータックパンツは上品に大人っぽいコーディネートを意識するのがポイントです。

グレースリーピーススーツ×白シャツ×ブラウンドットネクタイ

ツータックパンツのクラシカルな雰囲気をより生かしてくれるのがスリーピーススーツです。重厚感、そして大人の男性の貫禄が醸し出されます。

ツータックパンツは腰回りやヒップが気になるという方におすすめであり、スタイルをよく見せてくれます。

黒カーディガン×白シャツ×グレーツータックパンツ

オフィスカジュアルスタイルにツータックパンツを取り入れる場合には、上着で抜け感を出すのがポイントです。カーディガンやニットカットソーを合わせることで、バランスの良いコーディネートが完成します。

TPOによりますが、インナーのシャツを色物や柄物にしてワンポイントアクセントを食わせるというのもおすすめです。

パンツを選ぶときにはタックにこだわろう!

以上、タックの種類や機能、そしておすすめのコーディネートなどについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

タックがあることで、着心地や見た目の印象が大きく変わってくるということをご理解いただけたと思います。

ビジネスマンにとってスーツは毎日着用することの多いアイテムだからこそ、こだわりを持って選びたいと考える人も多いものです。特に、パンツはタック次第で、着心地やフィット感が大きく変わるアイテムといえます。美しいシルエットや着心地の良さを追求するのであれば、パンツを選ぶ際、タックに注目するのがおすすめです。

また、タックパンツはスーツスタイル以外にも活用することが可能です。オフィスカジュアルやプライベートシーンなどでもタックパンツを用いたコーディネートが広がっています。

タックパンツを選ぶ際には、どの種類を選ぶか、自分の体型にしっかりと合ったものを選ぶというのがポイントになります。

種類によって特徴が異なるため、きちんと選び方のポイントを把握しておくのが肝心です。

また、体型に合ったものを選ばないとせっかくのタックの良さが生かされずに、野暮ったく不格好に見えてしまいます。

今回お伝えしたことを参考にして、ぜひ自分にピッタリのタックパンツを見つけてみましょう。

タックの種類は、本数によって3種類あります。1つ目は、タックが入っていない「ノータック」です。ヒップからふともものラインを細くし、シンプルでスッキリした印象になりますが、ゆとりがないので着心地は悪くなります。2つ目はタックが左右に1本の「ワンタック」です。クラシカルで上品なイメージになり、タックがあることでゆとりを持った動作が可能になります。3つ目はタックが左右に2本ずつの「ツータック」。よりゆとりがありますが、腰周りのシルエットが大きくなるので注意が必要です。どのタックを選ぶべきかというと、まず一番に体型に合わせましょう。細身ならノータック、標準体型ならワンタック、ガッチリ体型ならツータックがおすすめ。ウエストの高さのイメージに合わせる方法もあります。ハイウエストならワンタックかツータック、ローライズならノータックが良いでしょう。悩んだときはノータックかワンタックを選んでおけば無難に着こなせます。動きが多い職種の方はワンタックにしておくのがおすすめです。いずれのタックの場合も、スタイリッシュに履きこなすためにはジャストサイズを選びましょう。オーダースーツで作ってみるのもおすすめですよ!

穂谷 優之