私服とネクタイ、相性はバッチリ?ビジネスシーンだけじゃなくてもおしゃれにネクタイを活用できます!
社会人経験のある人なら一度はスーツを着たことがあると思いますが、アクセサリーのひとつであるネクタイについてどれだけ気にかけたことがありますか?
ジョンコンフォート、ブリューワー、ニッキはネクタイの世界的に有名な老舗ブランドです。靴のブランドやバッグのブランドなら一度は聞いたことがあっても、ネクタイのブランドは耳にしないのではないでしょうか。顔のすぐ下にいて一際目立つネクタイであってもその歴史、色柄、選び方を詳しく知ることはないでしょう。この記事ではネクタイをビジネスシーンだけではなく私服でも取り入れられるように、どのようなことがポイントかどのようなコーデがあるかを解説していきます。ネクタイが気になった方は必見です。
なぜネクタイを付けるようになったのか
ネクタイのルーツ
首に巻く帯または紐状のアクセサリーをネクタイと言います。ネック(首)+タイ(締める)からきています。ネクタイの始まりはフランスです。国王ルイ14世の時代に生まれました。元々は肩が隠れるほどの大きなカラー(衿)にするスタイルが流行していましたが、1660年ごろから長い巻き髪のかつらも流行り始めます。すると、長い巻き髪のせいでせっかくの大きなカラーが隠れてしまうため、これではファッション性が消えてしまうとして隠れない胸元にアイテムを持ってくるスタイルに変わりました。これがネクタイのルーツとなっています。ちなみにおしゃれの国フランスではネクタイのことを「クラヴァット」と言います。ルイ14世が雇ったクロアチア人はスカーフを首に巻いていました。フランス語でクロアチアを「クロアット」と呼ぶことからクラヴァットになったと言われています。
元々そのスカーフは兵士のファッションアイテムでしたが、男性用のファッションアイテムとして広がっていきました。
実は19世紀初頭までネクタイはこのスカーフ状のものでした。結び方は30種類ほどあり、ダンディと呼ばれていたおしゃれメンズの重要なアイテムです。
現在のネクタイの形
現在のネクタイのように結んで下げるタイプまたは一番簡単な結びの形をフォア・イン・ハンドと言います。この形になったのはクラヴァットが生まれてからずっと後の1890年代です。語源は諸説ありますが、2つ紹介します。
1つ目は結んだ形から来ています。結び方の別名はプレーンノットと呼ばれています。ネクタイの結び目から大剣までこぶし4つ分ほどになるためフォア(フォー)・イン・ハンドになったと言われています。
もう一説は、一人で乗る4頭立て馬車のことをフォア・イン・ハンドと呼ばれていることから来ています。これまでずっと幅広のスカーフ状だったというのは説明しましたが、4頭立て馬車の手綱をさばくときに邪魔になる場合がありました。そこでスカーフタイプをやめて現在の形になったとも言われています。
ネクタイの種類
これまで形を変えてきたネクタイですが、背景には時代の流れやTPOに合わせておしゃれを追求しているということがあります。ここでは代表的な形状と生地についても紹介していきます。
ネクタイの形状
ダービータイ(ジャガードタイ)
英国ダービー卿が競馬を楽しむときにつけていたものからその名がつきました。一般的に販売しているほとんどがこれです。両端が剣先のようになっており、太い方が大剣、細い方が小剣と言います。大剣の幅は主に7〜9cmです。購入する際はレギュラータイで通じます。
ナロータイ
その名のとおり、細めのネクタイです。ダービータイと比較して幅は狭く6cm程度です。特にタイトなスタイルや、カラーの細いシャツに合わせるとバランスがいいです。細めなためダブルノットの結び方でも結び目の三角形(ノット)が大きくなりすぎず綺麗にまとまります。ダービータイよりはカジュアル性の高いアイテムです。
スクエアタイ
剣先が尖らずにまっすぐになっているものです。主にニットタイによく見られる形です。ナロータイよりもカジュアル向きなので私服にも合わせやすいネクタイです。
ボウタイ(蝶ネクタイ)
フォーマルなシーンで使われるイメージが強いのではないでしょうか。元々は夜の礼装用として使われていたものです。なかなか普段のコーディネートに取り入れるには難しいためおしゃれ上級者向けと言えます。
アスコットタイ
19世紀、上流階級の人たちはよく英国のアスコット競馬場に集っていました。その際、ドレスコードがフォーマルと決まっており、モーニングコート用にアスコットタイが使われていました。見た目は結んだときにスカーフを巻いているように見えるほど幅広で、日本では蝉型タイとも呼ばれています。着用されるのは結婚式などフォーマルなシーンがほとんどですが、現代ではフォーマルに限らず使われ始めています。
セッテピエゲ
ネクタイのルーツとなったスカーフを彷彿とさせるようなフワッとしたネクタイです。つくり方は最高級縫製と言われている、1枚の生地を7つに折るやり方です。イタリア語で7つに折るという意味のセッテピエゲからその名がつきました。生地面積も通常のネクタイの約2倍であるため値段も高いです。結べばノットに適度なボリューム感を出すことができますしディンブル(結び目の下につくるくぼみ)も綺麗に仕上がります。縫い方もさることながら、おしゃれの最高峰と言っても良いでしょう。
ポーラータイ(ループタイ)
他の布ネクタイとは異なり、ネックレスのようなネクタイです。日本では1973年に省エネルックが流行してから広まりました。ループタイと呼ばれることが多いですが正式名称はポーラータイです。結ぶ代わりに留め具で締めるタイプです。紐先にはアグレットと呼ばれる金具がついていて先がバラバラにならないようにしてあります。一見してネクタイだとはわからないのでアクセサリー感覚で私服にも合わせやすいでしょう。
ネクタイの素材
ウールタイ
ふっくらとしたウール素材のネクタイは秋冬向けです。暖かみのあるウール素材を使うときはジャケットやパンツもツイードやフランネルなどの紡毛素材に合わせてあげると引き立つでしょう。ウールの質のランクはたくさんあって、突き詰めれば突き詰めるほど高級素材になりえます。
シルクタイ
シルクは艶があり高級感を醸し出します。手触りも滑らかで生地が柔らかいため結びやすくほどけにくいというメリットがあります。通年使える生地感も魅力のひとつです。
リネンタイ
麻でつくられたネクタイのことです。もちろん春夏限定ですね。ただ、探すのに苦労するかもしれませんので貴重なネクタイと言えるでしょう。リネンタイはシワが付きやすいので、着用後はアイロンやスチーマーでシワを伸ばすなど手入れには気を遣いますが、涼しげな印象をすぐに与えてくれるアイテムです。
ニットタイ
編み地のネクタイです。使われる素材もシルク、ウール、カシミヤ、リネンなど様々です。編み目が見えるので立体感を出したいときに最適です。スクエア形状のものが多く、どちらかというとカジュアル感が強いためビジネスシーンではあまり見られませんが、着崩したいときにはおすすめです。ただしニットのため伸びやすいです。服もそうですがニット系はたたんで(丸めて)保管しましょう。
フレスコタイ
イタリア語で「新鮮」「涼しげ」を意味するフレスコから来ています。織り方が特徴的で経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸が絡み合うメッシュ状の平織りです。したがって独特な立体感・凹凸感が生まれます。絡み織りとは言えど、通気性に優れ、夏物の着物や帯に使われています。
色と柄の組み合わせによって印象が変わる
みなさんはネクタイを選ぶときに何を考えていますか?色や柄は無数にあり、迷ってしまいますよね。ここでは色と柄によって相手に与える印象が違ってくることについて解説していきます。ご自身のネクタイだけでなくプレゼントでネクタイを選ぶときにも参考にしてみてください。
ネクタイの色
ファッションでは派手な色がおしゃれというわけではありませんから、色の意味を理解しておくと、一人ひとりに合った色が見えてきます。色は性格や人柄を決める要素が大きいです。
赤系
・情熱、積極、勇敢、リーダーシップ
燃えるようなイメージのとおり、アグレッシブな印象を与えます。
オレンジ系
・社交的、外交的、アクティブ
友人の紹介で参加するパーティーなどでは初対面の人たちも多いはずです。そんなときはなるべくフレンドリーにという意味を込めていかがでしょうか。
イエロー系
・明るい、ポジティブ、好奇心旺盛、面白さ
堅苦しくない軽い会食などの場に合わせていくと良いでしょう。
ブルー系
・誠実、聡明、知的、爽やか
ビジネスなら取引先との商談がよいですが、プライベートならクールな印象を与えるので静かな場所に出向くときなどが良いでしょう。
ピンク系
・優しい、可愛らしい、無邪気
ピンクはなんとなく難しいと思っていませんか?濃いピンクやショッキングピンクはインパクトが強すぎますが、薄めのピンクなどは実は合わせやすいんですよね。意外とどんな場にも合う色となっています。
ブラウン系
・堅実、温厚、努力
大人っぽいイメージの場にピッタリです。緊張感も和らげる色ですし、落ち着いて時を刻むことができるでしょう。
ネクタイの柄
柄にも意味がありますが、柄はどちらかと言えばTPOを決める要素が大きいです。
無地(ソリッド柄)
・品格、誠実
まず基本と言えば無地です。織柄が入っていても一色使いで無地のものはソリッドタイと呼びます。どんなスーツやジャケット、シャツにもオールマイティに合わせられます。服が柄物の場合、ソリッドタイを着用すれば間違いありません。光に当てたときにわかるブラインド織柄のものを選べばおしゃれ上級者です。
ストライプ柄
・爽やか、勤勉
レジメンタルストライプとも言います。レジメンタルとは連隊、軍服という意味です。元はイギリス軍の伝統のひとつで、各隊毎に特別なストライプパターンを作ったことが始まりです。広く販売されているストライプ柄のほとんどがレジメンタルストライプです。そして実は2種類あって、正面から見て左下がり右上がりのイギリス式、左上がり右下がりがアメリカ式です。また、ストライプの線は太ければ太いほどカジュアル要素が強くなります。
ドット柄
・格式高い、上品
無地の次にフォーマルの場に適しているのがドット柄です。ドット柄は大きくなるにつれて呼び名が変わっていきます。小さいほうから順に「ピンドット」「ポルカドット」「コインドット」で、ドットが大きければ大きいほどカジュアル要素が強くなります。
小紋柄
・控えめ、知的
四角形、ひし形、幾何学、ペイズリーなど小さな模様を規則正しく並べた柄のことを指します。ビジネスから結婚式まで幅広く使えるネクタイです。無地と同じように持っていると何かと活躍できます。
チェック柄
・親近感、明るい
タータンチェック、グレンチェック、ギンガムチェックなどが代表的です。フォーマルでは控えておいたほうがいいかもしれませんね。個性を出したいならもってこいの柄です。チェックの四角が大きければ大きいほど、そして線が太ければ太いほどカジュアル要素が強くなります。
カジュアルコーデにネクタイはあり?
もちろんありです。なぜなら、スーツで合わせるときより断然気軽に選べるし、周りと差別化できるからです。ネクタイを着用するときは当然カラーのあるシャツ限定にはなりますが、海外では私服にネクタイは特別なことでもありません。ジャケット&パンツコーデの場合、ネクタイを取り入れればよりモード系になります。ネクタイはピシッとするイメージがあるため、逆にカジュアルになりすぎたときにそれを抑える効果も期待できます。
春先などはジャケットを羽織らずにネクタイを軽めに締めてあげれば軽やかでこなれ感を出すことができます。
また、ネクタイは何もメンズ専用というわけではありません。レディースコーデにも取り入れられます。
ネクタイを取り入れるポイント
ネクタイはピシッとするものと言っておきながら矛盾するかもしれませんが、どれだけネクタイ以外を着崩せるかがおしゃれのポイントです。スリムなジャケット、シャツ、パンツそして革靴、プラスしてネクタイを着用すれば確かに無難なコーデにはなりますが、これではスーツスタイルとあまり変わり映えしませんよね。例えばシャツをオーバーサイズにしたり、パンツをワイドタイプやデニムに変えたりしてみます。
【厳選】ネクタイを使ったおしゃれなカジュアルコーデ3選
ポイントを抑えたネクタイが似合う私服用のメンズカジュアルコーデを厳選して3つ紹介します。もう一度言いますが、私服の場合は着崩しがポイントだということを頭に入れておいてください。
ワイドデニム×ネクタイ
ジャケットやジレ(ベスト)を着て上半身は締まりのあるイメージにし、下半身のルーズさを引き立たせます。もちろんビジネスシーンではデニムを合わせることなんてありえませんから、ネクタイのイメージからのギャップをもろに感じられるコーデとなっています。
テーパードパンツ×ネクタイ
パンツはクロップド丈にしてローファーを合わせることでこなれ感が爆発します。シルエットはYラインになりますので、スタイルを気にする人向けのコーデです。ネクタイもアスコットタイを使用すればおしゃれ上級者に格上げです。
プレッピー×ネクタイ
80年代名門私立大学のアメリカンカレッジスタイルをプレッピーと呼びます。主にセーターやカーディガンとリラックスフィットなスラックスを合わせ、足元はキャンバススニーカーをもってきます。セーターやカーディガンなどのカジュアルアイテムを用いながらも、きれいめでまとめたいならぜひおすすめのコーデです。
ネクタイと聞くとスーツをイメージしがちですが、なにもスーツにしか合わせられないということではありません。ネクタイも着るものに合わせられるように種類や形、色柄を工夫しています。また今の時代、ビジネスシーンでは必ずスーツでなければいけないという縛りもなくなってきています。したがってスーツを着る機会が減りネクタイの需要も引きずられるように減ってきているのも事実です。逆に捉えれば、カジュアル要素をうまく取り入れることで個性を加えて私服コーデを引き立てられるチャンスです。
ちょっとカチッとしたいときなどはネクタイを締めてみるのもいいですね。メリハリをつけた自分なりのコーデを探すことができればおしゃれさんの仲間入りです。