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アルスターコート
読み方
アルスターコート
トレンチコートの原型ともされた、ベルト付きで厚手の丈の長いオーバーコート。1860年代にメンズコートとして登場した。シングル、ダブル両方のデザインがあったが、今ではほとんどダブルの仕立てしか見られなくなった。初期のものは、取り外しのできるフードやケープがついていた。袖はボタン付きのものもあるが、ボタンが付いていないまたはターンナップカフのものが主流。本格的なものはアルスターと呼ばれる北アイルランドのアルスター地方産ウール素材であること。特に「アルスターカラー」と呼ばれるこの大ぶりな襟型は代名詞。襟幅の広いテーラードカラーのこと。
アルスターコートは元々、貴族階級のための旅行用のコート。チェスターコートのような品格を感じながら、程よい抜け感を得られる。当時は今のように空調設備が整っていない時代のため、馬車で移動の際、極寒の中でも耐えられる必要があった。そのため、長い着丈と、ボリュームのある素材、ゆったりとしたサイズ感を特徴としている。
またアルスターコートがあらゆるコートの形の元祖である。ベルトを付け、肩章(エポーレット)を付けたらトレンチコートに限りなく近づく。背中の真ん中にプリーツを付け、裾をインバーテッドプリーツにし、アウトポケットを蓋付きポケットにしたら、ほぼポロコート。ボタンを無くし、ベルトで結ぶ仕様にしてしまえば、タイロッケンコートである。