１９３０年イタリア・ナポリで創業、世界屈指のサルトリア（テーラー）ブランドであるチェーザレ・アットリーニのこと。父はナポリ仕立ての生みの親ヴィンツェンツォ・アットリーニ氏。シャツと同じくらいの柔らかさを持ち、立体的で軽量なジャケットを生み出した。胸の厚みをより綺麗に見せる「バルカポケット」４つの袖ボタンを重ねて並べる「キッス・ボタン」の生みの親でもある。創業者として父が残した技術を引き継ぎ、ビジネスの才能も開花させたチェーザレ。ウィンザー公らも顧客にしたとして徐々に名を馳せていき、１９９０年代に勃発したクラシコ・イタリアブームの立役者となる。工場で働く人数はおよそ１００人。他の有名なブランドはおよそ１０００名在籍しているのを考えるとかなりこじんまりしている。工場ではほとんどが手作業であり、ミシンの音すらあまり聞こえないという。最低限を機械、それ以外は手縫いを徹底している。シルエットはタイトではなく、ゆったりと感じられるように、かつ身体のラインを美しく見せてくれるつくりになっている。機械では実現できない身体の細かな部位に沿って立体感を出すために手縫いにこだわっている。