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フエルト
読み方
フエルト
くず毛(ノイル)など短繊維や再生羊毛に蒸気や圧力を加えて作られた熱圧縮加工の不織布のこと。哺乳類の体毛表面がキューティクルで覆われている。熱・圧力・振動を加えることによりキューティクルが繊維レベルで絡み合うことで離れなくなるという原理を利用している。この原理を縮絨(しゅくじゅう)またはフエルト化と言う。さらに石けん水などのアルカリ性溶液を使用するとより結合が促進される。そのため加工時は石けん水をよく含ませて作られる。ただし、絡み合っているものの結合力としては弱く、他の生地に比べて引っ張りや摩擦は苦手である。手でちぎれてしまうほどだが、端はほつれにくいため加工がしやすい。特徴は保温効果が高く、衝撃を吸収する緩衝力があり、整形しやすい。紡毛織物を縮絨・起毛し、フエルト状の布としたものをフエルトクロスといい、単なるフエルトとは区別している。一番古いフエルトは紀元前900年のある遺跡から発掘されており、日本では800年頃、中国から奈良の正倉院に送られたものが最古と言われている。モンゴルでは遊牧民用のゲル(テント)や敷物によくフエルトが使用されている。ポリエステルなどの化学繊維でできたフエルトは洗えるものもあるが、それ以外は摩擦によりさらに縮絨されて縮んだり固まったりしてしまうので注意が必要。