「インサイド（内側・裏側）」「ブレスト（胸部）」つまりジャケットやコートの内ポケットのこと。左右に付けられていることが多く、フラップ（フタ）付きや、ループをボタンに引っかけて止めるフロッグポケット、両玉縁デザインがある。
生地はジャケットの胴裏と同じポリエステルやキュプラ裏地（コットンの短繊維を再生させてつくった生地）を使う。
デザインとしてある腰ポケットや表の胸ポケットとは違い、唯一実用的に使うことができるポケット。ただし、スマホや財布などの重みがある物を入れると、シルエットの乱れや型崩れの原因となってしまうため注意が必要。
本来なら右利きの人は左内ポケット、左利きの人は右内ポケットが手を滑り込ませやすく出し入れしやすい。ところが身頃が左前になることと、残念ながらスーツは基本右利きの人向けにつくられることから、例えば、左内ポケットはフタなし、右内ポケットはフロッグポケットの場合が多い。したがって左内ポケットにはチケットやパスケース、名刺入れなどを収納する。スマホはやや重いため、カードケースなどの薄く軽いものにしておくほうがよい。左前になる右内ポケットは、手が入れにくい構造。そのためスリや盗難に合わないよう各種カードや海外ではパスポートなど、貴重品の収納に役立つ。２つの内ポケットに加えて左下内ポケットというものもある。腰ポケットの裏辺りに位置する内ポケットは、多少厚みのあるものを入れても表にひびかないようになっている。素早く取り出せるわけではないが、スマホやシガーケースなどを収納しても、シルエットに影響しにくいのはメリット。