意外と奥深いベントの世界
ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
オーダースーツSADA銀座店でございます。
今回は、ジャケットデザインの「ベント(背中の切れ込み)」のお話しです。
ちなみに、普段ベントって気にされてますでしょうか?
「そもそも気にしたことない」
「オーダーする時に聞かれるけど、イマイチわからない」
「いつもなんとなく決めてるな~」
そういった方がほとんどかと思います。
しかし、ベントは後姿の印象や動きやすさに影響するので「たかが切れ込み・・・」と侮れないのです。
色々と種類もありますが、ビジネスで一般的に取り入れられるのは、
「センター(真ん中)ベント」と「サイド(横2か所)ベンツ」の2種類です。
それぞれ、歴史・機能性・見た目の雰囲気など違いますので、
意外にも奥が深いベント選びに今回のブログを参考にしてみてください。
1.センターベント
文字通り真ん中に切り込みのあるデザインです。
センターベントが出来た歴史簡単にをお話しすると、
乗馬をする時、鞍にまたがりやすくしシルエットを綺麗に収めるためです。
スーツは英国が発祥とされますが、誕生した当初は切れ込みがなかったといわれます。
英国貴族は、乗馬をする習慣があるため切れ込みが無いと乗りづらくシルエットも綺麗でないということで真ん中に一本切れ込みを入れました。
なので、センターベントは別名「馬乗り」とも言われます。
今の世の中乗馬習慣がある方はまずいないでしょうから、あくまで雑学ですが・・・・
ここからが、本題です。
「センターベントがオススメな方」
☆サイズ感が細めで、着丈も少し短いスタイルが好きな方
シルエットもスッキリしますので、「スリムスーツ」とは相性がいいです。
また、お尻が少し見えるくらいの短さの丈ですとセンターベントの持つ軽やかさがマッチします。
☆カジュアル感を出したいジャケットを仕立てたい方
上記のように軽やかな雰囲気を出せますので、ビジネスカジュアル用のジャケットや普段使いのジャケットにもオススメです。
昨今はクラシック寄りなトレンドですが、
細身で丈も少し短いスーツを着て颯爽と歩くビジネスマンってスタイリッシュで軽快な雰囲気がカッコいいですよね!
特にお若い方でそういった雰囲気に憧れる方も多いのでは???そんな方はぜひともセンターをお選びください。
余談ですが、既製品にセンターが多い理由としてはサイドベンツは手間と生地を多く使うのとお直しで丈を詰めやすくするためと言われております。
既製品に多い=主流というわけでもないのです。
2.サイドベンツ
両サイドに切れ込みのあるデザインです。
2つ切れ込みがあるので、「ベント」ではなく複数形で「ベンツ」です。
なんとなく両サイド切られたわけじゃなく、サイドベンツにも歴史がありますよ!
元々は、騎士が剣を収める際にシルエットが綺麗に見えるように切り込みを入れたのが始まりと言われてます。つまり元々は軍服由来のデザインです。
別名「剣吊り」と呼ばれるのはその名残ですね。
しかし、このご時世剣を吊る人は間違いなくいないでしょうし(いたら捕まってしまいますし)
これまた雑学として・・・・・
剣を吊る名残のおかげか、ズボンのポケットに入れたものが引っかからず楽に出し入れ出来ます。
「サイドベンツがオススメな方」
☆ヒップがしっかりとされている方
先に紹介したセンターベントは、どうしてもヒップのしっかりした方ですと切れ込みが開いてしまう事が多いです。
開いてるとシルエットも美しくないので、そういった方はサイドベンツの方が収まりが良く後ろ姿も綺麗に見えます。
☆落ち着いた着こなしが好きな方
どことなく上品で優雅な雰囲気が出ますので、落ち着いた着こなしや威厳を出したい方にオススメです。
サイズ感も決して攻めすぎず丈もお尻をしっかり隠すサイズ感でのオーダーなら迷わずサイドベンツをお選びください。
昨今の流れでもある英国スタイルの影響で、サイドベンツは決して古臭いデザインではなくなりました。
個人的には20代~30代の方にもどんどんチャレンジして欲しいと思います。
落ち着いたスタイルって飽きも来ないのでいいですよ~
いかがでしょうか?
ぜひ、今回のブログをデザイン選びの際にご参考にしてください。