釦はウエストバンド上の前身頃左右に1対ずつ、
後身頃背中中心部に一対の合計3対、計6個が付きます。
機能と美しさを両立すべく臍側の釦は
クリースの延長線上、プリーツの真上に付き
釦の間隔は8〜8.5cm程度です。
第二次大戦前頃までは、
ブレーシス釦は全て表側に付ける方が主流でした。
戦後1950年代中盤、経済成長著しいアメリカの
ビスポークからプレタポルテへという流れが完全に確定した
スーツの近代化に伴い
トラウザーズの固定方法も
主流がブレーシスからベルトになり、
ベルトループとの兼ね合いにより、
ブレーシス釦も裏側に付けるのが一般的となりました。
本来は下着同様、
人様に見せるべきではないと言う考え方でしたが、
1980年代中盤ニューヨークのアラン・フラッサーが
クラシックなレザーエンドのブレーシスを流行させ
特に1987年の映画『ウォール街』で
マイケル・ダグラスが着用した見せるブレーシスは
当時のエグゼクティブを象徴し強い影響を与えた。
2010年代中盤のクラシック回帰で
再び見せるブレーシスが流行。
素材は
ボックスクロスが歴史的に古くからあり
非常にクラッシクな素材で、
サヴィルロウのテーラーに行くと必ず置いてあるのが
『アルバート・サーストン』の
色とりどりの無地のボックスクロスです。
現在では張りがあって使いやすく、
見た目も美しいグログランと呼ばれる平織りが主流です。
元々はシルクを使用し手触りも良い事が特徴の一つでしたが、
現在は強度や保守の面から化学繊維との混紡が主流であり、
技術の発達で手触りも遜色なくなりました。
1930年代後半には革命をもたらしたエラスティック素材が登場。
伸縮性があり、装着時の快適性が大幅に上がりました。
伸縮する素材を全体に使うタイプと、
背中の一部のみ伸縮するタイプがあります。
幅は2.5〜3.5cmが主流で
太幅ほどクラシック、
細幅ほどモダンな印象となります。
儀式の礼装・準礼装では
ウェストコートの色に合わせるか、黒もしくはグレイを用います。
宴の正礼装ではホワイト、
宴の準礼装では
ブラック、もしくはタイやウェストコートの色味に合わせます。